Are you experienced その5/ Jimi Hendrix Experience

    3/19追記
    欧州ではMUSIC ON VINYLからEU盤としてMono盤が復刻したらしい。
    そこでのマスタリングが米国プレスと違うかどうかはわからないが。


    先日発売された『Are you experienced』の復刻mono盤の音について。

    jh1 (1)

    このアルバムを最初に取り上げた際に次のように記した。
    「復刻mono盤の音を聴いた限りでは、100%満足することはできなかった。」

    実のところ、これはかなり控えめな表現だった。これら2枚の再発Mono盤は僕には残念な音質だった。



    今回の復刻にあたり、音質には定評のあるBernie Grundman masteringにてマスタリングとカッティングがなされているのだが、一体どうしてしまったのだろう?と思わざるを得ない音になっている。

    以前、2ndアルバム『Axis; Bold as love』のMono盤がClassic records社より発売された時も同様にBernie Grundman masteringにてカッティングまで行われ、それは非常に素晴らしい音質だった。

    JH5 (21)
    *この時はTrack recordレーベルを再現。LPは180g(今回は200g)

    JH5 (23)
    *内袋の解説は今回のとほぼ同じ

    今回のMono盤復刻シリーズの中に『Axis; Bold as love』も含まれていたのだが、僕はClassic record盤を持っているので買っておらず。今回の再発がどういう音質になっているかわからない。


    ではまず、『Are you experienced』の復刻mono盤の全体的な音の傾向を記す。
    JH5.jpg

    今回の復刻版は中低域の密度が濃く、逆に高域がやや引っ込んだ音傾向になっている。
    それは、オリジナルの英国Mono盤とは全然違っている。真逆とも言える傾向の音だ。

    オリジナルMonoは、低域が刻まれておらず、中音域~高音域が平坦に刻まれており、さらにはドラムの音、特にスネアとシンバル類の抜けが非常に良い(と初回の記事で記した)。
    再発Monoは中低域の密度が向上し、ベースやバスドラ、タム類の音が目立ち、シンバル類の音の響きは今ひとつ。

    その理由だが、当然ながらマスタリング時に狙った音と言うのもあるだろう。

    LPを入れる内袋に記述があるが、今回の再発にあたっては(前回の『Axis; Bold as love』同様)、モノブロックヘッドを使用した特別なStuderのテープマシンが使われているとのこと。しかし今回はそれが裏目に出たのではなかろうか。と言うのも、残念なことに高域成分が不十分にしか再生されていない状態のままカッティングされている。いや、それどころかさらに、まるでStereoデッキで録音されていたテープをモノヘッドで再生してしまったために左右の音成分が干渉してしまって、音が引っ込んでしまった…ように聴こえる部分もある。

    おそらく、これはテープデッキのヘッドがオリジナルマスターテープを正確に捕らえられていないためだろう。ヘッドずれと言うか、干渉して聴こえる理由はそれだろう。
    少なくとも音が干渉してしまっていることは、A-4の終わりや、B-2の終わりで明らかだ。

    音を聴く限り、これはどうしてもマスターテープと再生デッキの相性によるものだとしか想像がつかない。つまり技術的な理由だと思われる。初回の記事で紹介した3枚のLPどれを聴いてもそのような干渉っぽい音の部分は無い。

    JH5 (1)
    *裏ジャケットにナンバー入り(下2桁塗りつぶした)

    英国仕様盤で具体的に見ていくと、A-1は高域がやや弱く、A-2はまし。A-3の終わりで音が干渉してしまった後、A-4、A-5は歌の帯域まで含めて音が干渉しているような音。高域はそれなりに出ているが、干渉感がひどい。まるで擬似ステレオ音源をモノにまとめ直したみたい…ちょっと言いすぎか。A-6も干渉している音だ。
    B面もB-2以降似たようなことになってしまう。こんな音は全く期待していなかったのだが……。

    JH5 (6)
    *A面のレーベル

    また、マスターテープそのものが傷んでいて、全体的に高域成分を失いかけている可能性も捨てきれない。ただし、それだけでは干渉っぽい音にはならないと思うが。

    とにかく、最終的にできあがったLPの音は残念としか言いようが無い。
    中低域の密度感向上だけでなく質感も悪くないので、高域がしっかりと再生され、干渉っぽい音にもなっていなければ随分と違った音になったと思われる。


