国内モノーラル・シリーズLP その2

    前回の国内mono赤盤との比較対象が英国オリジナル初版だったため、できれば同時期(81年と記憶する)に発売された英国monoと比較しようと思っていた。

    81年プレスの英国monoは数タイトルしか持っていない。たぶん4タイトルか。
    そのうち探して出てきたのは『Help』だけだったので、これと国内mono赤盤とを比較することにした。

    201408 (6)
    *画面上が英国81年Mono

    結果的には『Help』の場合、『White album』で感じたほどには、国内mono赤盤と英国盤(60年代オリジナル、81年盤)との音質差を感じなかった。


    『Help』は、Beatlesのモノラル盤の中でも、最も音質が良くないと思えていたタイトルで、記憶に残っている音もまさにそういう印象だった。

    ところが今回、久しぶりに『Help』の英国オリジナル盤を聴いたが、ここまでの高音質で聴けたことは初めてだった。そういう意味でもEA-300導入は本当に価値があったと思えた。


    国内盤は置いておき、まず英国盤同士で音質を比較すると、僕の現オーディオでは、英国オリジナルは中低域の音が分厚く、高域は控えめだ。現在の耳ではバランスが中低域に偏っているように思える。

    201408 (9)
    *下が英国オリジナルMono

    それが81年盤だと随分違って、中音域にそれほど厚みがなく、高域はしっかりと出ている。そのため、僕個人の感覚では81年盤の方が全体的にバランスの良い音をしているように思える。

    ただし、A面の音の安定度はオリジナル盤の方が優れるように思う。81年盤はA面がマト3に進んでいるせいか。

    B面はオリジナル同様にマト2なので、オリジナルと同じ原版からのプレスになるのだが、音のバランスは上記の通り違っていて、こちらもバランス良い音で聴ける。
    「Yesterday」も歪まない(笑)。

    今回比較に使用したオリジナル盤の盤質は、複数持っている同タイトルの中でもましなほうなのだが、81年盤のほうがそれよりも盤質は良い。これも音に影響しているように思う。


    次に国内盤を聴くと、82年盤も86年盤も、確かに英国オリジナルマスターの延長線にある音だとわかる。けれども、やはり86年盤はどう聴いても英国カッティングの音には聴こえない。

    201408 (15)
    *国内盤は帯なしだと、表からではどちらが82年か86年かわからない。レコード番号も共通。

    これって本当のところは、発売前は英国からラッカーが届くという話で進んでいたので印刷物はそのつもりで進めていたにもかかわらず、届いたラッカーは使い物にならなかった……だから仕方なく82年盤用のマスターテープを用い、少しEQ処理して音質を変えただけ、と言うのが実情なのではなかろうか?
    どう聴いても、英国盤特有の何かを感じることができない。

    ちなみに82年盤と86年盤とでは、マトが少し異なるだけでなく、ちゃんと別カッティングになっている。

    201408 (11)
    *82年盤と86年盤との見分け方は、ジャケット裏面にある

    86年盤は前回も記したとおり、音のバランスが 高<低 になっていて、『Help』の場合には、偶然にも英国オリジナルのバランスに似ている。
    が、実際は86年盤だけでなく82年盤さえも、英国オリジナル以上に低域が分厚い。

    82年盤は、高域も出ているので、非常にバランスが良くて、全体の音の印象で言うなら、英国オリジナルと英国81年盤の中間に位置するようなバランスになっている。

    さらにカッティングレベルが英国盤よりも高いため、同じボリューム位置で再生すると、音量が大きく英国盤よりも良い音に聴こえてしまう(笑)。
    で、いつもながら音量を合わせて比較すると、やはりコピーテープっぽさを感じる音だなとわかる。
    けれども前述の通り、『White album』の時は再生音を比較する限り、根本的に大きな音質差があるように思えたが、こちらはそれほどの差を感じなかった。

    もし81年盤を聴いていなければ、国内赤盤の82年盤は、英国オリジナルとは違うがベストな音質かなと思えていたかも。しかし、個人的には思いのほか81年盤が良くて、英国オリジナルよりもオーディオ向きな音傾向に思えた。

    201408 (12)
    *86年盤の裏には、どのタイトルでも必ずHで始まる四角い囲みマークがある。たぶん発売年月を示しているのでは?
    *8/18追記:ton-gooさんからの情報で、やはり発売年をあらわしているとのこと. 詳しくはコメント欄参照.

