Beatles in Mono / With the Beatles 

    今日、ようやくBeatles in Mono LPの『Wih the Beatles』のB面を聴いた。

    B面だけでなく、両面何度も聴いて、やはり何曲か(最低でも4曲?)はマスターテープの劣化を感じさせる音だと思った。音が不安定になっていたり、密度が薄かったり。

    それで、久しぶりに英国オリジナルMono盤を引っ張り出して、本当に劣化しているか聴き比べし、同時に関連する各国のmono盤の音も確認してみた。

    OGWITgold.jpg
    *オーストラリア盤Gold(マトは1Nで英国製の原版を使用)




    これまで2014 Monoは好きなA面2曲ばかり聴いていて、十分に満足のいく音質だと思っていた。
    それは、ナローレンジを感じさせない帯域バランスであり、歪み感のなさであり、やや解像度が上がったことにより初めて聴こえるようになった音もあり、今回のプレスが十分に満足できるものと思っていた。

    何よりも英国オリジナル盤では、1N~7のどのマトリクスでも「It won't be log」の出だし、Johnのシャウトの「It won't be」が、プレスに起因した歪みを伴う音だった。
    けれども今回の盤は大丈夫だ。
    低音域もオリジナルよりしっかりし、1Nでは耳障りだった歪み気味のシンバルもここでは全く問題ない。

    2曲めの「All I've got to do」も、イントロのコードと歌の間に出るノイズ(何だろう、椅子のきしむ音?)も明瞭、音質もほんの少しだけヴェールが剥がれたような新鮮な音に聴こえていた。

    81年プレスの再発Monoは聴いたことがないが、2014 Monoは60年代プレスのどの盤と比較しても遜色ないどころか上回るのでは?と思えていた。
    が、「All my loving」でマスターが劣化しているように聴こえ、A面では他にA-7の「Postman」も同様だった。
    残念だが、こればかりは仕方ない。

    それでも、GeorgeのA-4はかなり音質が良く、低域までしっかりと再現される、そしてA面での音質の素晴らしさを提示するのは(よりによって)僕が好んで聴かない曲「Till there was you」だった。

    イントロ部分、アコースティック楽器の音色、そしてスタジオでの響き、ここまで質感が高度に再現されたLPは初めてではなかろうか。そう思った(再び、81年プレスは知らないが)。
    それにPaulのボーカルにも歪み感がない。この点も60年代プレスではそうもいかないとところ。

    この感じに近いと思えるLPは、実は以前から評価していたCDマスターを使用した米国盤LP。

    WTB2014others (11)
    *上がCDマスター使用の米国盤、下はマト7のデッカプレス

    CDマスターを使用した盤は音が鮮明に聴こえるだけでなく、低域の沈みも深く、その点では今回のLPよりも良いかもしれない。だが、今回のLPの方が(音質劣化していない曲については)音の密度が濃く、音の芯がしっかりとしている。
    そして、「Till there was you」で比較したところ、2014 Monoの方がさらにマスターに近いづいた音をしていると思った。

    *なお、『WTB』に関しては、CDマスターを使用したLPは、英国盤よりも米国盤の方が個人的には好ましい音だと思っている。僕のオーディオ機器では英国盤はちょっときつい音で再生される。



    B面についても、イントロ部分、「Roll over Beethoven」の出だしのギターは音が歪んでいるのが60年代プレス。しかも1Nの歪み方はひどい。
    けれども2014 Monoでは、こちらもA-1同様に問題ない。

    しかし、B面もマスターテープの劣化を感じさせる曲がいくつかある。
    特にひどいのは僕の好きな「I wanna be your man」。これは非常に残念だった。

    B面も総じて言えば、A面同様だと思う。
    基本的にはオリジナルマスターをそのまま再現したのでは?と思われる音質で、60年代プレスと同等あるいは、少しほぐれた音と言う印象を受けた。
    歪みっぽさを極力排除し、60年代盤での歪っぽいプレスによって醸し出された荒々しさは影を潜め、代わりに、ノイズや歪みの少なさから、ボーカルも各楽器もより丁寧・正確な音が再現される印象。

    経年変化で音質が劣化してしまっているマスターについては、手の打ちようが無い。
    オリジナルマスターを使わずにサブマスターを使うしかないだろう。

    当然、英国EMIが保管していた以外にも、僕が確認した以下の国のLPは英国からのコピーマスターを使って独自にプレスされているようなので、もし保管状態が良ければオリジナルよりもましな場合もあるかもしれない。
    ⇒スペイン、イタリア、ニュージーランド、ドイツ、カナダ、(それと、先日しまったまま出てこなかったフランス盤も独自プレスのはず)。

