EQカーブについて(Columbiaカーブ)

    EA-300同封の取り扱い説明書に掲載されたRIAAカーブとColumbiaカーブの差を眺めていてすぐに思い出したのが、以前Sundazedから再発のDylanのmono盤(『Bringing it …』~『Blonde on blonde』)だった。

    DylanMonoCL (2)
    *探すとすぐ出てきたSundazedからの3枚.2ndは今日まで新品のままだった.

    それらSundazedからのDylanの再発monoは、米国オリジナルmonoに較べ、どれも低域不足に思え、全帯域のバランスも違って聴こえた。
    特に低域不足は僕には良いと思えず、二度と聴いていなかった。



    アナログレコードに(文字通り)刻まれた音溝は、ご存知の通り、音楽信号のうち低音域や高音域については正確な信号でなく、歪の出ないように補正をかけて弱めた信号でカットされ、再生時に適切な補正(逆補正)をかけて元に戻す仕組みになっている。そのため、Phono equalizerは必需品なのだ。

    だが、現在発売されているPhono equalizerが有するEQカーブはRIAAカーブのみ(*EQ切り替えありの機種は世界的規模でも5%未満では?)。そのため、レコード会社やレーベルによってEQカーブがRIAAカーブと違っていては、正確な逆補正がかからないことになってしまう。

    そして、Columbiaカーブでカットされた盤をRIAAカーブで再生すると、低音域が増強されてしまう。高音域も同様に強められてしまう……。

    DylanMonoCL (4)
    *引っ張り出してきたDylanのオリジナルmono盤. 『Bringing it・・・』 は2ndレーベル.


    今回、これまではRIAAカーブでしか再生できなかったから、Dylanの米国オリジナルmono盤は本来の正確なEQがかかっていなかったのではないか?これが、Sundazedからの再発monoとの音質差なのでは?と思えた。
    当然、再発monoはRIAAカーブでのカッティングだ。

    そして、米国オリジナルmonoをColumbiaカーブで再生すると、Sundazedからの再発monoと帯域傾向はかなり近づく。

    DylanMonoCL (8)
    *他にもByrdsも聴き比べ(左:Sundazed、右:オリジナルmono)

    実際には、僕の機器では、再発mono盤(RIAAカーブ再生)の方が、オリジナルmono盤(Columbiaカーブ再生)よりも若干低域も高域も強めになる。そのあたりは、60年代と00年代とのマスタリング(音作り)の違いだと思う。


    Bob Dylanだけでなく、再発Mono盤を持っているColumbia盤をいくつか探して、両者を聴き比べてみたところ、僕の推測はほぼ正しいように思えた。つまり、60年代になっても(いつまでなのかは定かではないが)、米Columbiaは、mono盤をColumbiaカーブでカッティングしていたのだろう、と。

    前回の記事にコメントいただいたEA-300製造元のPhasemation様からのコメントのように、Columbiaカーブで再生したほうがしっくりくるのだ。

    DylanMonoCL (6)
    *Milesは当然Columbiaカーブのはず(左は初版、中央は60年代プレスmono)

    ただし、Sundazed盤からもわかるが、近年の再発Mono盤は、80年代あるいはCD時代以降の(当時やや強調気味に思えた)はっきりとした高域を経験した後の耳でマスタリングされているので、60年代盤をColumbiaカーブで再生した音よりも高域は強めの音になっている。

    逆に60年代盤をRIAAカーブで再生した場合、さらに強い高域になるが、Columbiaカーブで再生すると今の耳ではややおとなしめの気がしてしまう。でも、全帯域のバランスからすると、非常に自然な音に聴こえる。

    それと、僕はこれまで20年近く米国オリジナルmonoをRIAAカーブで再生していたわけだから、正直、音の違いに戸惑っているのも事実。

    DylanMonoCL (9)
    *Dylanの『mono LP box』と、その中から. 『Bringing it・・・』、そして右下は英国オリジナルmono

    そして、Sundazed盤よりも、音の質感と言い、再生音の帯域傾向といい、ずっとオリジナル盤に近いと思えたDylanの『mono LP box』については、これがRIAAカーブで再生すべきかColumbiaカーブで再生すべきか、一度聴いただけでは判断がつかなかった。

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    テーマ : 洋楽ロック
    ジャンル : 音楽

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    No title

    とても興味深い記事をありがとうございました。拙はたまにクラシックのオリ盤を買うのですが、米コロムビアの60年頃のオリ盤を聴きながら、EQカーブはRIAAで合ってるんだろうか?なんて思いながら聴いていました(笑)。多分違うんでしょうね。外付けのフォノイコを買うなんて拙にはとても無理みたいです(笑)。

    Re: No title

    路傍さん、こんばんは。
    コメントありがとうございました。

    >米コロムビアの60年頃のオリ盤を聴きながら、EQカーブはRIAAで合ってるんだろうか?なんて思いながら聴いていました(笑)。多分違うんでしょうね。

    それなら違っているかもしれないですね。
    クラシックの場合、Rockと違って生楽器の音(+基本は一発録音)なので、余計に目立つと思います。

    >外付けのフォノイコを買うなんて拙にはとても無理みたいです(笑)。

    僕も昔はそう思っていたのですが(笑)。
    だから、いつか購入されるんじゃないですか。

    No title

    コロムビアは、モノとステレオではミキシングが別でしたから、低音の量感が違っても不思議ではありません。RIAAを使うことは工業規格で決まっていたことですから、会社の方針で左右することではありませんでした。よく、1960年代まで会社によってはRIAA以外も使っていたということを言う人がいますが、具体的な証拠でそれが確認されたことは知る限り一度もありません。

    Re: No title

    ん。さん、おはようございます。初めまして。
    コメントどうもありがとうございます。

    >コロムビアは、モノとステレオではミキシングが別でしたから、低音の量感が違っても不思議ではありません。

    すみませんが、僕はモノとステレオとを比較したわけではありません。誤解されているように思えます。比較は全てMono盤同士です。写真でおわかりになると思いますが。

    >RIAAを使うことは工業規格で決まっていたことですから、会社の方針で左右することではありませんでした。よく、1960年代まで会社によってはRIAA以外も使っていたということを言う人がいますが、具体的な証拠でそれが確認されたことは知る限り一度もありません。

    情報どうもありがとうございます。
    ネットで調べると、別の意見も見受けられますが、ん。さんの言われることの方が正論のように思えます。

    ただ、僕自身は自分で各レコード会社のことを調べたわけでないので、別の意見についてもそれなりに納得してしまう点もあって、正直なところ自分ではどちらが正しいかどうかの判断はできません。

    けれども、DylanやByrdsの60年代モノ盤を再生する限りにおいては、RIAAよりもColumbiaカーブのほうがしっくりくると思いました。これは実際の音を聴き、Sundazedの再発モノと比較しての僕の考えです。
    プロフィール

    JD

    Author:JD
    自分の感覚としては(昔の?)ラジオDJのネット版のようなもののつもり。僕は1970年代のオーディオ全盛期の最後に属する世代で、ペアマイク持参で生録に挑戦した世代。国内盤LPが高価だったので輸入盤を買っていた、そういう中高生時代を過ごした。

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