Moneyの録音過程が明らかになるか?

    *12/16AM 若干追記した


    ブログ『ビートルズ音源探求』の野良さんのツィッターを読んでびっくり仰天してしまった!
    公式発表はまだなされていないみたいだが、来週にBeatlesの63年録音のアウトテイク集『Beatles bootleg recordings 1963』がi-Tunesから公式発売されるとの話が突如浮上したようだ!
    *タイトルは正式かどうか不明

    これは僕にとっては、先日の『On air』とは全然次元の違う話で、一大事件だ。

    同じく野良さんが主催する「ビートルズ音源フォーラム2」にも紹介記事が出ている。
    http://altbeatles.progoo.com/bbs/altbeatles_topic_pr_466.html

    特に、野良さんもツィッターで指摘しているが、"Money RM 7 Undubbed"は、「Money」の録音過程を推測する上で非常に重要になるかもしれない。




    と言うのも、有名な「Beatles recording session」に記された“2台のmonoテープレコーダーを右チャンネル用と左チャンネル用に同時再生しステレオバージョンを作った”と言う話は、実際にアナログのオープンリールテープ2台を同時再生させたことがある人なら誰でも間違いだとはっきりとわかる話だからだ。これは100%ありえないと言い切っても大丈夫だろう。

    なぜなら、2台のテープレコーダーのテープスピードが回転ムラも含めて2分半以上も“完全に”同一になることはありえないからだ。0.1秒でも違いが出ると、位相差となって音に現れる。
    基本的に2台のテープレコーダーの再生速度が100%同じであることは現実的にないだろう。

    そのことを多くの人が知らないのは無理もない、デジタル録音時代になってからは完全同期が可能になったからだ。しかし、時代が違いすぎる。
    (昔の話になるが)自分でも業務用のデッキ(38cm/s)2台を使って試してみたが、“完全”同期は不可能だった。

    あるいはBeatlesの67年の作品『SGT』の録音で登場する4トラックレコーダーの一つのチャンネルに別のテープレコーダー用の制御信号を録音し、それを使って2台を連動させる方法もあったが、それにしても67年であって63年ではない。
    それに、もし63年にそれを2トラックテープレコーダーで実施していたなら、67年のSGT録音での同方法の実施で大騒ぎする理由もない。

    さらに、恐らくSGTの録音では0.数秒(=ゼロコンマ数秒)のズレが生じても問題ないトラック割り当てだったはず。
    しかし、「Money」ではそうはいかない。

    もし2台のテレコの音をそれぞれmono出力して、3台目のステレオテープデッキの左右チャンネルに録音した場合、送り出し側の2台のテープ(2種類の別monoミックス)の中に同一音源が含まれていた場合(この場合、ボーカル)、2分半の間に必ずどこかでズレが生じ、位相差が生まれ、まるでフェイザーがかかったような声になるだろう。

    ズレの前後を含めた部分は、アルバム『Revolver』の録音で初登場したADT(Artificial Double Tracking)と同じような音になってしまう。中央のボーカルが途中で微妙にずれて左右に離れてしまうわけだ。
    いや、恐らく最初から、左右から同じボーカルが聞こえるという不可思議な音源になっていただろうと僕は推測してしまう。


    しかし、「Money」のステレオミックスはボーカルが中央寄りに定位し、途中で左右チャンネル間での位相差が生じることはない。これが意味するのは、送り出し側のテープデッキが2台あった場合、最低でも1台はステレオで再生し、ボーカルチャンネルをミキサーを使って中央(寄り)に定位させている、と言うことだ。

    となるとステレオ再生されたボーカルを含む音源は、片方のチャンネルがDrumsを含む演奏、もう片方がボーカルに割り振られていたと思われる。そして、別のデッキで再生されたテープに収録されていたのはピアノ(僕の推測ではピアノ1台)と考えられる。

    それらの2台のデッキを同時スタートで再生しながら、さらに追加(2つめ)のピアノをリアルタイムで演奏し、ピアノチャンネル側にミックスして最終のステレオミックステープが作られたのだと僕は考えていた。

    *12/16AM追記:以下の部分は、monoミックスとstereoミックスのピアノ演奏が全く同じと言う前提で記していたのだが、やはりピアノは別演奏との情報を野良さんからいただき、取り消し線を加えた。
    ピアノが別演奏であれば、僕の推論はrecording sessionの記載内容を否定するものではない、但し、異なったmonoミックスを2台のテープレコーダーで再生してstereoミックスを作ったと言う部分は明らかな間違いだと指摘するが。
    あるいは、ピアノを生演奏しながら別のテープレコーダーにオーバーダブしていく方法も可能。普通はそのようにすると思うが。この場合、ダビング回数が増えるので音質劣化が心配される。
    「Misery」の録音では、ピアノをオーバーダブすることを前提に最初からテープスピードを倍速で録音していた。「Money」はそのようには記されておらず。

    しかしこの場合、「Beatles recording session」記載の話と大きく食い違う部分がもう一つ出てくる。それは、かなり長時間をかけて制作されたステレオミックスの制作作業日よりもmonoミックスがずっと早い段階で制作済みだったことだ。

