Beatles Stereo LPボックス 音質評価 Past Masters その1

    今回は『Past Masters』のSide1のみと言うことで。
    00past1 (2)

    まずあらためて『Past Masters』のSide1盤面を見ると、片面に9曲カッティングしてあり余裕がないことがわかる。

    先日の記事でもう1曲増やしてSide3から曲を減らした方が良いと記したが、やはり3枚組にしたほうが良いと思った。最高音質のLPを製造しようと言うのであれば、それぐらいしても良いと思うのだが。

    09 remasterになって、以前の『Past Masters』と収録曲は同じだが、ステレオミックスを中心に改められたので、今回のリマスターLPとの音質比較は結構ややこしい。

    比較対照は、旧『Past Masters』(英国盤2ndプレス=旧盤)以外にいろいろと持ち出して比較した。
    リマスターCDとの比較はしていない。

    使用したカートリッジはDL-103Rにした。これで聴いても、例のEQ操作でおかしくなっていればわかる。


    まずリマスター盤を一通り聴いた印象だが、やはり解像度は全体的に向上している。そして中低域の密度が濃くなり、質感も高い音と言う印象だ。
    しかし、曲によってはEQ操作で音がおかしくなっているものがある。

    では、順番に。

    A-1リマスター盤が解像度も回転ムラにおいても米国盤『Rarities』(盤起こし同士での比較)より優れる。
    また、旧盤よりも音の品位は随分向上した。

    00past1 (9)

    けれども、中域の密度感はデジタルのイコライジング処理で持ち上げたような音にも聴こえる。本当のところはどうなのかわからないが。

    A-2は英国赤盤(マト1)と『Beatles box』のDMMカッティングの疑い?のあるフランス盤でも比較。

    00past1 (14)

    この曲はマイクへの息の吹きかけによる低域ノイズが非常に多い。
    赤盤、『Beatles box』ともに非常に高音質だと思っていたにもかかわらず、リマスター盤の音質はさらに1世代ほど音質が若返ったように聴こえる。
    ただし、左右のバランスは演奏側の音量が大きくなるように調整されているせいか、あるいはボーカルに若干のEQ操作があるのか、歌は赤盤ほどには前に飛び出してこない。全体をこぎれいにまとめた印象。息の吹きかけノイズも削除されている。

    A-3はA2と同様。

    A-4 旧盤よりも品位の高い音質になったものの、マスターテープの劣化が激しいのか、部分的な高域の音の乱れは旧盤よりも目立つ。
    擬似ステレオを採用した赤盤よりも聞きづらい。

    A-5 旧盤との比較で、音の質は1段上がったものの、高域にEQ操作を感じて聴きづらい。

    A-6 音だけに限れば、これまでの全てのステレオ盤の中で一番高音質ではないかと思える。中低域の密度感もきれいに補正されている。赤盤は1世代ほど劣化しているように聴こえ、歌も微妙に歪んで聴こえる。しかし、左右のセパレーションはより広く、中域の密度感やそれぞれの音の分離具合は素晴らしい。リマスター盤ばかり聴いていると、こちらが高域を持ち上げたEQ操作をしているようにも聴こえる。旧盤は音が薄い。
    この曲に関しては、高音質よりも微妙なざらつき感のある赤盤の方が好みだ。

    00past1 (10)

    A-7 旧盤に対して音質的には少し良くなった気がするが、歌の帯域にEQ操作を感じる。低域は旧盤以上に出ている。

    A-8 比較なし。
    それにしても、左チャンネルの演奏のみは、本来ステレオのテープをモノにまとめたせいで音が干渉して打ち消しあっているのでひどい有様だ(特に高域)。以前からもひどかったが、改善なし。

    A-9 米国盤『Rarities』の方がコピーテープっぽい音質ながら、全体的なバランスは良い。

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    話は変わるが、米国盤『Rarities』収録のPPMからの2曲は自然な音質で好感が持てた。「There's place」にはしっかりと例の低周波ノイズも記録されている。


    駆け足で大きな印象の違いを捉えて記すとこのようになった。

    全体的に音質がよりマスターテープに近づいたのではないか?と思えるものの、これら古い録音の楽曲の場合、音数が少ないせいか、ほんの少しのEQ操作でも音のバランスが崩れて聴こえるし、歪っぽさを消すほどに初期Beatlesのエネルギッシュな演奏から熱気が消えていくような気もしてしまう。
    それこそ、何もしないフラットトランスファーにしておけばよかったのでは?と思ってしまう。

    ところで、『Past Masters』のように、別々の年代の録音をひとまとめにした編集盤のマスタリングは結構手間だと聞いたことがある。
    年代ごとに音の流行があったので、そのままつなぐと、古臭い音の曲も混じってしまうため、編集盤リリース時期の音の傾向に味付けして出さねばならないからだそうだ。
    それに音のレベルをそれぞれで調整しなければいけないが、そうすると、ボーカルの音量にバラツキが出たりと、エンジニア泣かせと言うか、簡単にテープをつないで終わりとはいかなかったようだ。

    デジタルミキシング・マスタリングが主流の現在でも、それなりに手間のかかる作業のように思える。

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    自分の感覚としては(昔の?)ラジオDJのネット版のようなもののつもり。僕は1970年代のオーディオ全盛期の最後に属する世代で、ペアマイク持参で生録に挑戦した世代。国内盤LPが高価だったので輸入盤を買っていた、そういう中高生時代を過ごした。

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