再発『1』LP

    アナログマスターを使用した再発『赤盤』『青盤』は、それなりに注目を集めているように思えるが、2009 remaster音源を本当に使用した再発『1』はそれほどでないのかもしれない。

    でも僕は、EQ操作を施していないremaster音源使用のSTEREO LPを聴いてみたいとずっと思っていたので、(再発『赤盤』『青盤』がアナログマスター使用とわかり)急遽『1』も予約していたのだった。

    beatles1 (17)
    *内袋、ピンナップ、ポスター(写真には写っていない)付属など、初版『1』LPと同一の仕様



    レコード2枚目にあたる中期~後期の曲については、非常にうまく音がまとめられているように思え、それは良くも悪くもアナログマスターで聴かれた音とは違い、やたらと整いすぎているようにも聴こえる。
    とは言え、音質的には十分に満足のいくものだった。

    レコード1枚目については、大元のマスターが音質劣化している「A hard day's night」やアルバム『Help!』収録の3曲が1987 G.Martin remixになっているなど、LPで聴くと違和感のある音源が使われているものの、初版の『1』時点から1987 G.Martin remixだったことを踏まえるとこんなものか、と思える。こちらの音質も全体的には満足の行くレベル。

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    *左(奥)が2014、右(手前)が2000年発売のEU盤LP、2014再発の方が少しオレンジっぽい色味

    少なくとも、初版『1』のアナログ盤(EU盤)と音質を比較すると、まさに2009 remaster CDがそうだったように、再発『1』の音はデジタルリマスターでありながらアナログっぽいふくよかな音を聴かせる。
    いや、それどころか音の品位が向上していること、解像度が上がっていることもわかる。
    こうなると、初版『1』LPは今後何年も聴かない、聴いても3年に1回程度、になりそうな……それなら手放しても良いくらいだ。

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    *裏面での比較、こちらは左(手前)が2000、奥(右)が2014再発

    でも、手放すならEU盤よりも音質的に見劣りする国内プレス盤が先だろう。
    こちらは、中低域が薄く、音が硬く聴こえるだけでなく、音に輝きがない。

    デジタル音源がマスターであれば、プレスによる音質差なんてあまり無いように思いがちだが、よくよく思い出すと、旧CDマスターを使用したLPも、英米プレスに較べると国内盤だけは硬い音(コピー盤っぽい音)がして今ひとつだった。
    基本的に同様の結果だと思われる。

    beatles1 (8)
    *国内盤だけが重量盤でない(2000EU盤、2014再発も重量盤)


    2009 remasterを使用したStereo LPsとの比較で、再発『1』は音質が向上したのでは?と思える点もある。
    USプレス盤『MMT』収録の「All you need is love」よりも明らかに再発『1』の方が良い。
    もしかすると『MMT』では最内周だからかも。音が歪っぽい。
    同じLPに収録の「Hello, Goodbye」は、両者変わらないレベル。
    これは両曲ともに、2枚のLPの再生音量を同一にして比較した結果。

    beatles1 (6)
    *MMTはBox setでなく単品で買ったもの(USプレス)


    先日記した通り、再発『赤盤』『青盤』は、従来マスターを使用しながらも、低域・高域がこれまでで一番強めになっていて、特に『青盤』での低域の太さは、ちょっとやり過ぎに思える曲もあった(僕のオーディオでは)。
    それと比較し、再発『1』で聴ける低音域はこれまで聞いてきたBeatles楽曲と変わりなく、『青盤』Side-4で音質的に気になる曲が、再発『1』では難なく聴ける。

    特に最終曲の「The long and winding road」は、再発『1』の音質は見事だと思う。再発『青盤』では、音が悪いなぁと思えていたのだが。
    それにこの曲、再発『1』は、まるでremixしたかのように、ストリングスの音量が相対的に小さく、ボーカルの音量が大きい。これも好印象を与える。
    少なくとも、僕が望んでいた方向性だ。


    当初は再発『1』同様に、再発『赤盤』『青盤』も2009 remaster音源使用の予定だったのだが……つい先日HMVから届いた国内仕様LPの商品案内には、今も古い情報のまま「2010年リマスター音源使用」などと書かれていて、誤った情報を垂れ流しにしていて恥ずかしくないのか?と思えたが。あるいは国内盤のみ2010 remaster音源でプレスしたとか?(きっと、そんなことはないだろう。)

    ちなみに、2009 remasterでなく2010になっているのは、『赤盤』『青盤』に関しては2010年の再発だからなのだろう(それ以外の理由が思いつかない)。

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    *2010年発売の再発CD

    当時ひっそりと?『1』もremaster音源にて再発されたので、今回のLPのレーベルには2009 remasterと記されている(2010ではない)。

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    テーマ : 洋楽ロック
    ジャンル : 音楽

