再発『赤盤』

    *12/5訂正:マスターの劣化を感じる部分があると記したが、オリジナル英国盤でも聴き取れた為、1973年の時点からだったと判明。その部分を訂正した。


    今年は早い時期からアナログ人気復活の兆し、あるいはアナログ盤の売れ行きが好調という記事を雑誌なりネットなりでよく目にした。

    それはあながち間違いではなさそうで、一昨年そして去年とクリスマス商戦に間に合わせる形で大物アーティストのLP Box setがそれなりに発売されたが、今年はさらにアナログで発売されるタイトルが増えた気がする。
    12月にはKinksのPye時代のスタジオアルバムが(権利を得たSonyから?)発売の予定だし、今日はHMVに予約していたこれが届いた。

    akaban (1)
    *表裏とも写真の画質はコピーっぽい

    またしてもBeatlesで申し訳ないが、1973年登場の『赤盤』だ。
    *同時入荷のはずの『青盤』は入荷遅れで少し延期とのこと



    Mono LP Box発売後のいつだったか、『赤盤』、『青盤』、『1』、そしてremixアルバムの『Love』がLPで再発されると発表され、その時点で『赤盤』、『青盤』は2009年のデジタルマスター(24ビット/192KHz)を元にしての発売との話だった。
    つまり、例のStereo LP Boxで使われた音源を使用するとのこと。
    僕はそれを知って、是非聴いてみたいと思い予約を入れた。

    akaban2 (6)
    *ジャケット裏面

    Stereo LP Boxは残念なことに、カッティング用のマスターを作成する際に、アナログ盤の物理的な歪みを元音源での周波数補正により除去しようとしたため(特に内周部に行くにつれて補正が強くなる)、高域や特定帯域の音が聴こえにくい曲が存在するはめとなった。

    それはLP片面の途中から出現あるいは最後の曲だけなど、アルバムごとにさまざまで、聴いていて何とも強いストレスを感じさせられた。

    結果、不評となり販売店には在庫の山、挙句、Mono LP Boxでは製作済みのマスターを破棄しall analogue processでの製造へと方針転換された。

    akaban2 (4)
    *今回の内袋は艶ありの厚手

    僕は、再発される『赤盤』『青盤』では、デジタルマスターを使用しても同様の補正処理はされないと睨んだ。デジタルマスターを使用したクリアな音を聴いてみたかった。

    過去の初CD化に伴い発売されたカラーレコード(CDマスターを使用)も持ってはいるものの、USB版ハイレゾの元となったマスターによるアナログの音を試してみたかった。

    けれど結局、今回の『赤盤』、『青盤』は、またまたall analogue processでの製造だった。
    オリジナルのアナログマスターテープを使用するが、擬似ステレオ曲のみモノ音源へ差し替えるとの話。

    akaban (3)
    *クリックで拡大:ちゃんとアナログマスター使用と謳われている

    実際に聴いてみると、予想以上に高音質で驚かされた。

    僕はこのブログで昔から『赤盤』の音質が非常に良いと何度も何度も記してきた。
    それは英国プレスのみでなく、別音源を使っている米国プレスに関しても。

    今回は英国マスターを使用していて、僕の推測を記すならば、ステレオ曲に関しては当時のマスターそのもので、モノ曲のみシングル用のマスターからのコピーテープを作成し、元の擬似ステレオマスターを切り離してつなぎかえたのではなかろうか。
    と言ってもたった2曲だけだ。A面1曲目の「Love me do」と4曲目の「She loves you」。
    他は全て元からtrue stereoだった。(もしこれが米国マスターだったなら、もっとたくさんつなぎ替えが必要となる・・・擬似ステレオでなくモノで収録された曲をステレオに変更するために。)

    そしてその音質だが、オリジナル英国盤のマト-1/1/3/1との比較で、曲によっては少しマスターの劣化を感じてしまう部分もあったが、基本的にどれもこれまで以上に暗騒音を含めたノイズを除去することなく記録された音をしっかりと盤に刻み込むように製作されたように思えた。
    *12/5訂正:マスターの劣化はオリジナル英国盤の時点で聴き取れた為、今回からというわけではなかった

