モノラル盤をモノラルカートリッジで楽しむ

    その昔、僕が初めてモノラル盤専用のカートリッジで聴いてみたいと思ったレコードはMiles Daviesの『Miles a head』の米国オリジナル盤だった。

    201408 (2)
    *ジャケットの上に載せたのがAT-MONO3/LP、なおジャケットは同一サイズのビニール袋にいれたままなので反射がある

    その理由は、盤質がひどくて、左右チャンネルから出るスクラッチノイズに悩まされていたから。
    聞くところによると、モノラル盤専用のカートリッジで聴けば、ノイズが減るとの話だった。

    だから、入門用として安価なものを選択し、最初に買ったモノラルカートリッジはAudio- TechnicaのAT-MONO3/LPだった。


    実際に再生して、嬉しい驚きを感じた。
    ステレオカートリッジの場合にはトレースされノイズとなって出る音が、出てこないと言う話は本当だった!

    但し、全てのスクラッチノイズが消えたわけではなく、ちゃんと奥の方に聞こえている。しかし、その音量は小さくなり、やはりモノラル盤専用のカートリッジを導入したのは正解だったと思った。
    と同時に、モノラルカートリッジを使うことで、盤質評価も変わることを知った。

    また、僕自身はモノラルでも2つのスピーカーを使って再生しているので、音象が中央にぴたっと定位し、ぶれのない音で聴こえることにも感動した。

    そのため数年はAT-MONO3/LPを使ってモノラル盤を再生するようになった。

    201408 (4)
    *当時、このLPも良く聴いていた


    しかしその後、盤質によっては逆にモノラルだと終始ノイズを拾い続けるけれど、ステレオだと片方のチャンネルはクリアに聴ける場合もあることを知った。

    つまり、ステレオカートリッジで再生した場合の片側の音溝だけが荒れている盤質のものもあって、そういう場合は、ステレオで片方のチャンネルだけを聴く手もあると知ったわけだ。但し、これは珍しいケースだと思う。


    さてその後、ステレオカートリッジの方をグレードアップしていくと、AT-MONO3/LPは音質的に不満がつのり、結局、モノラルカートリッジもグレードアップが必要だと思い至った。今度は入門用でなく長い付き合いをしようと、思い切ってSPUのオールドモデルを中古で購入した。

    ナローレンジだけど、確かにごつい音がして、いわゆる音の塊がモノラルながら立体感を伴って聴こえるように思った。

    にもかかわらず、残念なことに1年で針先が飛んでしまった。
    数万円もしたのに1年しか使えなかったのは、懐にとって打撃が大きく、もう二度とカートリッジの中古はこりごりと思った。

    そして、破損リスクゼロを求め新品購入にこだわることにし、現在使用しているAT33-Monoに至っている次第。


    最初に買ったAT-MONO3/LPは、SPUよりも再生帯域が広いけれど音が薄っぺらく、やはり値段相応という印象になった。
    AT33-Monoはさらにワイドレンジに思えるものの、これをナローレンジにすればSPUと変わらないような音の厚みや実在感があると思っている。とても現代的な音質のカートリッジだと思う。
    ただし、たぶんしっかりと比較したら、その質はSPUの方が上質なのかもしれないが。


    話は変わって、70年代以降にプレスされたモノラルLPは基本的にステレオのカッターヘッドでプレスされているのでステレオカートリッジで再生しても全く問題ない。
    近年の高音質プレスのMono盤も同様。

    けれども、モノラルカートリッジで再生した方が、僕のように2つのスピーカーで聴いている場合、(繰り返しになるが)音象が中央にぴたっと定位し、ぶれのない音で聴こえ、カートリッジの性能によっては音の塊がモノラルながら立体感を伴って聴こえる。
    ステレオカートリッジでの再生の方が、やや曖昧な音になる気がする。

    特に近年のJazzの高音質盤の場合、オリジナル盤以上にワイドレンジな音溝が刻まれている場合もあり、これらの再生には新しい設計のモノラルカートリッジの方が適しているのではなかろうか?と思える。


