Beatles in Mono / A hard day's night のA面

    *10/4 いつもお世話になっている路傍の石さんからコメントをいただき、文中数箇所を訂正した


    この二日間、『A hard day's night』のA面ばかり聴いた。
    探していたイタリア盤やフランス盤も出てきたので、それらについても少し触れておく。

    AHD2014Oct (4)
    *イタリア盤 赤レーベル

    まず驚いたことがある。それは寝る前に小音量でタイトル曲「A hard day's night」を聴いた時のこと。


    英国オリジナル盤をターンテーブルの上に乗せていたので、それをかけながら、翌日の準備をしていたのだが、小音量でこれほどに密度が高い音を聞かせるのか、と驚いてしまった。盤質あるいはプレス品質に起因する若干の歪っぽさは、音量的に全然判別できないため、かなり良い音で再生された。

    気になって、2014 mono盤にレコードを替えて再生してみたが(同じ音量にするために、少しだけボリュームを上げた)、こちらは今ひとつと言うか、小音量では全然良さが出なかった。
    結局、その音量では満足できず、徐々にボリュームを上げざるを得ず、深夜だったのでやめた。

    翌朝思ったことは、恐らく英国オリジナル盤は、カッティングの際に音が太くなるようなEQを施してあるコンプを通してあるのだろうということ。
    *10/4訂正 路傍の石さんのコメントを受けて訂正(詳しくはコメント欄参照)

    何故そう思ったかというと、ドイツ盤、スペイン盤、オーストラリア盤を聴く限り、英国オリジナル盤ほどの中低域の強さ(太さ)は再現されず、今回の2014 mono盤も同様に英国オリジナルのような太さがなかったからだ。

    AHD2014Oct (3)
    *イタリア盤ジャケット裏面

    昨晩、そのあたり確認しようと、通常聴く音量(それなりに大きな音)でA面を比較すると、同じ音量にした場合、僕のオーディオでは2014 mono盤はものすごく見通しが良く、これまで聴いていたどのレコードよりもマスターテープに近づいたような音で再生されると思った。

    英国オリジナル盤はエネルギッシュさでは完全に上を行くが(盤質に起因する微妙な歪っぽさもそれに拍車をかけていると思われる)、分厚い中低域で再生され、帯域がナローに感じられるだけでなく、2014 mono盤よりも1枚ヴェールがかぶさったような不透明な音なのだなと思えた。
    でも、これ単体で聴いた場合には、それほどナローだとは思わない。比較しての話。

    2014 mono盤で、僕がものすごく良いなと思えたのは、「If I fell」だった。
    これまではっきりとはわからなかった各楽器とスタジオ内の響きが、今回ようやく再現されたように思えた。

    A面全体を通じて、B面を聴いて感じた印象に近い印象を受けた。ただし、B面のほうがもっと鮮烈な音に聴こえたように思う。(先にB面をしっかり聴いたせいなのかもしれないが。)


    前述の英国オリジナル盤特有のEQコンプの効いた音質を、ようやく出てきたイタリア盤でも比較確認しようと再生したところ、想定外のことに、A-1の音はほぼ英国オリジナル盤と同じだった。
    *10/4 EQ訂正 理由は前述と同じ

    どうしてだろう?と思ったものの、ふと「まさか?」と思い、run-off部分を調べると、やっぱり英国製の原盤を使っていた。マト3Nだ。
    てっきり独自カッティングだと思っていたので、驚いた。


    では、フランス盤はどうだろう?昔はやたら音量が大きい印象があった。
    レコードの溝を比較すると英国盤とは別カッティングだ。

    AHD2014Oct (7)
    *フランス盤 僕はこのオレンジレーベルしか知らない

    でも、これも予想を裏切られた。
    これは英国盤以上にハードなサウンドではないか。
    カッティングレベルが英国盤よりも高いだけでなく、英国盤のような中低域へのEQが施された英国盤同様にコンプを通した(しかし、同じではないと思う)サウンドだった。
    *10/4 EQ訂正 理由は前述と同じ