    特にドイツ盤については、びっくりするような音質だった。低音域は弱いと言えば弱いが、これを聴くとドイツにもオリジナルマスター(と言うか、英国マスターのコピーではない別マスター)が届けられたのではないか?と疑ってしまった。

    GermanWithMono.jpg
    *西ドイツ盤Mono

    何故なら、前述の「Till there was you」の音質が、他の国のLPはどれもコピーマスターのような分離の悪い音をしているにも関わらず、ドイツ盤だけは英国盤と変わらない。
    しかもそれだけでなく、イントロ部分の音の焦点がリードギターとサイドギターとで差が無いような音色で再生される唯一のLPだったからだ(英国盤他、どの盤も僕の耳ではリードギターにばかり耳が行くが、これだけは別だった)。

    さらに、A-1、B-1のイントロでの音の歪がほとんどない。

    これって、ドイツ用にもオリジナルマスターと同等のジェネレーションのテープが用意されたのではなかろうか(しかも、red zoneまで振り切らないよう、英国用よりも音量を少し下げたテープが)。
    今ではとっくに廃棄されているのかもしれないが。

    各国盤の音の傾向は後日にでも報告の予定。

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    テーマ : 洋楽ロック
    ジャンル : 音楽

    コメント

    Secret

    No title

    よくぞここまで比較検証されたことに脱帽します。曲によって鮮度劣化の程度に差があることも面白い結果ですね。ビートルズはさまざまなベスト盤・編集盤がリリースされてきましたから、その都度マスターテープを開封~コピーする回数は曲によって違いがあって、そんなことが劣化の差になって現われたのかもしれません。そんなふうに想像を巡らすと謎が解けるかもしれませんね。

    > (しかも、red zoneまで振り切らないよう、英国用よりも音量を少し下げたテープが)。

    マスターテープ、及び配布用コピーテープの録音レベルは、セッションテープの録音と違って、レッドゾーンまで振りきっていれることはありません。入力は0VUから-10~20dbまで下げて録音するのがルールです。マスターテープでサチるのは御法度であるとの考え方からそうします。

    No title

    (追記)上に書いたことは、国内のマスタリングの常識として教わったことですが、海外では果たしてどうだったか?というのははあるかもしれません。何でも、RUBBER SOULのマスターテープは低域が過剰なレベルで録音されていたという話もあるので、隠れたところでルール違反はあったのかもしれません。

    Re: No title

    路傍さん、こんばんは。
    コメントどうもありがとうございました。

    路傍さんの想像と同じことを僕も考えたのですが、実際のところmonoのテープからのコピーなんてそんなに頻繁にあったのか?とは思えました。
    確かに60年代の欧州や南米あたり向けにはあったのかな?とも思えますが。
    だから、81年の再発の時点ではどんな音質だったのか?と気になりました。

    そう言えば、国内プレスの赤盤にコピーテープが使われてますね。劣化していた印象は無いですよね。
    ただ、「Please Mr. postman」に関しては、今回比較した初期CDマスターを使用した米国盤で既に劣化の兆候が現れていました。

    > (追記)上に書いたことは、国内のマスタリングの常識として教わったことですが、
    海外では果たしてどうだったか?というのははあるかもしれません。

    詳しくは話せませんが、僕が以前いた会社では0VUを-3VUに合わせてコピーしていました。
    ただ、あれは音楽用のマスターでなかったので、業界によって違うかもしれません。
    マスターでも瞬間的にredを超えてしまうものはそれなりにありました。でもさすがに振り切れっぱなしはないですね(笑)。

    ただ、「It won't be long」のイントロのボーカルが英国盤だけでなく、コピーマスターを使ったと思われるレコードさえも、カッティングレベルが小さいにもかかわらず歪んでいるので、あの部分はred zoneを振り切っていたのでは?と思えてしまいました。
    にも関わらず、西ドイツ盤だけそうじゃないんですよ。

    西ドイツ向けには、ハイハット入りの「All my loving」stereoが世界で唯一提供されたこともあり、stereoだけでなくmonoも、英国とは違うマスターが送られたのでは?と疑っているわけです。

    プロフィール

    JD

    Author:JD
    自分の感覚としては(昔の?)ラジオDJのネット版のようなもののつもり。僕は1970年代のオーディオ全盛期の最後に属する世代で、ペアマイク持参で生録に挑戦した世代。国内盤LPが高価だったので輸入盤を買っていた、そういう中高生時代を過ごした。

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