    コメント

    Secret

    いつも興味深く拝見させて頂いています。こちらのブログをみるのが日課になりつつあります。わたしも[1]のアナログを購入しました。JDさん同様に最新の青盤のD面、特にザ ロングアンドワインディングロードは歪ぽくあり不満でした。2009年リマスターのEQ処理してない[1]に当初は満足していたのですが、ふと 音の密度が低い?情報量が少ない?と思い始めました。それで思ったのが、この最新[1]のマスターは16bitにコンバートされたCDと同じマスターを使用しているのではないか?ということでした。JDさんはどう思われるでしょうか?

    No title

    JDさん、こんにちわ。
    こちらでの評価が非常に良かったので、再販赤盤、青盤を購入しました。
    これから年末・年始の休みを使って、じっくり聞き込んでみたいと思います。
    もともとUKオリジナルの赤盤、青盤の音質の良さをJDさんにいろいろ教えて頂きとても気に入っていましたので、それと比較して聞いてみることがすごく楽しみです。
    再販1も再販赤盤、青盤とも違い印象ですか?
    私も2000年発売の方は持っていますが、JDさんの書かれているように音がデジタル的で自分も好みでないので5年以上聴いていないですね。

    Re: タイトルなし

    タレゾーさん、こんばんは。はじめまして。

    > いつも興味深く拝見させて頂いています。こちらのブログをみるのが日課になりつつあります。

    それはどうも、ありがとうございます(笑)。

    >JDさん同様に最新の青盤のD面、特にザ ロングアンドワインディングロードは歪ぽくあり不満でした。

    再発青盤であの曲は音質が今ひとつですね。

    >ふと 音の密度が低い?情報量が少ない?と思い始めました。

    僕自身は特に音の密度が低いとも情報量が少ないとも思いませんでした。
    比較したのが旧『1』LPだったからなのかもしれませんが。

    ただ、同時再発のアナログマスターLPの『赤盤』『青盤』よりは密度が薄いように思います。

    >それで思ったのが、この最新[1]のマスターは16bitにコンバートされたCDと同じマスターを使用しているのではないか?ということでした。JDさんはどう思われるでしょうか?

    最初からその可能性は高いと思っています。
    2010年発売のCD『1』用のマスターをそのまま使えば手間を軽減できる=コストダウンできるので。

    Remaster Stereo LPの『MMT』と比較し(音質的にあまり変わらないと思えた「Hello, Goodby」などで)そのあたりの違いが聴きとれれば、マスターの違いは確実でしょうね。
    ただ前述の通り、今のところそこまで比較できていませんが。

    もし気になった曲などあれば教えてください。
    年末年始なので、レスが遅くなるかもしれませんが。









    Re: No title

    cut&rinseさん、こんにちは。

    > こちらでの評価が非常に良かったので、再販赤盤、青盤を購入しました。
    > これから年末・年始の休みを使って、じっくり聞き込んでみたいと思います。

    是非楽しんでください。
    青盤のside-4については、僕のオーディオではオリジナル英国盤のほうが良いと思えました。

    > 再販1も再販赤盤、青盤とも違い印象ですか?

    今回の再発『1』は予定通りのデジタルマスター使用なので、アナログマスター使用の再発『赤盤』『青盤』とは印象が違いますね。これはこれで整った音に聴こえます。
    ただ、アナログ時代からのファンにとっては物足りなく思える気もしなくはありません。
    やっぱり、整いすぎているように思えるんですね。

    > 私も2000年発売の方は持っていますが、JDさんの書かれているように音がデジタル的で自分も好みでないので5年以上聴いていないですね。

    旧『1』よりはずっと聴きやすいと思います。
    『1』の曲順でアナログで聴きたいなら、選択肢はこれしかないと思いますが、そうでないなら再発赤青盤で済みますね。



    改めて、リマスターステレオLPと最新[1]のアナログを聴き比べてみました。お恥ずかしい話ですが、今度はJDさんの言うように各曲 音に大差を感じませんでした。多分、アナログマスターの赤、青盤を頻繁に聴いていて、最新の[1]の音に物足りなさを感じていたのかもしれません。それと旧マスターの[1]がCDで発売された当時は、それまで発売されていたCDに比べてとても音がよく(特に初期)個人的には気に入っていて、その記憶が強く残っていたのかもしれません。今となっては音圧も高めでちょっとうるさい感じですが。それでも初期のシングル曲などは、それくらいの方が迫力が感じられて、60年代初期のビートルズ旋風を実感できるように思います。ちょっと大袈裟ですが。特にキャント バイ ミー ラブは09年リマスターより、旧マスターの[1]の方が気に入ってます。話がずれてしまいましたが、最新[1]とリマスターLPの音は、JDさんの言うように大差ないと思いました。ただ、おっしゃる通りCDマスターを流用しているのではないかという疑念は残りますが。乱文になり申し訳ありません。

