99.9 F

    これはしょっぱなの1曲目から文句なしに格好良いと思えたアルバムだった。

    輸入盤の新譜を買うのはここ、と決めていたお店に仕事の帰りに足を運び、偶然目に留めたSuzanne Vegaの新譜だった。

    1992年発売の4thアルバム『99.9 F』。
    99 (3)
    *英国プレス盤

    当時新譜で購入したのはLPでなくCDだ。


    前作の3rdアルバム『Days of open hand』を、それ以前の2枚よりもずっと気に入っていたこともあるが、ジャケットの格好良さにも惹かれ、陳列してあるのが目に入った瞬間に手に取った。

    実際、家に帰ってCDを聴いてぶっ飛んだ(笑)。
    あまりにも内容が良かったので、音楽好きな友人にはこれは凄く良いアルバムだと触れ回った。

    99 (7)
    *ジャケット裏面と、その後登場したブックレットタイプの限定盤CD


    前作で明らかに、曲と変わらぬほどアレンジにもアーティストとしての意思が感じられ、楽曲ごとのサウンド構築に大きな変化が生じたように思えたのだが、このアルバムではさらに飛躍していた!とてもびっくりさせられた。

    このアルバムのサウンドメイキングはアルバムのproducerのMitchell Froomによるもの。当時Suzanne Vegaと彼は結婚した(残念ながら長続きしなかったようだが……)。
    共同作業で生み出されたらしきサウンドが、楽曲ごとにこれほどまでに良くできている理由はそこにもあると思っている。

    僕はこの手のサウンドを当時あまり聴いていないこともあり、あれから20年以上経過しても古臭いサウンドとは思えない。
    それに、曲によってはそれこそ1~2枚目のアルバム以上にシンプルなアレンジの曲が存在する。要するに、アレンジが多様なのだ。

    その1~2枚目のアルバムの頃をフォークサウンドと呼び、Suzanne Vegaをフォークアーティストとして応援していた人たちは、このアルバムを聴いて、昔のBob Dylan同様、裏切り者と思っただろうか?

    99 (9)
    *英国盤に封入されていたポスター. サイズはLPジャケットx4倍程度

    僕は大衆イメージを裏切りながら成長していくアーティストが好きだ。
    確かに、そのような変化もどこかで頭打ちになるというか、一周して原点回帰になるのかもしれないが、そうしない(つまり、ほとんど変化しない)アーティストよりも親近感が湧く。なぜなら、自分自身も人としては同じタイプだったからだ。

    そして、Suzanne Vegaというアーティストはそういう意味で格好良かったし、今も色褪せないのかもしれない。

    今年発売された新譜『Tales from the Realm of the Queen of Pen』も格好良かった。
    しかし、さすがに本人の見かけは年齢には逆らえないが。


    当時LPは米国では発売されず、欧州のみでの発売だった。

    99 (4)

    ジャケットは共通で、英国プレス盤(上)とオランダプレス盤(下)が流通していた。
    僕はてっきりオランダプレスをドイツプレスと思い込んでいた。
    と言うのも、ドイツお得意のDMMカッティングのように思えていたから。
    英国盤とは別カッティングだが、音質差はほとんどないくらいの違い。


    このアルバム、当時プレスされて以降、たぶんどこの会社からもLPでの再発はされていない。
    どこか高音質重量盤で再発してくれないだろうか?当然、オリジナルマスターを使用して。

    書き忘れていたが、このアルバムは僕にとってはSuzanne Vegaのアルバム中で1、2を争うベスト作だ。



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    テーマ : 洋楽ロック
    ジャンル : 音楽

    コメント

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    Suzanne Vega

     女性SSWに関しては、ジョニ・ミッッチェルを唯一の例外とすればほぼ門外漢の私ですが、10年ほど前気まぐれに購入した安レコ(『微熱』だったでしょうか)が気に入り、以来ポツポツと集めています。
     
     >このアルバムは僕にとってはSuzanne Vegaのアルバム中で1、2を争うベスト作だ。
     
     根が怠惰なので彼女のディスコグラフィーも調べていませんが、JDさんにこうまで言わしめた一枚、アナログ盤探して聴いてみます。

     偶々手元に残っていたMM誌’97年12月号にヴェガのインタヴューが載っていて、ミッチェル・フルームに任せると勝手に音遊びしてしまうので、しっかり見張っていなくちゃ、というのが可笑しかったです。

