MFSLから発売されたSGT.UHQR盤

    こちらは、この3年ほどはだいたい毎号欠かさず買っている『analog』誌。
    季刊誌なので年に4回発行。僕が買う他のオーディオ雑誌と同様だ。

    UHQR (17)

    でも、もし年に1度だけ買うことにするなら、今回同様冬号がベストかなと思う。
    いわゆる、その年のベスト製品を紹介しているので、1冊に数多くの高評価機種が掲載され、今後現用のオーディオ機器を買い換える場合に参考にできるので。

    今号はそれ以外に珍しく、BeatlesのLPを聴き比べする企画があり、その中で取り上げられている『SGT』のMFSL UHQR盤についてのコメントが、僕がずっと抱いている印象と違いすぎだったので、僕の印象も記しておこうと思った。



    MFSLから発売されたUHQR盤と言うのは、簡単に言えば、より品位の高い素材を使ったレコード盤で、盤質に起因するノイズや音への悪影響を抑えこみ、加えて重量盤とすることで盤の反りを抑えフラットな盤面から正確な音信号を確実に拾えるようにした特別プレス盤のこと。製造枚数は『SGT』については5000枚限定。
    プレスに使用されたメタル原盤は通常のMFSL盤と共通。
    つまり、盤素材により徹底したlow noiseと正確な信号再現を狙ったもの。

    UHQR (8)

    盤素材に起因する雑音成分等の測定データを示したシートが付属するが、UHQR盤と比較対象となっている盤は一般のLPのようで、MFSL通常盤ではないように思える。これでは、片手落ちではなかろうか。

    これに似たレコードとしては、以前Classic records社が発売していた、同一タイトルでの200g盤と150g盤があった。

    『analog』誌の企画の中では通常のMFSL盤との音質比較はしておらず。UK盤とニンバス盤とが比較対象となっている。

    但し、この特集記事に書かれたUHQR盤についてのコメントは、参加者の記憶・印象として、通常のMFSL盤よりも何倍も良い音質であるかのような表現に僕には思える。

    しかし、これを読んで久しぶりに引っ張り出してきて比較したが、僕にはそのような印象は昔からなかった。

    UHQR (6)
    *比較対象のMFSL通常盤はBox setのもの

    以前、東京にいた頃にじっくりと聴き比べをしたのだが、その時は音質差を見出せずじまいだった。
    あの頃とは部屋が違うし、使っているオーディオ機器のうちスピーカー、レコードプレーヤーだけは同じだが、カートリッジ、アーム、フォノEQ、ターンテーブルシートなどはグレードアップしている状況で、ようやく違いが音に出るようになったのだけれど、それとて、『analog』誌企画内のコメントには程遠い。

    僕のところでの再生音の特徴だけ記すと、MFSL通常盤との比較で UHQR盤は、
    ・中低域が分厚く重心が低い
    ・ボリューム位置が同じ場合、音量が若干大きい気がする
    ・音の繊細さは通常盤のほうが優れるように聴こえる(あるいは単に音が細いのかも)
    違いはこれくらいなのだ(苦笑)。
    *相対的に音量が大きく聴こえるので、僕は比較時にUHQR盤の音量を少し下げて聴感上で音量差の無いようにして比較している。けれども同一スタンパーにも関わらず音量が違うように聴こえるのだから、ボリュームを変えずに比較すべきとの意見もあるかも。

    UHQR2.jpg
    *UHQR盤は箱入り、シリアルNo.は塗りつぶした

    そのあたり、両者から大きな違いを引き出し、特にUHQR盤が通常盤をはるかに凌駕するような音で再生するには、『analog』誌企画で用意されたような、本当のハイエンドシステムで再生しなければ違いは出ないのかな?とも思える。

    僕自身が一番気にしているのはスピーカーの違いだ。
    どれほど上流の音が高音質であっても、スピーカーの実力によって再生音には製品のグレードに応じた天井がある。現状、スピーカーの倍ほどの価格のアンプを組み合わせており、スピーカーの実力は十分に発揮されていると思っている。