    幸いなことに、ジャケットはボロイがそれほど溝は荒れていないので、当時のLPの持つプレス品質に起因する歪っぽさはあるが、このLPとしては十分に良い音で再生できる。

    AHD2014Oct (5)
    *フランス盤裏面

    僕の推測だが、英国から届いたマスターテープにEQの指定があり、それを施してカッティングしたのではなかろうか。
    *10/4訂正 EQの指定はありえると思ったが、コンプレッサー処理なので。
    **以下、この文章を受けた話だが、そのままとする

    では、「ドイツやオーストラリア、スペインはそれに従わなかったのか?」と問われると、おそらくそうなのだろう。
    特にドイツ盤は何よりも音が歪むことを嫌うので往々にしてカッティングレベルが低い。オーストラリアやスペインについては、何も思いつかないが(苦笑)。

    そうそう、オーストラリア盤はmonoなのに、monoカートリッジで再生すると左右の音が干渉し、ひどい音になった。再生はstereoカートリッジを使う必要がある。

    なお、初期CDマスターを使用してプレスされたLP(英国盤、米国盤、日本盤TOJP)も聴いたが、日本盤の音はひどかった。
    CDマスターの英米盤と2014monoを比較すると、明らかに今回のプレスの方が良い。1~2世代はマスターに近づいた音がすると思えた(2世代ぐらい違うかも)。

    2014 mono盤は、僕のオーディオシステムとは非常に相性が良いのかもしれない。
    関連記事
    スポンサーサイト

    テーマ : 洋楽ロック
    ジャンル : 音楽

    コメント

    Secret

    No title

    拙が今回聴き比べであらためて感じたのは、やはりUKオリジの音はコンプで音圧を上げてカッティングした音そのものであったということでした。中音域に音が集中してギュッと固まったような感じになるところや、ヴォーカルやアコギの細かなニュアンスが潰れてざらついた質感になるところなど、まさにコンプによる音質の変化だと思うのですが、いかがでしょうか?小さいボリュームでも音が細らないで太く聴こえるのもコンプによる効果ではないかと。

    MONO LPリマスターで鮮度の劣化による音痩せは免れないものの、それでもマスターテープに近い鮮度を感じさせるのは、逆にカッティングでのコンプを一切通さなかったことが大きいと思います。UKオリジと各国盤との音質の差も、マスター・テープの世代の差以上にコンプによる音質差が大きいかもしれません(その辺は聴き比べたことがない拙の想像ですが)。

    当時プレスは針飛び防止と聴感上の音量を上げるため、リミッターはマストな筈ですが。

    Re: No title

    路傍さん、おはようございます。
    的確なご指摘、どうもありがとうございます。

    > 拙が今回聴き比べであらためて感じたのは、やはりUKオリジの音はコンプで音圧を上げてカッティングした音そのものであったということでした。
    > 小さいボリュームでも音が細らないで太く聴こえるのもコンプによる効果ではないかと。

    その通りだと思いました。
    EQでなく、コンプの作用なのでしょう。

    『PPM』も『With the Beatles』も同様だと思いました。
    その点こそ、路傍さんが最初から指摘されていることですね。

    > MONO LPリマスターで鮮度の劣化による音痩せは免れないものの、それでもマスターテープに近い鮮度を感じさせるのは、逆にカッティングでのコンプを一切通さなかったことが大きいと思います。

    大きく影響していることは間違いないでしょうね。

    > UKオリジと各国盤との音質の差も、マスター・テープの世代の差以上にコンプによる音質差が大きいかもしれません(その辺は聴き比べたことがない拙の想像ですが)。

    今のところ『With the Beatles』の「Till there was you」で比較する限りにおいては、音の明瞭さがどれも英国盤よりも劣り、唯一変わらないと思えたのがドイツ盤でした(フランス盤は比較時に手元に見つからず対象外)。
    そう思うと、テープの世代が違うのが根本原因なのだろうと思えるのですが。
    ただし、小音量での比較はしていませんが、ドイツ盤にはコンプがかかっていないのは確実だと思っています。

    いずれにせよ、今回のMono盤で再現される音質は、マスターテープの劣化を除けば、それなりに大きな音量で聴くと英国オリジナル盤よりも好ましく感じられるように思っています。

    Re: タイトルなし

    業務関係さん、初めまして。

    > 当時プレスは針飛び防止と聴感上の音量を上げるため、リミッターはマストな筈ですが。

    仰っていることは、路傍の石さんのコメントと同様なのでしょうか?

