Concerts for the people of KampucheaとWho

    このベネフィットコンサートは1979年の年末に英国で催された(4日間)。アルバム発売は1981年になってからだった。

    『Concerts for the people of Kampuchea(Atlantic SD 2-7005)』米国盤
    Kampchea.jpg

    LP発売前からFMラジオで何度も特集された。たぶん、コンサートの牽引役をPaul McCartneyが行っていたからだろう。

    参加アーティストは、当時new wave と言われたアーティストと彼らからold waveと呼ばれたアーティスト両方が介していた。それは珍しかったかもしれない。


    僕はLPを買うまではエアチェックしたカセットをよく聴いていた。前述の通り(当時大好きだった)Paul McCartney率いるWingsが出ているからだ。そして、Paul 率いるRockestraも登場する。Rockestraのテーマも好きだった。

    LPは月に1枚しか買えなかった頃なのでエアチェックはとても大切だった。そして、エアチェックしたテープを聴いて非常に気になったグループがあった。それがWhoだった。

    これまで何度も書いているが、当時はWhoについての情報が極端に少なかった。
    テレビで放送される映像はだいたい楽器破壊シーンだったし、音楽雑誌でもたいてい「英国の個性的なグループWhoが…」みたいに、一風変わったグループと言う記述が多く、音楽性はあまり語られていなかった。
    *当時の国内盤LPの解説を読んでも、英国rockシーンの中でのWhoの立ち位置をしっかりと理解できていた音楽評論家はいないかも。ラジオのDJ諸氏もしかり。


    「Baba o'riley」「Sister disco」「Behind blue eyes」はこのアルバムで初めて知り、特に「Baba o'riley」がシンセサイザーから始まるにもかかわらず全然テクノじゃないことに驚いた(笑)。

    アルバムは2枚組で、レコードA面全てをWhoの曲が占めている。
    レコードD面はPaul McCartney関係で占められている。
    Kampchea (4)
    *クリックで拡大

    これらは契約の関係やコンサートの役割から割り当てられたのかもしれないが、その後、NHKで放映されたコンサートの模様を見て納得した。その後、僕はWhoのレコードを求めて、近場のレコード屋をはしごすることになった(笑)。

    LP発売後、少し経過してNHKで放送されたコンサートは当然抜粋だったが、Whoは3曲も登場した。
    このときのTVを観ていて他のアーティストと比較し、Whoの演奏はやたらとテンションが高く感じられた。PeteやRogerが派手に動き回るWhoのステージはそれまでTVで観てきた他のアーティストとは別物だった。Peteの腕回し奏法とRogerのマイク回しはこの時初めて観て衝撃だった。

    また、非常に驚いたのだが、new waveのグループよりもステージ上の緊張感、張り詰めた空気感がひしひしと伝わった。てっきりベテラン勢の演奏と言うのは手馴れたものを手馴れたようにやるものと思い込んでいたので落差が激しかった。本当に驚きだった。

    Rogerと Peteとの間になごんだ空気は感じられず、「Behind blue eyes」の途中ステージ狭しと動き回る二人が交差する瞬間、PeteがRogerを睨むのだが、こっちにも殺気が走るぐらいだった。
    なんだ、Whoの方がずっとpunkじゃないか!と驚かされたのだった。

    それまで僕の中で築かれてきた“Rock”の意味する概念に無かった何かがこの時追加され、僕はすっかりWhoファンになってしまった。
    *ちなみに、米国での「Concert for New York City」でもWhoの演奏は凄かった

    今聴くとA面の4曲のうち「Behind blue eyes」以外の3曲はPeteのギターのチューニングが狂っていて聞き苦しい。特に「Baba o’riley」と「See me feel me」。

    しかし、それでも映像で「See me feel me」を観ると熱くなってしまう。TV放送の時もきっとそうだったのだろう、僕はこのTVを観て以来、「See me feel me」が頭の中で何度もリピートするようになったことを覚えている。メロデイも覚えやすいし。

    Kampchea (9)
    *見開き部分

    アルバムの他の面(B面、C面)には、Queen、Clash、Pretenders等、7つのアーティストの曲が収録されている。今聴くとそれぞれ好演していることがわかる。

    D面のPaul McCartney&WingsやRockestraはLPでは良く聴いた。
    当時は「Coming up」も好きだった(今も)ので、3曲めから最後まで聴くことが多かった。

    LPだと当然映像が無いので、TVで観たRockestraの模様は記憶から薄れて行ったのだが、覚えていたことはPeteだけがお揃いの上着を着ておらず、やたら目立っていたこと(笑)。

    Kampchea (3)