    ちなみに米国仕様盤も英国仕様盤と同一曲については同じマスターテープが使われているようで、「Fire」の終わりかけ部分で音が干渉しとんでもない音になってしまう。
    JH5 (14)
    *米国仕様盤の外装袋には何故かシール貼付
    JH5 (16)
    *こちらの裏面もナンバー入り

    しかし、例えばB-1「The wind cries Mary」は問題ない。高域が引っ込んだような音になっていないし、干渉っぽくもない。後半部分はやや中低域が強すぎる印象もあるが。

    JH5 (19)
    *B面のレーベルを


    いろいろと苦言を呈したが、このような粗が見えないオーディオ装置で聴けば、それなりに楽しめるのかもしれない。僕のところでは駄目だった。少なくとも僕の買った2枚は。

    再生にはAT33MONOを使用。その後、試しにP-3Gでも再生したが印象は変わらなかった。






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    ジャンル : 音楽

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    はじめまして

    どうぷと申します。
    いつも楽しく、そして勉強させてもらいながら拝見いたしております。

    ワタシはUKファースト再発盤の低域が結構出てるのに感心していましたが、JDさんによるオリジナル盤の音質傾向記事をみて、聴いたことが無いワタシの頭はちょっとパニック(笑)。

    「Fire」の終わりでガクッと音の鮮度が落ちる所、かなりビックリしましたね。
    個人的には、薄暗い道を蛇行運転してるような、鮮度の無い濁ったサウンドの曲が多いなと感じました。

    同時に届いたアクシスは遥かに鮮度が高いサウンドで、低域はファーストほどではありませんがジミのヴォーカルが際立つ聴こえ方でした。

    以上、カートリッジShure(M44-7をモノラル接続)で聴いた感想でした。

    Re: はじめまして

    どうぷさん、こんばんは、初めまして。
    コメントどうもありがとうございます。

    > いつも楽しく、そして勉強させてもらいながら拝見いたしております。

    どうもありがとうございます。
    実は僕もPOPOSUKEさんのブログを通じて、どうぷさんのブログを時々拝見させていただいてました。
    新しい情報がどこよりも早く掲載されるので参考にさせていただいてました。

    > ワタシはUKファースト再発盤の低域が結構出てるのに感心していましたが、JDさんによるオリジナル盤の音質傾向記事をみて、聴いたことが無いワタシの頭はちょっとパニック(笑)。

    そうですよね、再発盤だけ聴いているとオリジナルMonoは全く想像できない音傾向だと思います(笑)。

    > 「Fire」の終わりでガクッと音の鮮度が落ちる所、かなりビックリしましたね。
    > 個人的には、薄暗い道を蛇行運転してるような、鮮度の無い濁ったサウンドの曲が多いなと感じました。

    本当にどうしてあんな音のままカッティングに踏み切ったのか?理解に苦しみます。
    やっぱりマスターテープの状態がどうしようも無かったのかも、とも推測してしまいます。

    > 同時に届いたアクシスは遥かに鮮度が高いサウンドで、低域はファーストほどではありませんがジミのヴォーカルが際立つ聴こえ方でした。

    そうでしたか。2ndはCR盤と遜色なさそうですね。
    試しにMusic on Vinyl盤で買ってみようかなとも思い始めました。

    ところで、どうぷさんのブログとリンクさせていただいてもよろしいでしょうか?

    ありがとうございます

    拙ブログ時々覗いていただいてたんですね!嬉しいやら恥ずかしいやら…。
    ワタシが、JDさんのブログから受ける影響の幾許かでもお返しできていれば良いんですが(笑)。

    リンクの件、こちらからも是非お願いいたします!
    これからも、どうぞ宜しく♪

    Re: ありがとうございます

    どうぷさん、こんばんは。
    お返事どうもありがとうございます。

    > 拙ブログ時々覗いていただいてたんですね!嬉しいやら恥ずかしいやら…。
    > ワタシが、JDさんのブログから受ける影響の幾許かでもお返しできていれば良いんですが(笑)。

    いえいえ、こちらこそどうぷさんのところで知って購入した盤もあります。

    > リンクの件、こちらからも是非お願いいたします!
    > これからも、どうぞ宜しく♪

    こちらこそ、よろしくお願いします。
    プロフィール

    JD

    Author:JD
    自分の感覚としては(昔の?)ラジオDJのネット版のようなもののつもり。僕は1970年代のオーディオ全盛期の最後に属する世代で、ペアマイク持参で生録に挑戦した世代。国内盤LPが高価だったので輸入盤を買っていた、そういう中高生時代を過ごした。

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