    Re: Suzanne Vega

    t-izuさん、こんにちは。

    > 10年ほど前気まぐれに購入した安レコ(『微熱』だったでしょうか)が気に入り、以来ポツポツと集めています。

    このアルバムをLPでお持ちなんですね!
    僕は当時から追いかけてましたが、これを安レコで手に入れられたなんて、僕には凄く強運な気がして羨ましいです。

    ところで、僕は一度も米国盤LPを目にしたことがなかったので米国ではアナログ発売されていないと記しました。
    もしt-izuさんお持ちの盤が米国盤であれば是非お知らせください。よろしくお願いします。
     
    >  根が怠惰なので彼女のディスコグラフィーも調べていませんが、JDさんにこうまで言わしめた一枚、アナログ盤探して聴いてみます。

    是非久しぶりに聴いてみてください。

    >  偶々手元に残っていたMM誌’97年12月号にヴェガのインタヴューが載っていて、ミッチェル・フルームに任せると勝手に音遊びしてしまうので、しっかり見張っていなくちゃ、というのが可笑しかったです。

    きっとそんな感じで制作が進んだのでしょうね(笑)。

    99.9F

     昨晩やっと見つけ出しましたので、ご報告。
     残念ながら(?)手持ち盤は米盤ではなく、オランダ・プレスのEU盤でした。

    >凄く強運な気がして羨ましいです

     うーん、どうなんでしょう。私が入手した10年前というと、ヴェガの商業的ピークからはかなりときが経ち世間的には半ば忘れられかかっていたんじゃないでしょうか。
     私自身ヴェガ云々よりミッチェル・フルームの名前に惹かれて入手したような記憶があります。

     久しぶりに耳にする『99.9F』ですが、10年前同様ミッチェル・フルームの作る音像の全く鮮度が落ちていないことに驚かされます。

     ただその後、ヴェガのアルバムを何枚か入手したのは、彼女自身の音楽に魅力を感じたからなのは間違いありません。
     私が思うヴェガの魅力は、どこか自身をも突き放したようなクールネスですが、その辺先のインタヴューで彼女自身は俯瞰的に過ぎるのが自分の欠点と述べています。

     『99.9F』は彼女いうところの俯瞰(クールネス)がM・フルームの手を借り立体的に表現できた傑作なんじゃないでしょうか?

     あまり熱心なファンとも言えない人間の感想で恐縮です。

    Re: 99.9F

    t-izuさん、こんばんは。
    ご報告どうもありがとうございます。

    > 残念ながら(?)手持ち盤は米盤ではなく、オランダ・プレスのEU盤でした。

    やはり、そうでしたか。
    僕の記憶では米国盤のLPは一時期本当に製造されず、全て欧州プレスだったように思います。
    同時期かどうか忘れましたが、Dylanの最初のBootleg seriesも結局アナログは欧州盤(オランダプレス)のみしか発売されませんでした。
    あの頃は米国でも日本同様、CDが全盛だったのかもしれません。

    > うーん、どうなんでしょう。私が入手した10年前というと、ヴェガの商業的ピークからはかなりときが経ち世間的には半ば忘れられかかっていたんじゃないでしょうか。

    その頃は、ちょうど新アルバムの全く無かった頃で、ベスト盤でお茶を濁していた時期ですね。

    > 久しぶりに耳にする『99.9F』ですが、10年前同様ミッチェル・フルームの作る音像の全く鮮度が落ちていないことに驚かされます。

    そう聞いて安心しました。

    > 『99.9F』は彼女いうところの俯瞰(クールネス)がM・フルームの手を借り立体的に表現できた傑作なんじゃないでしょうか?

    なるほど。
    あのアルバムからSuzanneは、ある意味大胆になった気がします。
    そういう意味でもSuzanne自身が別な視点から自分自身を見て、これまでとは違った側面を表現できるようになったのかもしれませんね。
    プロフィール

    JD

    Author:JD
    自分の感覚としては(昔の?)ラジオDJのネット版のようなもののつもり。僕は1970年代のオーディオ全盛期の最後に属する世代で、ペアマイク持参で生録に挑戦した世代。国内盤LPが高価だったので輸入盤を買っていた、そういう中高生時代を過ごした。

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