    Re: タイトルなし

    タレゾーさん、こんばんは。
    お返事どうもありがとうございます。

    > 改めて、リマスターステレオLPと最新[1]のアナログを聴き比べてみました。お恥ずかしい話ですが、今度はJDさんの言うように各曲 音に大差を感じませんでした。多分、アナログマスターの赤、青盤を頻繁に聴いていて、最新の[1]の音に物足りなさを感じていたのかもしれません。

    それならわかります。
    僕も何度も何度も繰返し聴いて比較します。
    そうでないと、見逃し(聞き逃し?)があるというか……時間を空けて何度か聴くことで違いがはっきりするので。昨日と今日とで印象が変わることもしょっちゅうですし。

    >それでも初期のシングル曲などは、それくらいの方が迫力が感じられて、60年代初期のビートルズ旋風を実感できるように思います。ちょっと大袈裟ですが。特にキャント バイ ミー ラブは09年リマスターより、旧マスターの[1]の方が気に入ってます。

    そういう聴き方もありだと思います。

    僕は『1』初登場の頃から、イコライジングによる人工的な音のように思えていたので、全然別な意見なのですが。
    ただし、旧『1』の「A hard day's night」は、2009リマスターと違ってイントロに劣化が感じられないので、それだけは僕も良いと思っています。

    >ただ、おっしゃる通りCDマスターを流用しているのではないかという疑念は残りますが。

    もしかすると、remaster Stereo LPのときのように、コンプレッサーやリミッターによる音作りをしていないのであれば大元の24ビット音源を元にしている可能性はありますね。
    僕は09音源使用の『1』CDは持っていないので、わかりませんが。

    >乱文になり申し訳ありません。

    いえいえ、こちらこそ年末のお忙しい中、お返事いただき、どうもありがとうございました。
    今後ともよろしくお願いします。


    遅くなりましたが、
    皆さんに触発されて、
    私も購入してみました。
    確かに良い音なのですが、此処一連のアナログ音源のレコードを聴いた後ですと、音の立ち上がりと言いますか、音のスピード感が遅く感じます。ゆったりとした良い音と言うイメージです。ですので、前期の曲では、あの元気な感じが薄く感じられました。オーディオとしては良い音ですが、あれっ?何か弱いかも?といった適当な表現では無いのですが、と言う印象でした。ここまで書いてから、皆さんも初期の曲については、そのような印象を書かれていた事に気づきました。お恥ずかしい。
    皆さんも、ビートルズを良い音で聴きたいが、失って欲しくないものを意識されてるのですね。
    なんだか、楽しくなりますね。

    Re: タイトルなし

    業務関係さん、こんばんは。
    コメントありがとうございます。
    「1」の再発盤、買われたんですね。

    > 確かに良い音なのですが、此処一連のアナログ音源のレコードを聴いた後ですと、音の立ち上がりと言いますか、音のスピード感が遅く感じます。ゆったりとした良い音と言うイメージです。ですので、前期の曲では、あの元気な感じが薄く感じられました。オーディオとしては良い音ですが、あれっ?何か弱いかも?といった適当な表現では無いのですが、と言う印象でした。ここまで書いてから、皆さんも初期の曲については、そのような印象を書かれていた事に気づきました。お恥ずかしい。

    僕はスピード感の違いはわかりませんが、「1」のデジリマ音はきれいにまとめられ過ぎていて、それがアナログマスター盤との比較で初期特有の激しさが感じられない大きな理由なのかなと思っています。なんというか分析的にきれいな音になっていて、猥雑感が消されたような印象です。なので、「1」はレコード2枚目以降のほうが好きですね。

    > 皆さんも、ビートルズを良い音で聴きたいが、失って欲しくないものを意識されてるのですね。
    > なんだか、楽しくなりますね。

    結局、アナログ盤の音を何十年も聴いてきて体で覚えているような人であれば、デジリマ音源を聴くならばデジタルメディアの方が良いということなのかもしれませんね。


    プロフィール

    JD

    Author:JD
    自分の感覚としては(昔の?)ラジオDJのネット版のようなもののつもり。僕は1970年代のオーディオ全盛期の最後に属する世代で、ペアマイク持参で生録に挑戦した世代。国内盤LPが高価だったので輸入盤を買っていた、そういう中高生時代を過ごした。

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