    最初、A-2の「Please please me」を聴いた時に、これってハイレゾ?と思わずにいられなかった(僕はハイレゾでは聴いた事がないのだが……)。
    歌と演奏を一発録音したベーシックトラックに記録されたスタジオの響き、特に中低音域の間接音が、自分もスタジオにいるのではないかと思えるほどにリアルに再現されて驚いた。
    *断っておくが、この曲そのものはオーバーダブでハーモニカやコーラスを重ねたことはわかっているのだが。

    akaban2 (2)
    *ライナーノーツ?インサートが1枚付属

    初版のマト1と比べると、マト1もものすごく良い音なのだが、今回のLPのほうがよりマスターテープに入っていた音を引き出しているのでは?と思える。
    さすがに1世代違う音とは言えないけれど、少なくとも同じ世代のテープから、より多くの情報量を引き出したという印象を受けた。

    それは他の曲でも同じで、全体的にオリジナル盤よりも高域、低域が目立つだけでなく、情報量が多いという印象。解像度も高いし、テープノイズも目立つ場合もある。
    そして、前回記した鮮度と言う点においても、音の立ち上がりの速さからすると五分五分ではなかろうか。

    マイナス点は前記したように曲によってはテープ劣化を感じる部分もあることと、ほんの一部にプレスミス?っぽいノイズが付随すること。

    しかしそのプレスミス部分を除くと全体的に盤質が良く、盤質に起因するノイズが少ない。この違いは音質への影響がそれなりに大きいと思えた。


    いやぁ、『青盤』の入荷が待ち遠しい……但し、『青盤』は収録時間が長いので『赤盤』ほどの高音質は望めないのだが、音のゆとりを感じる点において。

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    ジャンル : 音楽

    コメント

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    No title

    拙は最初興味はなかったものの、赤盤、青盤がマスター・テープからアナログ・プロセスでマスタリングされたと聞いて興味津々でした。きのう、仕事帰りにレコード店に行ったら確かに入荷は赤盤だけでしたね。そのときは買いませんでしたが(これもアナログ・プロセスのリマスター、モノEP『LONG TALL SALLY』だけ買って帰りました)、今回の赤盤・青盤は買わねばなりませんね(笑)。

    今回のSTEREOでの試みが評判となれば、将来は不評だった2年前のリマスターやり直しによる再々発なんてことになるかも?

    Re: No title

    路傍さん、こんばんは。
    コメントありがとうございます。

    > 拙は最初興味はなかったものの、赤盤、青盤がマスター・テープからアナログ・プロセスでマスタリングされたと聞いて興味津々でした。

    USB版をお持ちだからか?僕と違って最初は興味がなかったんですね。

    >そのときは買いませんでしたが(これもアナログ・プロセスのリマスター、モノEP『LONG TALL SALLY』だけ買って帰りました)、今回の赤盤・青盤は買わねばなりませんね(笑)。

    再発赤盤の音を聴くと、もしかするとMono boxよりも良いかなとも思えます。
    理由はステレオだからだと思いますが。
    それにしてもモノEP『LONG TALL SALLY』が買えるのは羨ましいです。
    Mono mastersで我慢です(笑)。

    > 今回のSTEREOでの試みが評判となれば、将来は不評だった2年前のリマスターやり直しによる再々発なんてことになるかも?

