Walls & Bridges

    はっきりとした表現は覚えていないが、Beatlesの『Anthology』の中でGeorge Harrisonは、ソロ時代のJohn Lennonの楽曲クオリティはBeatles時代ほどでなかったというような発言をしていた(たぶん、Paulに対しても同じことを思っていたのだろうと推測するが、本人を目の前にしてはね……)。

    僕も『Walls & Bridges』を聴くとGeorgeの意見に賛成だ。

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    *『Walls & Bridges』英国オリジナルLP、特殊ジャケットを開いたところ、付属の写真集風ブックレットとLP内袋も



    John Lennonの70年代最後のソロアルバム『Walls & Bridges』(これよりも前に録音された『Rock'n roll』が後に発売)は、アルバム収録曲のクオリティにバラつきがあるし、(基本的には)当時のsoul系のサウンドを目指したのは良い方向性だと思うものの、残念ながら、できあがったサウンドはどうにもJohnのボーカルとの相性が悪く感じられて、初めて聴いたときから今ひとつな印象を受けていた。

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    *ジャケット裏面に表の一部を載せたところ

    そのことをはっきりと示してくれたのはJohn亡き後に発売された編集盤『Menlove Ave.』のB面に収録された『Walls & Bridges』楽曲の未完成テイクだった。

    『Menlove Ave.』は、僕には『Walls & Bridges』収録曲の真価を示してくれたという意味で非常に価値があった。
    そのサウンドで聴くと、今ひとつに思えていた曲もずっと格好良く思えた。つまり、アレンジやミキシングなどのサウンド作りによって(少なくともJohnの)曲の印象は大きく変わることを本当にはっきりと明かしたように思った。

    Johnのボーカルスタイルにはラフ(あるいは粗野)でシンプルなrockサウンドの方が似合うと言う確信を僕は強めたし、曲やアルバムの評価も違ってきたのではなかろうか?と思えてしまう。

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    *ジャケットと内袋で遊んだところ(クリックで拡大)

    さて、このアルバム、今年の4月に初めて英国オリジナルLPを手に入れた。
    それまでは(結局今回見つからなかった)米国盤と最初に買った国内盤しか持っておらず、音質的にも内容と同様に今ひとつな印象だった。

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    *何もしない場合の裏面

    その英国盤で、大ヒット曲「Whatever Gets You Thru the Night」から聴き進めると、何ともナローレンジな印象。耳に飛び込むのはsaxよりも手拍子で、この音が特にナローレンジな印象を与えているとわかる。
    低音域はバスドラムのぼやけた音が音量的には大きくミキシングされ、何ともバランスが悪く、「音が悪い」と感じてしまう。

    「これでは国内盤との音質差は無さそうだな」と、国内盤を再生してみると、さらに音質が1ランク下がり、がっかりさせられた(苦笑)。

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    *国内盤

    但し、国内盤のマスタリングはボーカルが引き立つような印象で(残念ながらElton Johnの声の方が目立つが)聴きやすい。まぁ、この曲はアルバムの中でも特に音質が悪く、比較すべきでなかったと後に気づくのだけれど。その後のA-3,A-4あたりのほうが音質差はよくわかる。

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    *英国盤のレーベル

    今回比較できなかったが、米国盤の音質はもしかしたら英国盤並みなのかも、と思えなくも無い。

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    *2種類のCD、左:2010年のオリジナル音源リマスター、右:リミックス・リマスターの紙ジャケット版(再発はCCCDでは無い)

    ちなみに、昨年のSACDやハイレゾの元となった音源をマスターに使用した2010年のCDではどうなのだろう?と聴いてみると、LPとは歴然とした差だった……CDの圧勝!
    音のフレッシュさ、つまりマスター音源にどれほど近いか、その差は数世代差なのではなかろうか?とさえ思えてしまう。英国盤でさえ2~3世代後のコピーテープから作られたのではないか?と疑ってしまうほど。

    これを聴いてしまうと、ハイレゾ音源を元にした今年発売のLPを聴いてみたくなった。


    尚、2010年以前に出たリミックス・リマスターのCD(紙ジャケットでの再発盤)を夜間に小音量で聴いたが、ベースの音量が全然違うし(さすがリミックス!)、一番音の悪いA-2でさえ、「おっ!」と思わせられる。
    これもハイレゾで出すべきではなかろうか?


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    テーマ : 洋楽ロック
    ジャンル : 音楽

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    ジャケ

    こんばんは。
    このアルバム、内容はJDさんの仰るとおり、音は悪いしオーバーアレンジだと思うんですが、ジャケのジョンの笑顔で全部許せちゃうんですよね。

    ビートルズを聴き始めて間もない頃、ジョン=いつでも気難しい顔をしてる、みたいな先入観を持っていた頃に買ったので、なんだがすごく新鮮でした。
    憑き物が取れたというか、本当にいい笑顔だと思います。

    Re: ジャケ

    dr.pepperさん、こんばんは。

    >ジャケのジョンの笑顔で全部許せちゃうんですよね。
    > ビートルズを聴き始めて間もない頃、ジョン=いつでも気難しい顔をしてる、みたいな先入観を持っていた頃に買ったので、なんだがすごく新鮮でした。

    言われてみると、僕もあの笑顔に驚いた記憶が蘇りました。
    でも、やっぱり音楽もあの笑顔のレベルに近づけて欲しかったです。


    No title

    こんにちは。
    記事全体を通してほぼ同じ意見でした。

    私も『Walls & Bridges』に関しては『Menlove Ave.』で初めて本編の良さに気づいた次第です。

    そして、音も『Rock'n Roll』〜『Walls..』にかけて初期CD時代のものを一番聴きましたが、好きとは言えない音質でした。

    そして、オリジナル・ミックスがハイレゾ化されたのを機にハイレゾファイルを購入しましたが、これには個人的な聴こえ方ですが大満足でした(Walls..に関してて)。

    一番良かったのは『John Lennon』です。他タイトルによってはハイレゾの恩恵が少ないと感じるものもいくつかありました。おそらく、音質の良さの一番の判断材料になるのは同時発売されたCDです。

    Re: No title

    Columbiaさん、こんばんは。

    > 記事全体を通してほぼ同じ意見でした。
    > 私も『Walls & Bridges』に関しては『Menlove Ave.』で初めて本編の良さに気づいた次第です。

    そうでしたか。と言うことは、同じことを思ったファンは多かったのかもしれないですね。

    > そして、オリジナル・ミックスがハイレゾ化されたのを機にハイレゾファイルを購入しましたが、これには個人的な聴こえ方ですが大満足でした(Walls..に関してて)。
    > 一番良かったのは『John Lennon』です。他タイトルによってはハイレゾの恩恵が少ないと感じるものもいくつかありました。おそらく、音質の良さの一番の判断材料になるのは同時発売されたCDです。

    SACDで2枚は購入しましたが、例のLPボックスセットと同一内容のバラ売りLPに、今食指が動いているところです。
    でも1枚あたりの額が高いですね……とりあえずHMVで『John Lennon』だけ買ってみようかと。3千円ちょいなので。
    SACDも買ったんですけどね……。

    プロフィール

    JD

    Author:JD
    自分の感覚としては(昔の?)ラジオDJのネット版のようなもののつもり。僕は1970年代のオーディオ全盛期の最後に属する世代で、ペアマイク持参で生録に挑戦した世代。国内盤LPが高価だったので輸入盤を買っていた、そういう中高生時代を過ごした。

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