All summer long

    僕の記憶では、90年代初頭までのBeach Boysの一般的なイメージは、夏、海辺、砂浜、その次にサーフィン、と言うようなわかりやすくたわいないもので、このアルバム『All summer long』もそんな風に典型的なBeach Boysのアルバムの1枚だと思って聴いていた。


    僕が最初に買ったのは定価が安価な1500円に設定されていた国内盤stereo LP(ECS-40168)だった。

    asl (3)
    *左から、国内stereo、国内mono、米国mono



    針を降ろすのは20年ぶりくらいだろうか。その間は2on1CDで聴いていたか、90年代半ばに買った米国Mono盤で聴いていた。

    asl (16)
    *国内stereo盤 ECS規格

    優れたpopソング「I get around」は擬似ステレオだった。
    映画American graffitiで知ったアルバム表題曲「All summer long」も擬似ステレオ。

    続く「Hushabye」は、バンドでコピーしたこともある(笑)。この曲からtrue stereoで収録。「Little Honda」、「We’ll run away」と気持ちよく夏に浸って、おかしなインスト「Carl’s big chance」でA面が終わる。
    やはりなかなか良くできている。

    実は、80年代に良く聴いたこのアルバムを、僕は彼らの初期のLPの中ではかなり優れた作品ではなかろうかと捉えていた。曲数を水増しするために曲とは言えないセッション音源を収録している点さえも楽しかったし。

    国内stereo盤を今のオーディオで聴くと、米国Mono盤との比較になってしまうが、音に鮮度がないし、(国内製造盤の特徴かなと思うが)全体的に音が平坦に感じられる。
    それでも、それほどひどくもない。

    asl (6)


    ところで90年代になってTOJP規格で発売された国内盤LPは米国から送られたモノラルマスターを使ってプレスされ、当時ファンの間では評判になった。少なくとも僕や友人の間で話題になった。

    asl (17)
    *国内mono盤 TOJP規格


    僕は後年中古で手に入れたのだが、オリジナルの米国盤と比較すると同じ音ではなく(当然だが)、90年代プレスなりのイコライザー調整がなされている。
    中音域がへこみ、低域はふくらみ、高域も強められている。結果、音が軽い印象だ。

    オリジナルマスターを日本へ送るわけがないので、コピーマスターだと思われるが、90年代にモノラル盤がプレスされたことは喜ばしかった。

    B面は現在でもアレンジが賞賛される「Wendy」から始まり、「火の玉ロック」の一節を流用した軽快な「Do you remember?」、その次にこのアルバムの中でも秀でた曲の一つ「Girl on the beach」へと続く。

    久しぶりに聴くと耳タコになってしまっている「Wendy」よりも、こんな曲あったなぁと思い出した「Do you remember?」のほうが新鮮だ。

    このアルバム、A-6やB-2のような、間違ってもベスト盤に収録されはしないB級作品っぽい曲が、実はアルバムをサーフミュージック作品らしくしていたと思わせられた。
    続く「Drive-in」はA面の「Little Honda」に対応するような軽快で楽しい曲で、この曲の位置づけも同様だ。

    驚いたのは、TOJP盤の次に再度ECS盤を聴くと、こちらの方はわざとらしいイコライジング感を感じない分、好感の持てる音で再生できていると感じられたこと。
    てっきりTOJP盤のほうがより高音質に感じられると思っていたのだが…。

    asl (13)
    *米国オリジナルmono盤

    口直しに米国盤にすると、「Drive-in」のイントロは音程がおかしい。TOJP盤も同じなので、マスターテープに起因するものだろう。米国盤ではあまりのLow-fiな音質に驚く。まるで昔のAMラジオの音質みたいだ。
    TOJP盤はイコライジング処理でそのあたりうまくごまかしている。なかなかやるなぁ。

    次の曲は実際には曲じゃなくて、セッションの様子を2分ほどにまとめたセッション音源。初めて聴いたときは驚いた。こんなものをアルバムに収録するとは、いい度胸してるじゃないか!(笑)。
    しかし、70年代に出回った再発盤ではカットされていた気がする。

    最後の「Don’t back down」もLow-fiサウンドだった。TOJP盤でもあまり変わり映えしない。
    それに引き換え、ECS盤の抜けの良い音と言ったら(笑)。
    つまり、B-4,B-6のmonoマスターの音質は駄目だと言うこと。Stereo盤で聴いた方が良い。


    Beach Boysに対しては、僕は90年代半ば以降の『Pet sounds』礼賛主義(?)がどうも苦手で、あの作品に対する上がりすぎな評価と、光が当たりにくくなった感のある「夏」を思わせる普通のpop バンド的な面の評価が、もう少しバランス良くなって欲しいと密かに思い続けている。

    『Pet sounds』は大好きだけど、それだけなのは片手落ちだろう。B級作品もひっくるめて再評価してもらいたい。

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    自分の感覚としては(昔の?)ラジオDJのネット版のようなもののつもり。僕は1970年代のオーディオ全盛期の最後に属する世代で、ペアマイク持参で生録に挑戦した世代。国内盤LPが高価だったので輸入盤を買っていた、そういう中高生時代を過ごした。

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