    その後、ブートDVDで30年ぶりぐらいに映像を見たが、思っていたよりかはPaulも目立っている。まだ30代だし。
    しかし、最後の「Rockestra theme」でのPeteの目立ちようと言ったら(笑)。

    ステージ上でアクションギタリストの血が騒ぎ、Rockestraの3曲目でとうとういつものスタイルで小刻みに動き、腕を振り回しながら演奏するのだが、最後のエンデイングの決めをPeteのジャンプを合図にすると言うのは全く持ってWhoと同じ(笑)。これって、事前に取り決めされたのだろうか?なんとなくPeteがステージを乗っ取ってしまったのではないか?と疑われるが。


    ちなみに、僕が『Concerts for the people of Kampuchea』からのWhoとRockestraのシーンを観たのは、このブート。数年前に某DUで中古を千円程度で買ったはず。
    Kampchea (12)

    画質は昔のテレビで見ればそこそこ良い。
    当時のTV放送を観た人にとっては懐かしいに違いないだろう。

    このブートには他にも「さらば青春の光」の出演者への撮影ロケ地でのインタビューなども含まれ、当然のことながら日本語字幕はないが、千円程度なら十分に期待に応える内容ではなかろうか。


    そして、今年になり驚きのDVDの存在を知った。
    なんとWhoのステージ、(たぶん)全曲の模様が見られるのだ。
    Kampchea (14)
    *表を見る限りWho単独のDVDには見えない

    Kampchea (16)

    LPジャケット内側の簡単な解説によると、3時間のマラソンライブだったとあるが、曲間部分やアンコール前などをカットしたのだろう、2時間半ほどにまとめてある。
    音もLPのミキシングとは違って、全体的にオンマイクになっている。
    画質も良好だ。
    Peteのギターのチューニングがおかしい以外にもミスも何度もあるが、是非正規版を最高画質で発売してもらいたいものだ。昔から出ている解散ツアーのビデオ(1982年のトロントのLive)よりも見ごたえがある。



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    テーマ : 洋楽ロック
    ジャンル : 音楽

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    Concerts for the people of Kampuchea

    はじめまして、The Whoファンの一人として、とても暖かいレビューを読み、うれしくなりました。ケニーを迎えた新生The Whoとしてのツアーの締めくくりがこのイベントだったので非常にテンションの高いライヴでした。(ずいぶんといいかげんな部分も(ミスも?)多かったギグですが)Young Music Show、懐かしいです。See Me, Feel Me、そうですね、オーディエンスの盛り上がりとハマースミスの古風なインテリアが映し出されると、まるで映画「Tommy」の一場面(Pinball Wizardのシーン?)を観ているようで本当に感激したものです。動くThe Whoを観て衝撃を受けたロックファンは多かったのではないでしょうか。 好きが高じてTho Whoのトリビューとバンドを組んでいます。お近くにお越しの際は是非、足をお運びください。

    Re: Concerts for the people of Kampuchea

    むにさん、こんばんは。初めまして。
    コメントどうもありがとうございます。

    >ケニーを迎えた新生The Whoとしてのツアーの締めくくりがこのイベントだったので非常にテンションの高いライヴでした。

    そうでしたか。それは初めて知りました。
    この時のミスは曲の小説数を誰かが間違えてしまうパターンが多かったですが、それだけ我を忘れる状態だったんだろうなと思ってブートDVDを観ました。

    See Me, Feel Meのシーン、おっしゃる通り、映画Tommyのシーンを彷彿させますね。映画以上に盛り上がっていて凄かったです。

    >動くThe Whoを観て衝撃を受けたロックファンは多かったのではないでしょうか。 

    僕にはよくわかりませんが、少なくとも僕の友人達の中であれを見てWhoファンになったのは残念ながら僕だけでした。しかし、ネットでアルバム発売日やTV放送日を調べると、あのTVを観てファンになったと言う人がそれなりにいましたね。80年代の日本ではWhoはまだまだマイナーな存在でしたね。

    >好きが高じてThe Whoのトリビュートバンドを組んでいます。お近くにお越しの際は是非、足をお運びください。

    僕はかれこれ25年以上昔になりますが、初期のWhoを意識したオリジナル曲をバンドで演奏していました。でも、たいていJamっぽいと言われてました(苦笑)。
    プロフィール

    JD

    Author:JD
    自分の感覚としては(昔の?)ラジオDJのネット版のようなもののつもり。僕は1970年代のオーディオ全盛期の最後に属する世代で、ペアマイク持参で生録に挑戦した世代。国内盤LPが高価だったので輸入盤を買っていた、そういう中高生時代を過ごした。

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