    もしそうなったら、腹立たしいと思うものの、買いますよね(苦笑)。
    Stereo LP Boxを安価で売り払ってでも。


    No title

    ベスト盤は殆ど買わないのですが、
    ブログを拝見して赤盤をHMVから買いました。EP盤でした。
    1A、1B面しか聞いていませんがこれは良いです。
    1A面7曲目のCan't Buy Me Love を英国2EMI盤と比較しましたが、
    赤盤の方が低音がしっかりし、声はかなりリアルです。
    2面のAnd I Love Herのアコギの音もリアルで嬉しい (^^)
    ベスト盤がこのように高音質なのは驚きです。
    青盤が楽しみです。

    Re: No title

    kirinさん、こんばんは。
    はじめまして。
    当ブログを参考にしていただき、どうもありがとうございます。

    > EP盤でした。

    EU盤の入力ミスですね。
    もし先日のMono盤と同様なら、EU盤しか存在しないかもしれません。

    > ベスト盤がこのように高音質なのは驚きです。

    実のところ、英国盤初期盤も高音質で、音の美しさはほとんど変わりません。
    ですが、今回のカッティングのほうが低域が太く深くなっていて、高域も少し目立ちます。
    そのあたりは傾向が違いますね。

    > 青盤が楽しみです。

    僕も楽しみにしていて、今日届きました。
    少し聴いたところ、青盤については、低域の太さが悪影響している曲がありました。
    あるいは、本来のマスターが、かなり飽和状態の音だったことが露呈したのかもしれません。
    前から気になってはいましたが。


    No title

    ご返事ありがとうございます。
    購入時の参考にさせていただいております。
    青盤についてもよろしくお願いします。
    なお、Can't Buy Me Love を比較した英国2EMI盤LPは A Hard Day's Night です。
    赤盤とも再内周であり、ポールのオーバーダブがクッキリ出ていて面白いと思います。

    Re: No title

    kirinさん、こんばんは。
    青盤についての記事をアップしました。

    基本的には赤盤同様に高評価ですが、Side-4のみ気になります。
    ただ、あのあたりは再生装置とも関連する部分ですが。

    > なお、Can't Buy Me Love を比較した英国2EMI盤LPは A Hard Day's Night です。
    > 赤盤とも最内周であり、ポールのオーバーダブがクッキリ出ていて面白いと思います。

    2EMIのLP『 A Hard Day's Night』よりも、今回の赤盤収録曲3曲は低音域が厚めですね。
    そして「Can't buy me love」は何故かLPでは音質的に不利な場所に刻まれます。もったいない。




    No title

    すみません、やはりHARD DAYS NIGHTの冒頭は、リミッターで潰れているのでしょうか?
    一時期話題にあがっていましたが、
    本当に残念な音ですよね、、、
    リマスターシリーズに関して自分の中では、この冒頭の音とlet it beの椅子(?)か何かが、ギシっとなる音が消されてるのがショックでした。

    Re: No title

    業務関係さん、こんばんは。

    > すみません、やはりHARD DAYS NIGHTの冒頭は、リミッターで潰れているのでしょうか?

    今回の再発『赤盤』はオリジナルアナログマスターを使用しているので、イントロの高音域への周波数操作は行っていません。とても強烈な一撃が聴けます。

    2009 remaster CDならびにremaster LPについては、帯域操作がなされています。
    あれを補正と呼ぶかどうか悩むところです。hi-cutかEQ操作かのどちらかだと僕は睨んでいます。
    当時の記事は次のURLです。
    http://jdanalog.blog111.fc2.com/blog-entry-42.html


    > 一時期話題にあがっていましたが、本当に残念な音ですよね、、、

    はい、同感です。
    今回同時期の再発となった『1』は、新たに2009 remasterに置き換えられているそうなので、そちらが残念な音源の盤になります。

    > リマスターシリーズに関して自分の中では、この冒頭の音とlet it beの椅子(?)か何かが、ギシっとなる音が消されてるのがショックでした。

    確かにレコードではギシっと鳴る箇所がありましたね。
    Remaster CDをほとんど聴いておらず全然覚えていませんでした。
    修正されてしまったわけですね。

    お返事ありがとうございます。
    早速、購入しました。
    また、聴いていませんが、
    楽しみにします。
    このレコードの購入時に、アレサフランクリンが、最近の曲を歌ったカバーアルバムも一緒に購入しました。お店の試聴用のCDで、ちょっと聴いただけですが、アデルの曲なんか、鳥肌でました。これも、ゆっくり聴きたいです。

