All mod cons

    随分前に取り上げたJAMのスタジオLPボックスセット『The Jam/The Studio recordings』、購入から1年と3ヶ月ほど経過した。

    その中からようやく3rdアルバムの『All mod cons』を聴いた。

    AMC0420 (4)
    *ボックスセットと収録LP『All mod cons』




    実はこのセットの中から何度も聴いたのは、アルバム未収録曲を集めた『Extras special 1977-1982 vol.1』と『同vol.2』ばかり。2ndと『Gift』も2回ほど聴いたが、他は片面を1回聴いたか、全く手付かずかのどちらかだった。

    特にJamを聴きたい気分でもなかったし、あるいは聴きたくなれば、たいていは『Snap!』か『The gift』あるいは2ndを聴いていた。

    ところが少し前に、英国Amazonでのボックスセットのレビューに、オリジナルLPほどには音は良くないという評価を見つけた。しかも文面でmp3からのリマスターか、と酷評してある。

    音質に関して全くそんな印象が無かったので、思い立って『All mod cons』を聴くことにした。

    AMC0420 (5)
    *ジャケット表とLP内袋(白く光っているのは照明の反射)

    AMC0420 (6)
    *裏とLP内袋逆側

    このアルバム、彼らの最初のピークを示す作品、あるいは、全アルバムを通しても(カバー曲を含め)最も充実した作品だと僕は位置づけている。

    が、彼らの作品を良く聴いていた頃、聴きすぎたこともあって、何故か再び聴こうという気が起こらず、それこそ27~28年近く聴いてなかったと思う。なんと長かったことだろう。
    そういうアルバムはこれだけだった。

    その久々の『All mod cons』、手持ちのLPを探したが初期盤が見つからず、すぐに出てきたのは80年代半ばに買った英国盤(POLD5008)。
    マトは-2/-3で、内袋がプレーンの白紙タイプに変更後のものなので再プレス分だと思う(以後2ndプレスと呼ぶ)。

    AMC0420 (11)
    *右が2ndプレス、ボックスセット盤ジャケットはピントが甘くコピー盤のようなジャケット

    AMC0420 (13)
    *こちらは左が2ndプレス、本当にボックスセット盤ジャケットはコピー盤みたいに見える

    久しぶりに聴いたが、こんなに良い音で録音されていたのかと驚いた。
    そして、やはり楽曲がどれも素晴らしい。これは本当に充実した初期(?)の傑作アルバムだ。

    さて、今のオーディオでの音を覚えて、今度はボックスセット盤を聴いてみる。
    すると、A面の出だしがとんでもなかった。
    イントロの掛け声「1-2-3」が欠けて「4」から始まるではないか!これは駄目だろう!
    購入後1年以上経過して気づくほうが愚かだが……。
    それでも掛け声が切れている程度で良かった。もしも演奏が途切れていたら目も当てられない。

    で、肝心の音質だが、これはやはり今時の高解像度と言うか、情報量の多いサウンドだ。
    比較した英国2ndプレスとのはっきりとした違いは、次の2点。

    ボックスセット盤は、英国2ndプレスほどには低音域の強調感がないし、耳につくやや高域寄りのアコギや声の帯域に艶がない(あるいは、2ndプレスではそのあたりの音域に強調感がある)。
    その代わりに、全帯域を通じて音情報が万遍無く含まれているし、音の粒子が細かいように聴こえる。
    低域から高域まですっかりと伸びているような印象。

    但し、ボックスセット盤の音を悪く言えば、全体にピントが合っている様な、メリハリが無い音とも言えなくは無い。
    ポジフィルムの写真でなくデジカメの写真のような。

    とは言えダイナミックレンジはこちらのほうが広く取られているように思え、Drumsが徐々に力強く叩きながら音量を上げていくところなど、そのニュアンスは英国2ndプレスよりも再現性が高い。

    AMC0420 (16)
    *2ndプレスのレーベル、盤は軽い

    AMC0420 (23)
    *ボックスセット盤、重量盤180~200g


    僕が聴き比べた印象では、ある程度のクオリティを持った機器で音量をある程度上げて再生しないことには、ボックスセット盤の実力を引き出せないように思える。

    それこそ小音量再生で、なおかつ情報量も引き出せない場合には、ただデジタルマスターを使用しただけにしか聴こえない可能性があり、そうなると英国Amazonでのレビューのような受け止め方をされる恐れもある。


    実はこのあたり、かねがね思っていることがある。
    前にも書いたかもしれないが、アナログマスターを24ビットあるいはDSDでデジタル変換した所謂ハイレゾデータをマスターにして製造したLPは、SACDやDVD-A登場以前のオーディオ装置で聴くと、あまり実力を引き出せないように思えてしまう。
    上流にあたるレコードプレ-ヤー関連、アンプ、そしてスピーカーともに現代的な装置を使ってこそ、初めて広帯域・高解像度な音の全体像を提示=再生できるわけだから。

    僕が中学~高校の頃に使っていたオーディオ機器だと、再生帯域は狭いし、解像度も低いし、音の立ち上がりも遅いし……となってしまって、当然ながらCD時代以前に作られたLPのほうが、近年のデジタルマスター盤よりも実力を引き出せたことだろう。

    僕ができるだけ現代的な機器を使いたいと思う理由はまさにここにある。
    と言いながら、僕の使っている機器の半数はほぼ10年選手になってしまった……今は先立つものが無いので。