    僕の推測だが、9月に発売されるMono LPsは、81年盤よりも音のバランスはオリジナルに近く、それでいて、しっかりと高域まで音が出ているのではなかろうか?

    でもそれって、国内82年盤に近づいてしまう気もするが(苦笑)。


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    ジャンル : 音楽

    コメント

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    はじめまして

    いつも興味深く拝見させていただいております。
    僕はまだ31歳なのですが、レコードを聴き始めてもう15年以上経ちます。
    ただ、最初の10年ぐらいは、パンクしか聴かないということもあって、機材に関しては全くと言って良いほどこだわりはありませんでしたが、この5年ぐらいでようやくオーディオにも少しだけ力を入れ始めて、使える範囲の金額で色々と試しています。
    ネットでも色々と情報収集していたときにJDさんのブログを知り、過去に遡ってほとんどのブログを読ませていただきました。圧倒的な情報量で大いに参考にさせてもらっています。ありがとうございます。(実際、ビートルズの「MMT」の最新リマスターのLPの記事は、リアルステレオのドイツ盤を買おうとしていた矢先だったので非常に助かりました。)
    さて、この度投稿させていただいたのは、「HELP!」のモノラルUKオリジナルについての記事があったからなのですが、僕もオリジナルを持っていますが、音質の悪さから、モノラルはあまり聴くことがなかったのですが、フォノイコでそこまで変わるのは正直驚きです。そこで、質問なのですが、WHOの「MY GENERATION」のUKオリジナルのA面ラストのMY GENERATIONの音質の低下はJDさんのEA-300ではどうなのでしょうか。もちろん、改善されるとしても、金額的にすぐに導入することはできませんが(苦笑)
    JDさんに発表するのはお恥ずかしい限りですが、僕は、LUXMANのL58Aのフォノ端子にステレオのDL103を、外付けフォノイコには合研labのGK03Asを使い、モノラルのDL102を繋いでいます。
    長文失礼しました。これからも勉強させてください。

    Re: はじめまして

    大野さん、こんにちは。初めまして。
    コメントどうもありがとうございます。
    過去記事に遡って読んでいただいたとのこと嬉しい限りです。

    >僕はまだ31歳なのですが、レコードを聴き始めてもう15年以上経ちます。

    年齢からすると、アナログオーディオに力を入れられているのはいまどき珍しいのではないでしょうか。
    僕の周りは数名程度です。

    >僕もオリジナルを持っていますが、音質の悪さから、モノラルはあまり聴くことがなかったのですが、
    フォノイコでそこまで変わるのは正直驚きです。

    使用機器のグレードに応じて再生音がグレードアップしていくので今回導入したEA-300によって、それまでよりも確実に向上しました。
    ただそれでけでなく、引越しして部屋が変わったのもかなり音質アップに効いてます。

    『Help!』の英国Monoだけでなく国内Mono赤盤も、それこそ数年ぶりに聴いたので記憶の中にあった音質をだいぶ上回りました。

    >そこで、質問なのですが、WHOの「MY GENERATION」のUKオリジナルのA面ラストのMY GENERATIONの音質の低下はJDさんのEA-300ではどうなのでしょうか。

    やはり音質は、それ以前のトラックと比較し低下しています。
    それは、他の曲と違ってこの曲のみコピーマスターが使用されているためなので、その音質差については英国オリジナル盤を聴く限りは避けられません。
    しかし、それでもレコードの音質そのものが良くなったので、この曲も『Help!』同様、これまで以上に良い音で聴けるようになりました。