    このように書いてきて、最後の最後で前言を翻すようで申し訳ないが、所持しているカートリッジのグレードが ステレオ>モノ の場合、ステレオで聴いたほうがより高音質で聴けるわけなので、モノラルカートリッジを使うか、ステレオのままでも良いかの判断としては、個人の好みの範疇で使い分けて聴くのが良いのではないかと思う。

    今日もBeatlesの国内mono赤盤を、ステレオカートリッジ(P-3G)で聴くと、再生音質はAT33-Monoよりも明らかにランクが上がっていると思ってしまった。質感がね。



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    テーマ : ひとりごと
    ジャンル : 日記

    コメント

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    No title

    JDさん、こんにちは。
    先日の話のフォローをして頂いたようで、恐縮です。マイルスのモノ盤、滅茶苦茶音良いですよね。僕もブルー、ソーサラー、フォーモア、etc辺りを持ってますが(全て英国盤ですが)、感動的に音が良いですね。やはり当時は録音機材・技術等、米国のほうが進歩していたのでしょうか。ディランなんかも(これまた英国盤ですが)、ハイウェイやブリング・イットやブロンド辺りのモノ盤良い音しますよね。しかしながら同じCBSのサイモン&ガーファンクルの英国モノ盤はイマイチで、ステレオの方が全然良いと感じますが、何なんでしょう。
    SPU憧れます。一庶民である僕はDL-102という低価格帯で我慢していますが、死ぬ迄に一度聴いてみたいものです。DL-102はMMなのかMCなのか、ちょっと中途半端です。昔はMCで使用したほうが音が良いと感じましたが、MMフォノイコを買って以来こちらの方がしっくり来るようになりました。やはりMCでは(MMと比較すると)増幅しすぎで音が荒すぎになるようです(一瞬元気になったように勘違いしてしまいますが)。AT33-Monoも良さそうですね。しかもちょっと頑張ってみたくなる価格設定ですね。
    先日のRIAAカーブの話も非常に面白かったです。

    No title

     いつも興味深く読ませていただいています。
     今回JDさんが触れられた'70年以降のモノラル・プレス盤についてですが、ステレオ・カートリッジを使用すべきかモノラルのそれを使うべきなのか、常づね迷うところでしたので成る程と思いました。
     ラテン系のマイナー・レーベルやソウルのUSシングル(こちらはむしろメジャー系か)だとcompatible stereoと表記されていることがママ有り、必ずしもモノラル・カートリッジの選択がベストとは云えないような気がしていたからです。
     最近の発見ですが、'76年ジョニ・ミッチェルの「coyote」(逃避行からのカット)のプロモシングルなど元々ステレオ録音だったものをAMステーション向けにモノ・ミックスしただけのせいかステレオ・カートリッジの方がベターのような気も。もっとも彼女の場合いずれも高音質盤なんですけど。

    Re: No title

    電気武者さん、こんばんは。
    コメントありがとうございます。
    お察しの通り、先日の返答文が当初長すぎたので、記事にしたようなものです(笑)。

    マイルスの英国モノ盤は『Kind of blue』しか今は持っていませんが、やはり米国モノ盤とは大元のマスターテープの世代が違うように思っています。
    一度米国モノ盤も聴かれると良いですよ。

    >やはり当時は録音機材・技術等、米国のほうが進歩していたのでしょうか。

    僕はそうだったのではないのかなと思っています。

    >SPU憧れます。

    SPUは僕も最新版には興味がありますが手が出ません。
    ただ、AT33-Monoも価格の割には良いと思うものの、あと1~2ランク上のMonoカートリッジにグレードアップしたい気持ちはあります。

