音の鮮度/Beatles in Mono

    「音の鮮度が高い」という言葉を初めて聞いた(読んだ)のは、たぶん90年代後半に入ってからのように思うが、単純に「新鮮な音」として何の違和感もなくすんなりと受け入れてきた。

    ところが最近になり「鮮度が高い」って、一体どういうことだろう?と、自分では、その言葉の意味するところがわからなくなってきた。
    特に『Beatles in Mono LP Box』を聴いて。



    前回の記事で比較したWhoの2枚の編集LP、英国盤『Rarities Vol.2』と米国盤『Who's missing』とでは、マスターテープの世代の違いによる音質差、つまり、単純化すれば元テープとコピーテープによる音質差を感じた。

    この場合、英国盤『Rarities Vol.2』は米国盤『Who's missing』よりも鮮度が高い音……とは言いにくい。少なくとも僕は。
    そう表現する人もいるのかもしれないが。

    僕の思う「鮮度の高い」は、マスターが完成してからさほど時間を経ずして使用されたことによる音質保持(保存)を指す言葉あるいは表現かな、と。
    例えば録音されたものの、何十年も陽の目を見なかったアウトテイクが正規テイクのマスターテープよりもすっと音がフレッシュな場合、この部類に入るだろう。

    それで、話を『Beatles in Mono LP Box』につなげるが、今年発売されたBeatlesのMono LPsについては、仮にフレッシュな音をしている(と思える)ならば、やはり音の鮮度が高いのだろうと思う、録音から50年前後経過しているにも関わらず。

    当時発売された各国のMono盤との比較で、2014 Monoの方が音質が良いと思われた場合には、使用されたマスターが第1世代であるかコピーテープであるかという違いがあるかもしれない。
    この場合には鮮度比較ではない気もするが、当時プレスされた鮮度の高いコピーテープ音質の盤と50年経過後のマスターテープ音質との差と捉えることもできる。

    けれども、同じ英国盤同士の比較の場合には、それは明らかに鮮度比較となり、結果として遜色ない、あるいはより良いと思えたならば、未だに鮮度は保たれていると考えても良いかもしれない。

    ただし、60年代当時はただ普通に商品としてのLPを製造していただけであり、今回のように高音質を意図的に狙い、通常プレス盤よりも音質に気を配った製造過程を経たものではなかった。もしオリジナル盤も同様の観点から製造されていたならば、もっと音質を良くできたはずなのだろう。

    そういうマイナス面も考慮しての話なので、音質差は鮮度だけが全てではないだろう。
    それに、60年代ではカッティングの際にコンプを通すことも当然だったわけだし(効き具合はアルバムごとに異なるが)。


    僕はこれまで2nd~5th片面+3枚のアルバムをじっくりと聴いた。残すは数枚のみ。
    一部音質劣化が認められる音源(特にシングル盤集)を除き、2014 Monoの音質はオリジナル盤よりも明らかに劣るように思えたことはない。
    ほとんど差がない、あるいは少し気になるレベル、あるいは音質は上回っているのでは!?とさえ思ったものもある。

    これらは、音の鮮度にも関連しているに違いないと思うものの、特に鮮度が高いとも低いとも思っておらず、何と言うか、鮮度と言う尺度で捉えにくいのだ……少なくとも僕は。


    ただ一つお断りがある。
    現在の僕の耳からすると、SACD/CDの歪みの無い音が標準となり、アナログ盤においても盤質あるいはプレス品質に起因する音の歪みには非常に敏感になっており、それに関してはどうもマイナス要素として捉えてしまう傾向にある。つまり、音質はよろしくないという評価になる。

    所有しているオリジナル盤の盤質はさまざまで、音が歪っぽいものもあり、それゆえそれらの音質よりも2014 Monoの音質の方が良く思える傾向にある。

    70年代以降にプレスされたLPだと盤質的には好ましいことが多いが、逆に比較対象となるMono盤(81年英国再発盤)をほとんど持っておらず……残念ながら。
    それに、今回のプレスの基準は60年代オリジナル準拠なので、音の傾向が再発盤と違っているし……。


    最後に、当然のことだけれど、使用オーディオ機器によっては音傾向ががらりと変わるため(特にアナログは)、あくまで僕の機器で聴いた結果として記しているのだが。

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    コメント

    Secret

    音の鮮度、ユニークな表現ですよね。この表現をリアルに感じるのに、複雑な回路を使わず、厳選されたパーツで、真空管アンプを作られてはいかがでしょうか、正直に3万円ぐらいで、高級アンプのパーツで作成出来ます。このサウンドでビンテージレコードを聴いたら、戻れないですよ。盤の鮮度もリアルになります。

    Re: タイトルなし

    業務関係さん、こんばんは。
    コメントどうもありがとうございます。

    僕も90年代半ばにようやく真空管アンプを手に入れて数年使いました。
    ただ、残念ながら新品で購入したにもかかわらず、使用して1年経過しないうちにいろいろとトラブルが続き、修理に出している時間が長くなり、嫌気が差して使うのをやめました。
    なので正直、真空管アンプは僕のような者が扱う製品ではないと思いました。
    今使っているマッキントッシュのパワーアンプもあえて真空管タイプを外して選びました。

    僕自身は、真空管だから音が良いとか、その逆であるとかは全く思っておらず、出てきた音が良ければ素子の違いなど気にしません。
    ですが、さすがに聴きたいときに手元にないアンプはもう懲り懲りなのでした。


    プロフィール

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    Author:JD
    自分の感覚としては(昔の?)ラジオDJのネット版のようなもののつもり。僕は1970年代のオーディオ全盛期の最後に属する世代で、ペアマイク持参で生録に挑戦した世代。国内盤LPが高価だったので輸入盤を買っていた、そういう中高生時代を過ごした。

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