この1週間いろいろと思い浮かんだこと

    *9/22補足:一箇所言葉を修正した。意味→定義


    この1週間出張だった。

    その間、ネットで『Beatles in Mono』についての音質評価を、いつも読ませてもらっている音楽ブログ以外にもいくつか見つけて読み、非常に興味深かった。

    それと、移動の間に読もうと、今季の「Stereo sound」誌を読み、ここにも興味深い記事を見つけた。

    両者を読みながら、頭に浮かんだことを書き留めておこうと思った。


    まず、『Beatles in Mono』についての音質評価だけれど、総じて悪くないあるいは良い評価だと思う。とは言え、いくつかのアルバムに関しては今ひとつと言った声もある。
    それは、皆さんがご自身のオーディオで聴いての率直・誠実な感想だと思う。そのため、相反する感想があるのは当然だ。

    それではどうして違う感想になるのかな?と疑問に思え、想定できる答えを探ってみた。

    1.再生音そのものが違う・・・これは当然違うはずなのだけれど、シンプルに言えば、再生音の特徴がAスタジオとBスタジオとで異なると言うような話。この場合、Aスタジオで聴いた人とBスタジオで聴いた人とで別意見になるのが当たり前。
    2.再生音は違わないが聴いている音が違う・・・これは例えばAスタジオで同時に聴いた二人が、オリジナルより良くなかったVSオリジナル以上に良かったという相反する感想を持った場合。実はこれもよくある話で、再生されている音の何を見ているか(聴いているか)によって、感想が大きく異なる。全体像なのか、特定の楽器なのか、声のニュアンスや表現力なのか、みたいな、書ききれないぐらいに。
    3.これ以外の理由・・・思い浮かばなかったが、他にもあるだろう。

    僕自身実は、1stの『PPM』はGoldに見劣りしない点も多いと感じており、正直予想以上に良いと思ったし、良いと思っている。それはあえてGoldと比較して聴いた場合でも、そう思えてしまう。だから僕の評価ではGold>2014 Monoとはなっていない。

    まだ1週間前と同様、『PPM』と『Mono masters』以外は聴き込んでいないので、これぐらいしか言えないのだが、これだけでも他の方々とは感想が違っている。

    それは偶然、現在使っているオーディオ機器と部屋の相性が、Goldよりも2014 Monoとの方が相性が良いからなのかもしれないし、あるいは同じ音を聴いても他の人からは別な意見が出るのかもしれない。つまり聴いている音が違っているからなのかもしれないわけだ。

    これに関連し、今季の「Stereo sound」誌No.192に、僕が以前取り上げた「原音再生かグッドリプロダクションか」の3回目の記事が掲載されていて、それはなるほどと思えた。

    詳しくは実際に読んでいただくとして、今回は2つの立場を第三者の視点から見た内容となっており、両者の議論がかみ合わない理由として、同じ言葉を使っているが厳密には意味定義が違っていることが指摘された。

    そしてそれ以上に、オーディオ再生を通じて表現したいものが実はそれぞれ違うのではないか?目標の音は、録音現場・演奏現場に居合わせることであるか、あるいは、作り手が意図した表現をより音楽的に再現することか、その目的地は最初から異なっているのではないか?と2つの立場の違いが明確にされたように思った。

    ただ、両者ともにオーディオ評論をされているだけあり、おふた方ともご自宅でも素晴らしい再生音をされていることは共通している。但し、向かっている方向性が違うので、再生音そのものが違っている=上記1にあたるわけだ。

    う~ん、こうなると同じアルバムを聴いてネット上での評価が異なるのは当然だとした上でも、聴き手が目標としている到達点がどこを向いているのかを知った上で、それぞれの方の感想を読むことができる方がより参考にしやすいのになぁと思えてしまった。

    ちなみに僕の場合には、確実に「録音現場・演奏現場に居合わせることを目標としている」と思う。中学時代から楽器録音が趣味となり、15歳からの10年間ほどは、土日の最高の楽しみは自作曲の録音作業だった(Pete Townshendの『Scoop』のライナーを読んだ時やジェフ・エメリックの著書に書かれた彼のEMI入社前の話など、当時の僕と同じように思えてびっくりした)。
    僕は録音された声や楽器はありのままに再生できれば良いと思っており、そのニュアンスや情感を音楽表現としてもっとうまく伝えるオーディオ機器を探そうなどと言う発想は今まで持ったためしがなかった。

