Surf city その2

    90年代前半に出張でジャカルタへ行った。
    夏ではなかったと思うが、蒸し暑いことを除けば到着初日は何も問題なかった。
    ところが、夜に降り続いた雨で翌朝は道路が冠水。最初は腰の高さまで水があり、昼頃にようやく膝上まで引いたが仕事どころではなく、宿に缶詰状態。
    現地の人から話には聞いていたが、本当に仕事どころではないというのを目の当たりにした。

    それから約20年。
    日本の気候もいつの間にか亜熱帯に近づき、局地的豪雨で似たような光景をテレビで見にするのが頻繁になってしまった。

    昔の日本の夏の面影は記憶の中にしか存在しない。そういう時はあえて、この手のアルバムを聞くと、時を越えてイメージの中の“あの夏”へとトリップできる気がする。

    昨年モノラル盤を取り上げたJan and Deanの63年のアルバム『Surf city』。

    surfcity2US (7)
    *米国ステレオ盤



    今年になりようやく米国ステレオ盤を手に入れ、引越しの際にすっかり忘れていた国内盤も出てきて、3種類のステレオ盤が手元にある。

    surfcity2US (5)
    *上から米国盤、国内旧盤(帯なし)、国内新盤


    アルバムの内容については、その昨年の記事を参照いただくとして、3枚の音質の差を紹介したい。

    まず、80年代に発売された国内盤(=旧盤とする)。
    全体の音のバランスは低域がしっかりし重心が低く悪くない。高域は弱め。

    surfcity2US (1)
    *81年発売の国内盤 K22P-171

    次に90年代に再発され「リバティ・オリジナル・マスター使用」と謡われた国内盤(=新盤)。
    これは旧盤と比較すると、明らかにこちらのほうがオリジナルマスターに近い音だとわかる。

    jdsc (3)
    *92年発売の国内盤 TOJP-7252 なぜかジャケット表裏はコーティング仕上げ. ジャケット右上のLibertyロゴが無い

    旧盤はコピーマスターっぽいやや鈍った音をしているが、こちらはよりはっきり、しっかりとした音質。
    だけれども残念なことに全体の音のバランスが高域寄りすぎて、低域が弱い(薄い)。スカスカな印象。
    バランスだけを比較するなら、旧盤の方がずっと聴きやすい。

    最後に、それでは米国オリジナルステレオ盤の音はどうだったのか?
    結果、さらにこちらの方がマスターに近い音だとわかる。

    surfcity2US (4)
    *米国オリジナルステレオ盤 LST-7314 表面が反射しているがコーティング等の仕上げは無い

    音の繊細さは、新盤よりも1世代は上回り、それ以上に好ましいのが、音のバランス。
    中低域は旧盤と同じ程度刻まれており、新盤のスカスカ感がない。
    そのため、全体の音のバランスが良いし、一つ一つの音がはっきりくっきりとしていて、さらに音にスピード感がある。
    それと、左右の音の分離も新盤よりも優れている。

    大編成のバックを従えるA-4「Manhattan」など、新盤ではスカスカ感が強く、旧盤では中低域の押し出し感が強いが、ここでは本当に生なブラスの音色など凄くリアリティを感じる。
    しかしそれによって、Jan and Deanのボーカルの力量の無さも余計に露呈してしまっているようにも思えるが(苦笑)。

    なお、このアルバムそのものは、彼らのアルバムの中でも低音域があまり記録されていないため、旧盤や米国オリジナルでさえも現在の耳で聞けば、低音の薄いアルバムだと思われるに違い。


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    自分の感覚としては(昔の?)ラジオDJのネット版のようなもののつもり。僕は1970年代のオーディオ全盛期の最後に属する世代で、ペアマイク持参で生録に挑戦した世代。国内盤LPが高価だったので輸入盤を買っていた、そういう中高生時代を過ごした。

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