    現在のPC使用のステレオ/モノの同期再生では、それらの演奏はイントロ以外は共通とのこと。
    となると、2つめのピアノをリアルタイムで演奏しながらミキシングしたステレオミックスと、それ以前に用意されていたmonoミックスが共通の演奏には決してならない。

    だから、僕の推論が正しいとしたならば、「Beatles recording session」記載の話に抜けがあり、monoミックスもステレオミックステープを元に再度制作されたのであればつじつまが合う。その場合、イントロ部分とそれ以降とは別のmonoミックスをテープ編集でつなげば問題ない。



    僕自身は、「Beatles recording session」を読んでの最大の謎が「Money」の録音と「Help」のmonoミックスのボーカルの録音はどうしたのか?だった。

    そして、「Help」のmonoミックスのボーカルの録音については、ようやく近年明らかにされ、「Beatles recording session」から抜け落ちていたセッションと判明したので、「Money」の録音過程についても、より考察が深まる音源が登場することを期待したい。


    できればCDでの発売を願うが、もしi-Tunesでしか買えないのなら、僕もあきらめてそこから買う(ダウンロードする)ことを検討しなければと思った。






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    No title

    JDさん、こんばんは。
    私のフォーラムを紹介していただいてありがとうございます。

    この配信リリースはブートで聞けた音源ばかりのようですが、唯一そのMoneyだけは完全初登場の別ミックになります。
    この曲のモノとステレオではピアノが全く別演奏となっています。この別モノ・ミックスではピアノがどうなっているかが

    気になります。
    (リリース版モノ・ミックスのピアノはこの曲の最終モノミキシングに際に同時に重ねられたと推測しています。)

    それと私も、ステレオ・ミックスが、二つのモノ・ミックスを同期して作られたとは思いません。
    ステレオ版のピアノが実際にはどのテイクのものなのかよく分らないので、今回の別モノ・ミックスがそれについてのヒン

    トになればいいなと思います。リリースが楽しみです。

    Re: No title

    野良さん、こんばんは。
    コメントどうもありがとうございます。

    > 私のフォーラムを紹介していただいてありがとうございます。

    こちらこそ、野良さんの情報が無ければ素通りでした。

    > この曲のモノとステレオではピアノが全く別演奏となっています。

    僕もピアノは別演奏だと思っていましたが、数年前に出たPCによる同期再生でミックス違いを検証した「ザ・ビートルズ全曲バイブル」では、イントロは別だけど、それ以降は同じと書かれていた記憶があります。確認しようと思い探しましたが、また行方知れずです(苦笑)。

    僕の考えでは、monoミックスとstereoミックスとでピアノの収録日が別(stereoミックス制作日にピアノを追加したと推定)のため、それぞれ別の演奏だと考えていました。そのため、ザ・ビートルズ全曲バイブルを読んでびっくりした記憶があるのです。
    自分では同じような同期再生での確認はしていません。

    > この別モノ・ミックスではピアノがどうなっているかが気になります。(リリース版モノ・ミックスのピアノはこの曲の最終モノミキシングに際に同時に重ねられたと推測しています。)

    それはありえますね。

    > ステレオ版のピアノが実際にはどのテイクのものなのかよく分らないので、今回の別モノ・ミックスがそれについてのヒントになればいいなと思います。リリースが楽しみです。

    はい、そういう意味で期待できます。
    ただDylan音源のように、欧州のみでの期間限定ダウンロード販売(1日とか?)で終わる可能性もあり、入手できる可能性は低いなぁと考えています。

    No title

    JDさん、こんばんは。

    Moneyのピアノですが、間奏前のグリッサンドの有無といった違いがあるので、両ミックスでは別の演奏だと思います。

    それと海外メディアの取材によれば、この新作は期間限定にはならないそうです。
    その辺は公式発表ではっきりすると思います。

    Re: No title

    野良さん、こんばんは。
    追加情報、どうもありがとうございます。

    「Money」のstereoミックス制作だけに数時間をかけたことから、他の曲と同様のstereoミックスでは駄目だという判断があったと思われますよね。
    歌とバンドの演奏以外にジョージ・マーティンのピアノをオーバーダブして最終版を制作する以上、stereoミックス制作時にマーティンがピアノを弾きなおして録音したのは間違いないと思います。
    なので、それ以前に用意してあったmonoミックスとピアノ演奏が同じはずがないと昔から思っていました。

    > それと海外メディアの取材によれば、この新作は期間限定にはならないそうです。
    > その辺は公式発表ではっきりすると思います。

    そうですか、それは朗報ですね。



    プロフィール

    JD

    Author:JD
    自分の感覚としては(昔の?)ラジオDJのネット版のようなもののつもり。僕は1970年代のオーディオ全盛期の最後に属する世代で、ペアマイク持参で生録に挑戦した世代。国内盤LPが高価だったので輸入盤を買っていた、そういう中高生時代を過ごした。

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