Beatles Stereo LPボックス 音質評価 その4 『Beatles for sale』

    昨日、一昨日と2日に渡り、『Beatles for sale』を聴き比べしていた。
    と言うのも、PPM、WTB、AHDはどれも英国オリジナル盤と比較して音が変わった度合いが強いように感じられたからだ。

    具体的には、それら3タイトルでは、左右のセパレーションが狭められ、先の2タイトルでは右チャンネル(ボーカル)側の音量が相対的に下げられバランスが変わった。
    これらは、より現代的なミキシングを考慮して09 remaster CDから採用されている。
    *これらによって良くなったとか悪くなったとか言っているのでなく、ただそのような違いがある。

    けれども『Beatles for sale』は、A面冒頭数曲、B面冒頭数曲を聴く限り、英国オリジナル盤との相違がほとんどないと思え、さらに、これまで音質評価で記してきた「逆効果」も影響の少ないタイトルではないかと思えた。

    つまり、音質的にも満足が行く部類の1枚かなと思えた。


    聴き比べたのは、英国盤はY/P、S/Pの2マークgramoリム、S/Pの2マークEMIリム、MFSL盤、そして1973年?のフレンチプレス。

    前回の記事で記したように、カートリッジをP-3Gにすると、Y/Pではスクラッチノイズが増え、盤質が1ランク下がって聴こえる。しかし、S/Pの盤では問題がなかった。

    『Beatles for sale』をリマスターLPで聴くと、A面にせよB面にせよ、冒頭から声が抜け切らない、ほんの少し曇った音に聴こえたので、これは例の逆効果かと勘違いしたが、英国オリジナルY/Pも再発のS/PもMFSLも皆同じだった。もう少し抜け切ってはっきりした印象を持っていたが、記憶をすり違えていたようだ。

    記憶での印象は、良し悪しに関わらず、現物を聴いてくつがえされることがそれなりにあるので要注意だと思えた。

    さて、英国盤のS/Pだが、初版と同じマトリクス1/1の盤を聴く限り、Y/P盤と音質的には大差ないと思われる。さらに、マトの進んだ後期のS/Pでも中音域は薄めになるが、音質劣化を感じることはない。

    夜間だったので、それほど大きな音量では聴けず、中音量?(聞きながら話をするにはうるさく邪魔だけど、聴くだけだと少し物足りない音量)で聴いた。

    S/P盤は十分に良い音をしており、これよりも音質が良くなることはあるのか?と疑問に思いながら注意深くリマスター盤を聴くと、両面の冒頭数曲では確かにリマスター盤のほうが1世代~0.5世代マスターテープに近い音質ではないか?と思える。
    さらには、補正された中低域の改善により、リマスター盤では密度の濃い、良質な音が聴ける。

    MFSL盤も聴いたが、MFSL盤はリマスター盤ほどの中低域の補正がなされておらず、全体的な音のバランスでは英国S/P盤に近い傾向で、こちらも1世代~0.5世代マスターテープに近い音質ではないかと思える。
    *11/23追記:MFSL盤では、高域と低域に補正(イコライジング)が行われていると思われるが、リマスター盤ほどではない。

    つまり、リマスター盤とMFSL盤とでは、音質的に大きな違いは無い。違いは音作りの点にあり、今の耳で聴くと、リマスター盤の密度感のある中低域のほうが僕は好みだ。

    けれども、リマスター盤の例の「逆効果」は、冒頭の曲ではあまり気にならないが、ラストの曲になるとやはり気になるレベルになっている。もしかすると、曲ごとに「効果」を加えただけでなく、盤の内周側の曲ほど強めに行っているのでなかろうか?と言う疑問さえ湧いた。これまで「逆効果」が特に気になった曲が、だいたい片側のラストの曲だったからだ。

    『Beatles for sale』でも、A-7、B-6、B-7は逆効果がこのアルバムの中では強めに現れている気がする。それらの曲に関しては、MFSL盤のほうが圧倒的に良い(特にA-7は)。

    リマスター盤は両面冒頭の数曲はハイレゾ感の味わえる音だと思えるが、だからと言って、逆効果も微妙に感じられる。特に、セミアコボディのエレキギターの響きが鈍くなっている。

    これを聴いていると、やはり、音歪補正のEQが悪さをしていると考えるのが妥当ではないかと思える。盤の内周側の曲ほど音に歪が生じるので、それを打ち消すために徐々にEQ補正量(割合)を強くしているのではなかろうか。

    けれども、何度も言うが、それによって失われたものは大きい。
    おかげでこのところ、例のUSBメモリ音源に興味が湧いてきた。でも、買う気は起こらないと言うのが正直なところ。

    当面は今回のリマスターLPで我慢しようと思う。


    最後に余談だが、デジタル化の際に低域のノイズはカットされてしまっており、例えば、以前PPMを取り上げた際に紹介した「There’s a place」での左チャンネルに生じる低周波は全く聴こえない。

    『Beatles for sale』では、A-2や特にB-2で、マイクへの息の吹きかけによる瞬間的なノイズ発生(たぶん周波数帯域は低域寄り)があったが、リマスターLPでは全くカットされている。
    ああいうノイズ成分も実は音の気配としては生々しさにつながっており、完全に除去してしまうと、それはそれで物足りなく感じられる。

    Jazzの録音でトランペッターの吹きがマイクに混入し聴こえるほうがより生々しく聴こえるのと同様だと思う。


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    自分の感覚としては(昔の?)ラジオDJのネット版のようなもののつもり。僕は1970年代のオーディオ全盛期の最後に属する世代で、ペアマイク持参で生録に挑戦した世代。国内盤LPが高価だったので輸入盤を買っていた、そういう中高生時代を過ごした。

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