    >僕は、LUXMANのL58Aのフォノ端子にステレオのDL103を、外付けフォノイコには合研labのGK03Asを使い、モノラルのDL102を繋いでいます。

    残念ながらDL103以外は僕は音を聴いたことがないのですが、オーディオの楽しみは現用の機器の使いこなしで如何に最高の音質を引き出せるかと、組み合わせの変更によって違った音を楽しむことでもあるので、いろいろと楽しんでおられるのでは、と思いました。

    こちらこそ、これからもよろしくお願いします。

    お返事

    ありがとうございます。
    非常に丁寧なご説明で大変参考になりました。
    やはり、部屋も音質に大きく影響するのですね。
    僕は東京の安いマンション暮らしで夜が遅い仕事なので、それほど大きな音は出せないのですが、それでもスピーカーの位置等によって音が変わることは実感しているので色々と試行錯誤しています。

    また、JDさんがおっしゃるように、もちろん僕の周りにオーディオやアナログレコードを聴く人間は一人もおりません。もっとも僕自身、周りの誰も聴いたことのないような音楽を聴きたいと思って聴き始めたレコードという趣味にここまでのめり込むとは予想していませんでした(笑)

    「MY GENERATION」に関して、やはりそうでか。コピーマスター使用であるがゆえの不可避現象なのですね。いまだにパンク好きなので、やはりWHOは1stが一番好きなのですが、いつもA面6曲目でガクッと来るのです(笑)
    まぁ、MY GENERATIONが聴きたければオリジナルシングルを持っているので、シングルで聴けば良いのですが、アルバムとしての統一性が毎度もどかしいので、アルバム全体を聴く際には、2008年に発売されたモノラルのCDを聴いています。
    ですが、実は、僕の家の機材では、USオリジナルのモノラル盤が最もパンチのある音を出してくれます。US盤にしては、オミットした曲も個人的に納得できますし(笑)
    ただ、残念ながら盤の状態が悪いのでいずれ買い直そうと考えています。

    こういったことを日々悶々と考えることに自分の中でもどかしい思いをしていたのですが、JDさんにご指摘いただいたように、そういった状況を実は楽しんでいるのかもしれません。最近、「音楽を聴く」というよりも「音を聴く」という感覚について自分の中でこれではいけないという思いがあったので、なんとなく自分の中で落としどころが見つかった気がします。
    本当に感謝しています。ありがとうございました。
    これからも機会があれば投稿させてください。

    こんばんは。

    こんばんは。ton-gooです。

    「86年盤の裏~」のアルファベットは発売年の略号です。

    略号 発売年
    N 1984
    I 1985
    H 1986
    O 1987
    R 1988
    E 1989
    C 1990
    D 1991
    K 1992
    Y 1993
    A 1994

    「日本レコード協会」です。
    英盤マトのグラモフォンみたいで面白いですね。

    Re: お返事

    大野さん、こんにちは。

    >もっとも僕自身、周りの誰も聴いたことのないような音楽を聴きたいと思って聴き始めたレコードという趣味にここまでのめり込むとは予想していませんでした(笑)

    面白いお話ですね。

    僕の世代だと子供の頃はレコードが当たり前なのですが、今思うと、周りの友人のほとんどはオーディオには興味がなかったのでしょう、CD登場以降はレコードを処分する人がほとんどでした。
    オーディオ機器もミニコンポ程度。

    だから僕が今もレコードを聴くと言うとびっくりされることが多いです。
    それに、どんな音で聴いてるか想像もつかないと思います。

    >これからも機会があれば投稿させてください。

    どうぞ。

    Re: こんばんは。

    ton-gooさん、こんにちは。
    情報ありがとうございます。

    > 「日本レコード協会」です。

    こんな具合に付けられていたなんて、初めて知りました。
    86年は「平成」ではないので、どうしてHなのか?とずっと思っていました。

    > 英盤マトのグラモフォンみたいで面白いですね。

    本当に、そうですね。



    プロフィール

    JD

    Author:JD
    自分の感覚としては(昔の?)ラジオDJのネット版のようなもののつもり。僕は1970年代のオーディオ全盛期の最後に属する世代で、ペアマイク持参で生録に挑戦した世代。国内盤LPが高価だったので輸入盤を買っていた、そういう中高生時代を過ごした。

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