    あ、書き忘れたが、2枚には音質差があるものの、それぞれ一長一短で、どちらも非常に良い。
    2ndプレスは音にメリハリがあり、音量も少し大きくプレスされているので、パッと聴くとこっちが良いように聴こえる。

    もし同じ値段で売られていたら、ハイエンドオーディオを使っている人はボックスセット盤を、そうでない人は2ndプレスを買えば盤の実力を引き出せるのでは。





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    テーマ : 洋楽ロック
    ジャンル : 音楽

    コメント

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    No title

    このボックスも実に欲しいのでありますが、ちょっと
    高めでしたよね。購入できずじまいです。

    単品でコツコツ集めていこうかなと思っています。
    それにしても…
    >「1-2-3」が欠けて「4」から始まる
    これはあり得ないですね〜。
    少なくともこのアルバムに愛着のある人間が
    手がけたものではないですよね。なんらかの理由
    で欠損していたとしても自分なら何かの補完方法
    を考えると思いますが。。

    Re: No title

    Columbiaさん、こんばんは。
    コメントありがとうございます。

    > このボックスも実に欲しいのでありますが、ちょっと
    > 高めでしたよね。購入できずじまいです。

    一時は日本のAmazonが英国よりも安価になっていて、激安時期があったのですが。
    今は取り扱いないみたいですね。

    > それにしても…
    > >「1-2-3」が欠けて「4」から始まる
    > これはあり得ないですね〜。

    ですよね。
    その後修正プレスが出たかどうか、あるいは僕が買った初期ロットのみ不良品だったのか?
    情報がないのでわかりません。

    > なんらかの理由
    > で欠損していたとしても自分なら何かの補完方法
    > を考えると思いますが。。

    カッティングのミスと言うか、流れ作業で次から次へとカッティングしていてそうなった?
    あるいは、持ち込まれたデジタルマスターそのものがイントロが切れていた?
    どちらかでしょうね。

    No title

    余談ながらジャケもそうですが、
    オリジナルのレーベルの美しさったらないですね。
    インクの発色の感じとか、レーベル面のヴァイナル
    部分の凹凸とかフォント、全てが一体となって存在感が
    あります。

    Re: No title

    Columbiaさん、こんばんは。

    > 余談ながらジャケもそうですが、
    > オリジナルのレーベルの美しさったらないですね。

    確かに!僕も初めて見た時は同様に思いました。

    > インクの発色の感じとか、レーベル面のヴァイナル
    > 部分の凹凸とかフォント、全てが一体となって存在感が
    > あります。

    再発盤は再発盤で、初めてフラットなレーベルを見て、それなりに良いなぁと思ったんですが(笑)。

    No title

    本盤、レーベルに惹かれて再発盤をあるうちに、と
    購入してみました。

    やっぱりイントロ「4」からですね。
    ありえないと思いつつ、内容は素晴らしかったです。

    今までCDでしか聴いた事がなかったのですが
    CDはパッケージングそのものがありがたくなく、
    LPで聴く時の作品感だったり構成感だったりを
    感じながら聴くのがやっぱり最高だとアナログの
    良さを再確認しました。

    これだからやめられない。

    Re: No title

    Columbiaさん、こんばんは。

    お、再発盤購入されたんですね。

    > やっぱりイントロ「4」からですね。
    > ありえないと思いつつ、内容は素晴らしかったです。

    そうでしたか・・・ボックスセット収録と同一ですね。
    確かにありえない・・・。
    でも、内容は素晴らしい、その通り。

    > CDはパッケージングそのものがありがたくなく、
    > LPで聴く時の作品感だったり構成感だったりを
    > 感じながら聴くのがやっぱり最高だとアナログの
    > 良さを再確認しました。

    オリジナルがアナログで出ていたものは、どうしてもそうなってしまいますね。

    > これだからやめられない。

    わかります(笑)。

    No title

    The Jam/The Studio recordings、ほか関連記事などを読んだりレコードを聴いたりしているうちに本ボックスがほしくなってきました(苦笑)。

    実はこの単品売りはすでに2枚ほど購入してしまい、コツコツ買い集めていこうかなと思っていたのですが、そうなるとシングルを集めたレコード2枚がどうしてもほしくなってきたという按配です。

    単品で集めてしまったらボックスと同じ価格に到達してしまうのでなんとももどかしい状況になってしまいました。。豪華本もあるのでどうせなら、とちょっと考えてしまっています。

    Re: No title

    Columbiaさん、どうも。
    こちらにもコメントありがとうございます。

    > 実はこの単品売りはすでに2枚ほど購入してしまい、コツコツ買い集めていこうかなと思っていたのですが、そうなるとシングルを集めたレコード2枚がどうしてもほしくなってきたという按配です。

    確かに、Box用に新たに編纂された2枚のシングル曲集は別売されていないですね。
    そこはBoxの魅力でもありますね。

    > 単品で集めてしまったらボックスと同じ価格に到達してしまうのでなんとももどかしい状況になってしまいました。。豪華本もあるのでどうせなら、とちょっと考えてしまっています。

    確かに、もどかしいですね。
    既に購入済みの2枚を売り払って、ボックス買いに走る方が懸命かもしれません。
    前述の2枚(+本)のことが無ければ単品で集めても同じなのですが。


    プロフィール

    JD

    Author:JD
    自分の感覚としては(昔の?)ラジオDJのネット版のようなもののつもり。僕は1970年代のオーディオ全盛期の最後に属する世代で、ペアマイク持参で生録に挑戦した世代。国内盤LPが高価だったので輸入盤を買っていた、そういう中高生時代を過ごした。

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