    DL-102は逆に僕も聴いてみたいカートリッジの一つです。

    >やはりMCでは(MMと比較すると)増幅しすぎで音が荒すぎになるようです(一瞬元気になったように勘違いしてしまいますが)。

    そのお話からすると、仰るようにMM接続で使用したほうが良いかもしれませんね。

    そうそう、この記事で取り上げたMilesの米国Mono盤2枚もColumbiaカーブでの再生が正解でした。


    Re: No title

    t-izuさん、こんばんは。
    久しぶりのコメント、どうもありがとうございます。

    >常づね迷うところでしたので成る程と思いました。

    ご参考になれば幸いです。

    >ラテン系のマイナー・レーベルやソウルのUSシングル(こちらはむしろメジャー系か)だとcompatible stereoと表記されていることがママ有り、必ずしもモノラル・カートリッジの選択がベストとは云えないような気がしていたからです。

    ただ、ステレオカートリッジで再生すると、音溝の上下の動きに対しても発電するので、本来モノカートリッジでは再生されない音が混じる可能性もあります。
    僕自身、そのような上下動がモノ用のカッティングで完全に排除されるかどうか知らないので、あくまでも技術的にはそうだ、としか言えませんが。 

    >元々ステレオ録音だったものをAMステーション向けにモノ・ミックスしただけのせいかステレオ・カートリッジの方がベターのような気も。

    当時のAM放送局で使われていたのがMonoカートリッジだけなのかどうか。
    そのあたり、知りたいところですね。

    No title

    JDさん、こんばんは。

    思えば、SPU Mono Gはとても優れもののカートリッジでした。音は太いし、扱いやすいし、プレイヤー(C.E.C.のST-930S)との相性もよかった。何より高出力なので、昇圧トランスなしで後述のフォノイコに繋げましたから。
    でも、私が中古で買ったSPUも、やはり最後は針先が飛んでしまいました。

    そこで仕方なく、最初に買って、しまってあったAT-MONO3/LPを引っ張り出し、現在に至っています。

    SPUは、サウンドボックスというガレージメーカーのMozart Phonoという、管球式モノラル用MM対応のフォノイコに繋いでいました。

    そもそもこれを買ったのが、78回転のSP盤を聴くためで、通常仕様だとイコライザー・カーブがRIAA、COLUMBIA、LONDON、RCA、AES、NABの6種類のところ、セレクターの1つないし2つ分をSP用(USAとEU)に割り当てるというもので、よくわからないのでAESとNABの分を割り当ててもらいました。

    SP盤の再生はともかく、SPUがオシャカになってから、Mozart PhonoをモノラルのLPやEPの再生に使う機会はなくなってしまい、最近は通電すらしていない有様でした(汗)。

    これではまずいと、さきほど通電。主にSP用に使っているSonovoxのMC-4(国産です)というバリレラ型のモノラル・カートリッジ(SP用3ミル、LP用1ミル、LP用0.7ミルと、針の部分を差し替えて使う)を久々に取り出しました。

    が、このカートリッジ、盤によっては盛大に歪んでしまうんですね。貴重なものではありますが、普段使いには適していない感じです。

    で、ものは試しと(前にも試しているはずなんですがよく覚えていない)AT-MONO3/LPをMozart Phonoに繋いでみると、MCでも高出力なので、ヴォリュームを上げれば一応ちゃんと聴けることが判明。

    AT33MONO(欲しい!)の方が音質的には上でしょうが、出力が低いので、この繋ぎ方は無理でしょう。かといって、カートリッジに加えて昇圧トランスも買う予算はとてもないし。

    GRADOのMC+あたりを試してみる手もありそうですが、いずれにしても予算に余裕はない。

    ということで、しばらくはAT-MONO3+Mozart Phonoでいろんな盤を聴いてみようかと思います。

    先日買ってきた、フランク・シナトラの『Songs For Swingin' Lovers』(Capitol、1956年)を今聴いていますが、ステレオ・カートリッジ(テクニカのAT33PTG/II)+Lintoで聴くよりいい感じかも。

    Capitolのイコライザー・カーブはAES(ターン・オーバー400Hz、ロール・オフ2,500Hz)らしいんですが、ポジションがないので聴き比べて、LONDONポジション(500Hz、3,000Hz)が一番しっくりきました。

    No title

    すみません、大事なことを書き忘れました。
    私はモノラル盤は、1個のスピーカーでしか聴きません。そもそも片チャンネル分しか結線しないのです。
    もちろんCDではそこまでしませんが。
    このやり方も、一度試してみることをお勧めします。

    Re: No title

    鳩サブローさん、こんにちは。

    興味深いお話、どうもありがとうございました。
    まさか鳩サブローさんも、中古SPUで同じ目に遭っていたとは!