    過去、オーディオ機器での発見は、2~3万円のCDプレーヤーでは全く伝わらなかったピアニストの演奏のニュアンスが10万円以上のCDプレーヤーからははっきりと音として聴き取れたことが僕には目から鱗で、グレードの高い製品は音をありのままに提示する能力が高いことを知った。
    これはオーディオ再生の2つの方向性のどちらも求められるものだろう。

    同様に、アナログ関連機器も、ターンテーブル、アーム、カートリッジ、どれもグレードを上げると不要なノイズが減っていくこと、つまりグレードが低いと聴こえている音は音溝に刻まれている音楽信号だけでなく、付加された雑音であったり濁らされた音であったりすることも。
    こちらはも同様に求められると言いたいものの、あえて音をそれっぽく見せるために音を汚したほうが似合う音楽もあり、音楽表現によっては手段として利用されるかもしれないと思えた。

    まぁ、そういうなら、スピーカーにせよ、オーディオ機器全般に関して、何を選ぶかの基準、あるいは組み合わせが、2種類の方向性のどちらを選ぶかによって変わってくるだろう。
    そして、再発盤の評価も自分の目指す方向性と、現在使っている装置の再生音によって変わってくる。


    今回も、特にまとめがあるわけでなく、この1週間頭に浮かんだことを書き留めておこうと思っただけなので、ここまで。


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    コメント

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    初めまして。これまでも管理人様の数多いレコードコレクションのご紹介とともにオーディオに関してのブログも含め楽しく読ませて頂いております。

    私は今回のモノボックスの購入は見送った一人なのですが、理由は二つで、一つはUKオリジナルモノ盤を所有しているから恐らく繰り返し聴かないだろうという簡単なものです。
    二つ目は後述。

    今回のモノボックス発売前の試聴会ではオーディオ機器を事前にユニバーサル(アップル?)からの承認を経て使用という経過があったようですが、これは恐らく2012年のステレオボックスのよろしくなかった反響を踏まえた事だったのではと思っています。要は、生半可な機器で判断されネットに流されて売り上げに響いては困ると。アップル側はリマスターステレオ盤にも自信があったはずですが、海外ではありがちな、(色んな意味で)ツメの甘さが思わぬ不評をかったので今回の様な万全の体制をとったのではないかと。

    因みはステレオボックスは当時購入しました。これはアビーロード、レットイットビー以外のステレオオリジナルは持っていないからというものです。このリマスター盤はステレオオリジナル盤の持つ鮮度や、USBに収められたハイレゾに比べると見劣りするところもないこともないですが、アナログ独特の空気感でデジタルの硬さも多少は抑えられ、これはこれでアリだと。また私的に特に現在使用しているオーディオセットにおいては充分に満足の出来るものでした。ジャケ以外は(笑)

    恐らく今後のビートルズの再発はアルバム毎のリマスターとレア音源を含めたボックス化(ステレオ、モノのDSD、SACD、アナログ)になっていくような気がしますので、長〜い目でそちらに期待して…というのがモノボックス見送りのもう一つの理由(笑)

    駄文、長文失礼致しました。これからも拝見させて頂きます。







    Re: タイトルなし

    バーナードウェブさん、こんばんは。
    初コメントどうもありがとうございます。
    いつも読んでいただいているとのこと、ありがとうございます。

    > 私は今回のモノボックスの購入は見送った一人なのですが、理由は二つで、一つはUKオリジナルモノ盤を所有しているから恐らく繰り返し聴かないだろうという簡単なものです。

    先日記したところですが、恐らく普通の音楽ファンレベルであれば、余程何か+αが無い限りわざわざ既に持っているものを買おうとはしないと思います。
    オリジナルの英国Mono盤を持っていれば当然だと思いますよ、僕のような聴き比べとか、違いを楽しみにしている人以外は(苦笑)。