    『AHD』に限ると、今回比較した中でフランス盤を除けば、どれもカッティングレベルは英国盤よりも低く音量が小さいため、針飛びには至らないレベルなのでしょう。

    本日、オーディオ好きの知人宅にてアナログ新旧ビートルズmonoアルバムをヴィンテージ機器と近年のオーディオ機器を使用して聞き比べをさせてもらうという貴重な経験をさせて頂きました。

    勿論、全アルバムというわけにはいきませんが…。結論から申しますと、どちらも素晴らしいと(笑)
    ヴィンテージ真空管アンプとアルテックのスピーカーで鳴らしたオリジナルは初体験でしたが、これはスゴイとかどうとかのレベルではなくリアルそのものでした。オーディオでここまで感動したのは初めてです。
    またアキュで鳴らしたB&Wでの最新アナログも素晴らしいのですが、共に新旧を入れ替えて視聴すると、違和感みたいなものを感じました。
    当然、二つのオーディオセットの豪華な見た目によるプラシーボ的な感触が大きいと思われますが。

    個人的な結論としては、これはもうどちらでも楽しめばいいのでは、と。賛否両論とかいらないな、と(笑)少ないともビートルズなのだから、ソフトが新しいかろうがオーディオ機器がどうとかではなく、そこにある音楽を楽しめばいいじゃんと思いながら帰宅した10月の秋でした。

    すみません、実はもっと長いコメントを書いていたのですが、何故か反映されていませんでした。リミッターについては、他の方が書かれていました通りです。余談ですが現在、digidesighのプラグインに、昔のフェアチャイルドのリミッターがあります。それを使えば現代の音源でも、beatles風な音になります。後はカッティングエンジニアによるEQの操作がキモですね。外周と内周の音質差を補正しますから。そんな事もあり、beatlesの本当の音に近いのは当時市販されていたオープンテープにあると言われますが、自分もそう考えます。今はかなり高額になってますね。ですので、レコードは色んな過程で、沢山の手が入ってるので、単純にプレス年代や、国別の違いを楽しむ方向が良い気がします。初期プレスのレコードの再生EQさえ、何か明確になって無いですよね?ジョージマーティンが、最初のCDが発売された時のインタビューで、当時の音と言ったのは、販促のリップサービスなのか、本当にあのレベルの音質だったのかは、真実は誰も言えないですよね。でも沢山の方が、高音質を期待しているから、あのリマスターが出たと思います。当時のAMラジオからベストサウンドが出る様にEQされた音源を如何に今風に仕上げたと考えれば、、、文の締まりが悪くてごめんなさい。

    Re: タイトルなし

    バーナードウェブさん、こんばんは。

    コメントどうもありがとうございました。
    実は今回いただいたようなコメントをずっと待っていました(笑)。

    >ヴィンテージ真空管アンプとアルテックのスピーカーで鳴らしたオリジナルは初体験でしたが、これはスゴイとかどうとかのレベルではなくリアルそのものでした。オーディオでここまで感動したのは初めてです。

    なんとなく、そういう音が存在するだろうなと思っていました。

    >結論から申しますと、どちらも素晴らしいと(笑)

    そうでしょうね。最初に『PPM』で聴き比べを始めたときに、実は同様に思いました。

    とは言え、何度も何度も聴いていると、徐々に現在使用しているオーディオ機器に合う音と言うか、自分が現在目指している音に近い方が心地よいなと思えてきて。結果としては、現状、僕の部屋のオーディオ機器では2014 monoのほうがオーディオ的に満足いく度合いが高い、そう思った次第です。

