BeatlesのリマスターLPを聴いて思ったこと、ほぼ総括

    明後日から久しぶりに1週間以上の出張となった。
    そのため、BeatlesのリマスターLPについての印象を載せることが難しくなり、それに、実のところほとんど同じような印象しか浮かばないので、もういいかなと思えてきた。

    実はこのところずっとリマスターLPの『The Beatles』いわゆるホワイトアルバムを聴き続けていた。A面は十数回も聴いている。いや、20回以上聴いただろう。

    リマスターLPだけでなく、英国の初版、再発、MFSL盤、旧CDマスターLP、その他、米国を含む各国盤とも比較している。
    00white1st (2)
    *英国初版 レーベルはEMI recordingありタイプ

    なお、写真は全て同じように左にジャケット、右に盤とした。
    この中でtop openでないのは、米国初版、米国再発、ドイツ再発、英国再発、MFSL。


    実はリマスターLPのホワイトアルバムも僕には困惑盤だった。
    初めて聴いたときは、駄目な部類だと思ったが、音量を変えたり、聴く時間帯を変えたりすると、それほど悪くないどころか良いと思えたり……一体どうなっているのだろう?

    これまで紹介した他のアルバム同様に、やはり、基本的には低歪、高解像度、それぞれの楽器の輪郭や定位もはっきりし、音の質感も向上しているように思う。
    そして、例のごとく、高域の特定帯域部分が弱めに減衰している曲もあれば、強く減衰し明らかに本来の空気感が損なわれていると思われるものもある。

    しかし、その反面、今度は英国オリジナル盤(特に初版)が全体的に歪っぽく感じられたり、音が雑に聴こえたりして、明かにリマスターLPの反作用と言うか、こちらがリマスターLPを聴けば聴くほどに影響されてしまっている気もする。

    しかし、これを繰り返しているが故にわかったこともある。
    箇条書きで記す。これらはあくまでホワイトアルバムのA面B面を聴いてのもの。


    米国オリジナル盤は声が硬く、まるでダビングした音みたいだと気づいた。特にアコースティック系はあまりよろしくない。
    00white1st (11)

    米国盤スタンパーを使っていると思われる豪州オリジナル盤は、米国盤よりは明らかに1世代ほど音が若く聴こえることに気づいた。音の質感は英国盤に近い。
    00white1st (7)

    昔は今ひとつと思えた仏オリジナル盤だが、カッティングレベルが低いものの、音量を上げると質感は予想以上に高く低域もかなり下まで出ている。けれども、なんとなくマスターテープが若いようには思えない。声が少し引っ込んでいるだけでなく、全体の解像度が英国盤よりも劣る気がした。
    00white1st (26)

    和蘭オリジナル盤(珍しく独自カッティング)は低域が少し細く、高域が少し強い。
    00white1st (19)

    独盤は僕が絶賛していた2ndプレスでなく3rdプレスで聴いたが、さすがに音が飛び出すようなステレオ感は非常に良いものの、若干音が雑に聴こえた。こういう風に感じるのはリマスターLPの影響だと思う。
    リマスターLPの方が品位の高い音だ。
    *最初はP-3Gで聴き、その後DL-103Rで再生すると歪感は感じられなかった。
    00white1st (4)

    そして、基準となる英国オリジナルだが、少し低域が太すぎるのではなかろうか(リマスターLPよりも太いと思う)。これを基準とするなら、きついかも。
    そして、カッティングレベルも高すぎる。音の飽和が強く、ほとんど歪みかけになるような曲が多い(これは、独逸盤の3rdプレスも同様)。
    00white1st.jpg
    *英国初版 レーベルはEMI recordingなしタイプ

    英国再発盤も同じような太い低域をしていて、やはりマスターはこういう音だったのか?と思ってしまう。しかし、盤質が良いからと思うが、(音の飽和は別にして)歪感は少ない。
    00white1st (28)
    *これは70年代終わり頃のプレスと推測


    MFSL盤はものすごくカッティングレベルが低いが音はすごい。やや高域を強めてあるように思うが、低域から高域までものすごい情報量だ。「Blackbird」の終わりで右チャンネルで鳴るアコギを置く(叩く?)ような音の立体感はこのLPのみで聴けた。リマスターLPでは残念ながら例の逆効果で空気感・空間情報が損なわれているように思えた。
    しかし、解像度という点ではリマスターLPのほうがマスターに近い音の面影を感じられる気がする。そして、より中域の密度が濃い。
    MFSL盤はどうしても80年代初頭の音作りを少し反映しているため、ドンシャリ傾向(中域が薄い)がある。
    00white1st (9)

    旧CDマスター(米国最終プレス)はアナログマスターをデジタル化しただけで、帯域操作を行っていない美しい音で聴ける。リマスターLPと違って中音域は薄い。
    *リマスターLPでは、中低域が補正され(これは、恐らく09 remaster CD製作時点でデジタルマスターそのものに施されたと推測している)、高域は今更言うまでもなく逆補正!されている。
    しかし、それでもリマスターLPの方が、解像度の高いハイレゾ的な音をしているし、1世代は音が若返っているように思う。
    00white1st (21)


    このように書くと、リマスターLPのおかしなEQ操作は本当にやめて欲しかったとつくづく思う。

    その他、今回見つからなかった他の国のLPもあるが、たぶん似たような話になるだろう。

    それで、リマスターLPのA面だけについて言えば、最初の3曲はほとんど問題ないと思えている。ただし、微妙にEQ操作はうかがえる(特に声)。

    しかし、その後A-4からピアノやギターの響きが少し気になるレベルで鈍くなる。
    あくまで従来のLPとの比較になるが。

    さらには、A-6でメロトロンで出したスパニッシュギターの音はノイズリダクションがかかったような音になっている。この曲は、以前からA面の中で最も音質が良くないと思える曲で、歌声は高域のない音だが、リマスターLPではそこを他の楽器の高域でうまく補完しているようにも思える。しかし、小音量で聴くとあまり効果は無い。最後の「all the children sing」の歌声は完全に曇った音になっている。

    さらに続く2曲はアコギ、エレキギター、声に響きがなく、音の広がりも確実に後退し、オリジナルを知っていればがっかりするだろう。知らなければ、マイナス面だけでなくプラス面もあるので聞けるだろう。

    このような結果なのだが、このレコードを夜中に近所迷惑にならない音量で聴くと、これまで書いたような落胆をそれほど感じない。一体何故なのだろう?周りが静まりかえっているからか、あるいは、自分の聴覚が疲労してしまっているからだろうか?

    ただし、深夜でも聞き比べをすると違いはわかり、やはり最後の2曲は比較したら良くないとわかる。単体だけ聴く限りにおいてはさほど気にならない。

    このように、良い面と悪い面が混在しており、非常に困惑する音になっている。


    いずれにせよ、今回のLPは、ハイレゾそのままを盤に刻んでいれば、アナログ盤として避けられない歪が多少あっても最高音質のレコードになっていたと思われる。
    それが、このような困惑盤になっているのは、おかしな補正を施したからだ。


    こういう文句をEMIに(Appleに?)届けないと、Mono BoxのLPまで同様になってしまわないか?と怖くて仕方がない。
    苦情を伝えるうまい方法は無いものだろうか?

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    自分の感覚としては(昔の?)ラジオDJのネット版のようなもののつもり。僕は1970年代のオーディオ全盛期の最後に属する世代で、ペアマイク持参で生録に挑戦した世代。国内盤LPが高価だったので輸入盤を買っていた、そういう中高生時代を過ごした。

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