    モノボックス発売前の試聴会については、仰るとおり、「ステレオボックスとは違う」ことを示す必要不可欠なデモンストレーションだったと思います。

    > 恐らく今後のビートルズの再発はアルバム毎のリマスターとレア音源を含めたボックス化(ステレオ、モノのDSD、SACD、アナログ)になっていくような気がしますので、長〜い目でそちらに期待して…というのがモノボックス見送りのもう一つの理由(笑)

    そのあたり、本当に長い目で見ないといけないかもしれないですが、配信でなくフィジカルなメディアで発売されれば僕も買ってしまうと思います(笑)。

    > 駄文、長文失礼致しました。これからも拝見させて頂きます。

    ありがとうございます。

    No title

    JDさん、こんにちは。

    「Stereo sound」誌No.192の記事は拙も書店で少しだけ読みましたが、なるほどそういう趣旨のものだったんですね。原音再生orグッドリプロダクションという概念は、語られる次元をひっくり返してみると録音の現場の思想のなかにもあります。生の原音を日々聴いて分かっているエンジニアの立場として、それをよりよい形でmp3,CD,ハイレゾのそれぞれのメディアで伝えるのが我われの立場であると(あるレコーディングエンジニアさんの言葉です)。

    その言葉の意味するところは、再生の原点は原音にあるけれども、それを媒介するエンジニアは、どのようなメディア・再生装置でも伝わるように録音においてグッドリプロダクションしているのだというふうに解釈できるかもしれません。音楽を整合性を持ってわかりやすく伝えるためにグッドリプロダクションを行っているのだと。この問題は言葉で伝えるのは難しいのでこの辺にしておきます。

    さて、今回のMONO LP リマスターの評価する観点は2つあると思います。「基準はオリ盤にある、それを寸分の違いもなく忠実に再現できているか?」ということと、「オリ盤にも欠点はあったはず、それをウェルバランスによって新たな再現の可能性が生まれていればそれを評価する」です。

    今回のリマスターではエンハンスなどによる補正処理は行われていない半面、マスター・テープの経年劣化による鮮度のよしあしが如実に現れた結果になったと思います。それでも鮮度がギリギリ保たれたものでは、音の情報量がオリ盤よりも増えている部分もあって侮れないと感じています(それを感じられるかどうかはJDさんもおっしゃるとおり、例え再生装置が同じでも個人差が大きいでしょうけど)。個人的にはそれをPPM、RS、MMT(A面)で感じた次第です。

    No title

    路傍さん、こんばんは。
    コメントありがとうございます。

    >それを媒介するエンジニアは、どのようなメディア・再生装置でも伝わるように録音においてグッドリプロダクションしているのだというふうに解釈できるかもしれません。

    そのあたりのことは、今回の対談記事に第三者的に参加されたエンジニアの櫻井さんが話されていました。
    「グッドリプロダクション」一つとっても、同じ言葉が制作サイドでも使われ、混同してしまうかもしれないですね。

    >今回のリマスターではエンハンスなどによる補正処理は行われていない半面、マスター・テープの経年劣化による鮮度のよしあしが如実に現れた結果になったと思います。
    >それでも鮮度がギリギリ保たれたものでは、音の情報量がオリ盤よりも増えている部分もあって侮れないと感じています。

    僕も同感でした。
    これは、僕が再生音を聴いて思ったことですが、例えばWTBで比較すると、音の立ち上がりの速さや当時のカッティングの際に施された処理によって激しさを増した音から感じられる迫力などはオリジナル盤独自の美点に思えましたが、逆に今回のLPはもっと自然な音であり、なおかつニュアンスが明確に再現されるように思えます。大音量で聴けば迫力もあるし、ちょっとオリジナルマスターに近づいたのではと思えました。僕はそこが非常に良いと思えています。
    プロフィール

    JD

    Author:JD
    自分の感覚としては(昔の?)ラジオDJのネット版のようなもののつもり。僕は1970年代のオーディオ全盛期の最後に属する世代で、ペアマイク持参で生録に挑戦した世代。国内盤LPが高価だったので輸入盤を買っていた、そういう中高生時代を過ごした。

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