    Re: タイトルなし

    業務関係さん、こんにちは。

    再発の赤盤(青盤も?)購入されたんですね。
    僕はかなり良い音で聴けると評価しています。

    > このレコードの購入時に、アレサフランクリンが、最近の曲を歌ったカバーアルバムも一緒に購入しました。お店の試聴用のCDで、ちょっと聴いただけですが、アデルの曲なんか、鳥肌でました。これも、ゆっくり聴きたいです。

    アレサの新作ですか?とっても良さそうですね。
    僕も調べておこうと思いました。


    No title

    JDさん、明けましておめでとうございます。
    今年もよろしくお願いします。。

    再発赤盤・青版、聞いてみました。
    確かにJDさんの言われる通り、音は良いですね。
    これだとオリジナル版(赤版1131)と比較しても、自分の好みでもありますが再販版の方が良いと感じました。
    例えばPleasePleaseMeの最初の出だしの”ジャーン”という音1つをとっても今までに聞いたことのない、背筋がぞくぞくっとする音ですね。SheLovesYouやIwannaHoldYourHand、などもボーカルがぐいぐいと前面にでてきていて、低音の輪郭もくっきりしており、MFSLtoha違いますが同様な傾向で自分の好みにもあっていて◎でした。青版も同様ですが、特に後半はベースの違いや録音技術の進化もあってベースラインが輪郭もくっきり&太くなっていてすごく気持ちが盛り上げって来ますね。
    かなり音量を上げて聞きましたが、デジタルだとトゲトゲしい、耳ざわりになりがちですが、アナログサウンドで素晴らしく良かったです。
    久しぶりに感動しました。
    今回もJDさんのコメントが非常に参考になりました。
    ありがとうございました。
    困ったことはUKオリジナル版の存在価値が低下してしまいそうな点ですね。

    Re: No title

    cut&rinseさん、こんばんは。

    あけましておめでとうございます。
    こちらこそ今年もよろしくです。

    > これだとオリジナル版(赤版1131)と比較しても、自分の好みでもありますが再販版の方が良いと感じました。
    > 例えばPleasePleaseMeの最初の出だしの”ジャーン”という音1つをとっても今までに聞いたことのない、背筋がぞくぞくっとする音ですね。SheLovesYouやIwannaHoldYourHand、などもボーカルがぐいぐいと前面にでてきていて、低音の輪郭もくっきりしており、MFSLtoha違いますが同様な傾向で自分の好みにもあっていて◎でした。

    僕も再発赤盤で最初に驚かされたのが「Please please me」のイントロでした。「Love me do」がモノなので、「PPM」で急に音の空間が立体的に広がって驚かされました。あわててオリジナル赤盤も聴いたら、こっちも広がるんですけど、再発の方が低音域うまく立体再現を高めているように思えました。次のFrom me to youも音が良いですね。

    >青版も同様ですが、特に後半はベースの違いや録音技術の進化もあってベースラインが輪郭もくっきり&太くなっていてすごく気持ちが盛り上げって来ますね。
    > かなり音量を上げて聞きましたが、デジタルだとトゲトゲしい、耳ざわりになりがちですが、アナログサウンドで素晴らしく良かったです。
    > 久しぶりに感動しました。

    青盤では、SGTのイントロの聴衆ノイズにびっくりし、演奏が始まるとMFSLと別傾向の音の良さを感じました。
    今回の再発はオリジナル盤を持っていても追加購入しても良いぐらいだと思いましたよ。

    > 困ったことはUKオリジナル版の存在価値が低下してしまいそうな点ですね。

    音質だけをとるなら、そうなる可能性はありますね(笑)。
    プロフィール

    JD

    Author:JD
    自分の感覚としては(昔の?)ラジオDJのネット版のようなもののつもり。僕は1970年代のオーディオ全盛期の最後に属する世代で、ペアマイク持参で生録に挑戦した世代。国内盤LPが高価だったので輸入盤を買っていた、そういう中高生時代を過ごした。

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