    僕が使っているスピーカーは、KEFのreferenceシリーズの一つ下のグレードということもあり、以前記したようにオーディオルームで使う製品がreferenceシリーズだとしたら、僕のはlivingルームで使うような製品となっている。

    『analog』誌企画で用意されたAvalonのスピーカーは500万円ほどなのだが、僕のは端数を四捨五入で、その10分の一程度。
    当然音楽表現が違うだろうし、オーディオ的な観点からの再生音については、それ以上に大きな隔たりがあるだろう。

    なので、両LP間の音質差を引き出すには、システム全体でかなり高額なハイエンド機器で聴かないことには無駄なのかも、とさえ思えてしまう。
    あるいは、僕が買った盤がはずれ盤だった可能性も全くないとは言えない(MFSL社が、かなりこだわって製造した盤なので、可能性はかなり低いと思うが)。

    ちなみに、80年代に新品で売られていたときは、MFSL通常(単品)盤が3000~3500円程度、UHQR盤はその1.5~2倍程度だったような記憶がある。


    と記しておきながら、前述したClassic records社からの200g盤と150g盤とを、同一タイトル(Whoの『Quadrophenia』)で比較したところ、MFSLでの比較以上に200g盤のほうがオーディオ的に音が優れる印象を受ける(苦笑)。こちらも、両者同じメタル原盤からプレスされているようだ。

    UHQR (12)

    UHQR (15)
    *こちらも200g盤の方が音量が大きい印象を受けるため、ボリュームを調整して比較している。

    このあたり、アナログゆえの結果のようにも思え、ターンテーブルと盤の相性があるのではないか?などとさえ思えてしまう。
    少し前になってしまうが、同じく『SGT』の2014再発monoと英国オリジナルmonoとの間にもほとんど音質差を見出せなかったし……。


    これが、ハイレゾ音源ファイルの再生であれば、音源ファイルそのものにUHQR盤もなければ通常盤や重量盤もなく、アナログ盤よりも確実に(そして安価に)高音質を引き出せる気がするのだが。


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    理屈では

    同じメタルからプレスした違う重さの盤は、当然厚さが異なります。すると、カートリッジのアングルが変わって来るので、音も変わると考えられます。(それが音量が違うという印象に結びつくかどうかはまた別の問題ですが)
    なお、私見ではUHQRが優れているとはぜんぜん思いません。オリジナル盤にくらべると生気が抜けているように思います。

    Re: 理屈では

    ん。さん、こんばんは。
    技術解説、どうもありがとうございます。

    > 同じメタルからプレスした違う重さの盤は、当然厚さが異なります。すると、カートリッジのアングルが変わって来るので、音も変わると考えられます。(それが音量が違うという印象に結びつくかどうかはまた別の問題ですが)

    そうですね、UHQR盤はかなり厚みがあります。
    音量については、僕のところでの印象なので、確かに他の方々の印象と同じかどうかはわかりませんね。

    あるいは、盤の厚みが増えた分、僕の場合、わざわざアーム高さを調整していないので、通常盤が水平だった場合、重量盤では微妙にカートリッジ側が上がっていることになり、それが影響している可能性もありますね。

    > なお、私見ではUHQRが優れているとはぜんぜん思いません。オリジナル盤にくらべると生気が抜けているように思います。

    そうですか、生気が抜けているですか(笑)。
    MFSL盤全体に対して、英国オリジナル盤よりもおとなしいという意見は聞いたことがありました。
    同様の意味かどうかわかりませんが。

    僕個人は、特にそういう印象はありません、通常のMFSL盤に対しても。
    ただ、SGTのUHQR盤と通常のMFSL盤とでの音質差はあまり無いというのが、現時点での印象です。
    でもそのあたり、使用するオーディオ機器によって、印象は変化するのかな?とも思えます。



    プロフィール

    JD

    Author:JD
    自分の感覚としては(昔の?)ラジオDJのネット版のようなもののつもり。僕は1970年代のオーディオ全盛期の最後に属する世代で、ペアマイク持参で生録に挑戦した世代。国内盤LPが高価だったので輸入盤を買っていた、そういう中高生時代を過ごした。

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