    そういえば、SP盤用にはAT-MONO3/SPが出ていますね。
    AT-MONO3/LPとの違いは、針圧が5g、再生帯域レンジが狭まるようです。

    イコライザー・カーブはあまり深入りしないように、EA-300付属機能のものだけにしようと思っています(笑)。

    > 私はモノラル盤は、1個のスピーカーでしか聴きません。そもそも片チャンネル分しか結線しないのです。
    > このやり方も、一度試してみることをお勧めします。

    なるほど、そういう手もありますね。
    いつかやってみようかなと思いました。

    No title

    AT-MONO3/SPははっきり言って、SP盤を再生することができる、という以上のものではないと思います。テクニカびいきの私でも、さすがにこれはお勧めできません。

    やはりSP用のDenon DL-102SDも持っていますが、これも使うことはありません。

    私にとって、SP用のカートリッジといえばSonovoxのMC-4にとどめを刺します。もう今では手に入れるのも困難ですが。

    ただし、このカートリッジの、LPの再生能力については、私も過去にいろいろ試していたはずなのにも関わらず、ちゃんと把握できていなかったようです。

    昨晩の書き込みでも「盤によっては盛大に歪んでしまうんですね」なんて書いてしまいましたが、これは針圧をしっかり掛けていないのが主な原因だったようで、もちろん盤のコンディションなどにも大きく左右はされますが、今生き生きと鳴っていて、何年もほったらかしにしていたのを反省しているところ。

    Sonovoxのこの伝説のカートリッジについては、近い内にブログに書こうかと思っています。

    話がそれてしまい、すみませんでした。

    Re: No title

    鳩サブローさん、こんにちは。

    僕はSP盤に関しては収集の対象にしておらず、78回転で、RIAAとはEQカーブが異なることくらいしか知りません。

    だから再生する気もないので、AT-MONO3/SPやDL-102SDの実力がそんな程度と聞いてびっくりしました。

    聞くところによると、SP盤はしっかりと調整された装置だと驚くほどに生々しい音で再生されるとの話。
    一度聴いてみたい気はするものの、現状のまま遠ざかっているほうが良いかなと思っています(笑)。

    >Sonovoxのこの伝説のカートリッジについては、近い内にブログに書こうかと思っています。

    面白そうですね。
    楽しみにしています。

    No title

    JDさん、最後に少しだけ。

    昨晩はあんな書き方をしてしまいましたが、AT-MONO3/SPも、DL-102SDも、トランスをちゃんと使ったりすれば化けるのかも知れません。
    フォノイコやアームとの相性などもありますし、能力が引き出せていないだけかも知れません。

    うかつな物言いは避けるべきでした。
    どうも失礼しました。

    Re: No title

    鳩サブローさん、こんばんは。

    > AT-MONO3/SPも、DL-102SDも、トランスをちゃんと使ったりすれば化けるのかも知れません。
    > フォノイコやアームとの相性などもありますし、能力が引き出せていないだけかも知れません。

    確かに、オーディオ製品は組み合わせ(相性?)で音が大きく違ってくる場合がありますね。
    特に微小信号を扱うフォノ関係は変化差が激しいかもしれません。

    補足コメント、どうもありがとうございました。
    プロフィール

    JD

    Author:JD
    自分の感覚としては(昔の?)ラジオDJのネット版のようなもののつもり。僕は1970年代のオーディオ全盛期の最後に属する世代で、ペアマイク持参で生録に挑戦した世代。国内盤LPが高価だったので輸入盤を買っていた、そういう中高生時代を過ごした。

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