    逆に、特にワイドレンジでないスピーカーの場合、オリジナル盤のほうがずっとよく聞こえるのではないか?と推測していました。

    ただいずれにせよ、今回のmono盤の出来は非常に良いと思うので、良い音が聴けない場合には、使っているオーディオ機器との相性が今ひとつなだけ、と言うのが僕の感想です。

    まだ『PPM』~『AHDN』そして『Mono masters』しか、しっかりと聴けていませんが。





    Re: タイトルなし

    業務関係さん、こんばんは。
    再コメントありがとうございます。

    >すみません、実はもっと長いコメントを書いていたのですが、何故か反映されていませんでした。

    そうでしたか。
    先ほど新たな記事としてアップしたのですが、何故かコメント欄でなくタイトル欄にコメントが書かれていて、それが原因だったのでは?と思えました。
    今回コメントを入れていただいたのも、タイトル欄でした。
    そのあたり、今後うまくコメント欄に書かれれば、問題発生しないかなと思うのですが。

    >digidesignのプラグイン
    Pro tools用でしょうか?
    僕はtoolsについてはかじった程度で、結局別のソフトを使っているのでわからないのですが、同じような音作りができるのは魅力ですね。

    >beatlesの本当の音に近いのは当時市販されていたオープンテープにあると言われますが、自分もそう考えます。

    そう言われる方がそれなりにおられますね。
    実は僕も『White album』をEMIテープで持っているのですが、一度だけ再生する機会があったものの、その時の印象ではLPのほうがずっと良いと思えたのでした。
    英国製テープは再生速度が遅く、物理的にもグレードの高いレコードプレーヤー+アーム+カートリッジ+Phonoイコで再生したLPに劣るのではないか?と思いました。
    それ以来、テープは眠ったままです。

    でも、再生デッキはグレードの高い製品で行ったわけではなく、過去の普及クラスレベルだったと思います。

    あの当時は今ほどに歪みの無い音を求めていなかったので、今聴けば印象が変わるのかも?と思うところもありますが、あの印象はいまだにぬぐえません。

    ただ、米国製テープは(後期タイトルのみ?)英国製テープの倍速再生であるにもかかわらず、英国製テープの方が音質が良いと聴いたこともあり、もしかするとグレードの高いデッキで再生すると素晴らしい音がするのかな?と心の片隅で思っているのですが。

    >当時のAMラジオからベストサウンドが出る様にEQされた音源を如何に今風に仕上げたと考えれば、、、

    確かに、その通りなのだろうと思います。
    大元のマスターに遡って、現在の新録音に慣れた耳でも満足できる音を狙って仕上げたと言うか。

    でも、実際に自分のオーディオで再生し、今一つな音しか聴こえなかったなら、今回の盤の音質そのものを疑いますよね?僕が英国製オープリールテープに抱いている印象と同様に。

    逆に僕のところでは良い音で聴けるので、ただそのように紹介しているだけなのだと思っています。
    ということは、オープリールテープが素晴らしい音で再生される装置もあるのでしょうね。













    プロフィール

    JD

    Author:JD
    自分の感覚としては(昔の?)ラジオDJのネット版のようなもののつもり。僕は1970年代のオーディオ全盛期の最後に属する世代で、ペアマイク持参で生録に挑戦した世代。国内盤LPが高価だったので輸入盤を買っていた、そういう中高生時代を過ごした。

    最新記事
    最新コメント
    最新トラックバック
    月別アーカイブ
    カテゴリ
    カレンダー
    10 | 2017/11 | 12
    - - - 1 2 3 4
    5 6 7 8 9 10 11
    12 13 14 15 16 17 18
    19 20 21 22 23 24 25
    26 27 28 29 30 - -
    検索フォーム
    RSSリンクの表示
    リンク
    ブロとも申請フォーム

    この人とブロともになる

    QRコード
    QR