Beatles Stereo LPボックス 音質評価 その3

    今回の前半はカートリッジと盤の相性の話、後半は英国オリジナル盤との比較の話。

    先月手に入れた「Love me do」復刻シングルの再生で、当初は少しノイズが気になり、盤質が良くないのか?と考えたものの、その後、カートリッジを替えるとノイズは全く無くなった。

    その理由をネットで調べていたら、あるHPで針の形状やサイズは、再生する盤の音溝に合っていないと本来の音は再生されないと言う趣旨の記述があり納得した。

    DL-103Rの針サイズとP-3Gの針サイズはかなり違っている。


    それからいろいろと試してみたが、予想した通り、近年のカッティングのステレオ盤だとP-3Gで大丈夫だが、60年代のステレオ盤の多くと、近年も含めたモノラルカッティングの盤はP-3Gだとしっかりとトレースできていないとわかった。逆にスクラッチノイズを発生してしまうのだ。
    そのような盤を再生する場合、DL-103Rの方が確実に向いていることが再生音からわかる。

    しかし、DL-103Rの再生音質のグレードはP-3Gより2ランクほど下がってしまう。
    そのため、現在発売されているカートリッジで、P-3Gレベルの音質グレードでありながら針先サイズがDL-103Rぐらいのものを来年には手に入れたいと思うようになった。

    まずは、調査からだが、あまりに早くわかってもお金を貯めるまでは手を出せないので、メドがついてから調査開始にしようかと考えている。



    ところで、今回のBeatlesのリマスターLPだが、P-3Gで再生してもOKだ。
    ところが、オリジナルの英国盤LP(Y/PやAppleの初版)の場合、P-3Gでは逆にスクラッチノイズを発生させる可能性もあり、盤質が1ランク下がったような音になるため比較試聴がしづらい。

    今日、英国オリジナルのSGTとARをリマスターLPと比較して聴いたが、オリジナルが力を発揮するのはDL-103Rなので、リマスターLPも103Rで聴いた。
    その場合、小音量で比較するとオリジナルが圧倒的に優位になる。

    なぜなら、「その2」で記したリマスターLPに施された逆効果により、本来何よりも先に耳が行ってしまうはずの声やギターの音に艶がなく、さらにマスキングされ小音量では聴こえにくいため、鮮度の低い音、おとなしい音としか映らないからだ。

    例えば、SGTのタイトル曲、冒頭のドラムの後すぐに飛び出す歪ませたエレキギターの音がオリジナル盤では小音量でもつんざくように聴こえるのに対し、リマスターLPでは、相対的に小さく聴こえ、逆に他の楽器の音がより大きく聴こえる。しかも、全体的に音がきれいなので迫力がない。

    ARでもB面1曲めのアコギの響きやGeorgeのボーカルに艶がなく、オリジナルとは鮮度が違うような気がしてしまう。

    これだけ聴けば、オリジナル盤の圧勝だ。

    けれども、大きな音量でP-3Gで聴けば、それが逆転する。
    カートリッジを換えたことにより再生音質のグレードが上がり、刻まれた音がよりはっきりと見えてくる。
    オリジナル盤を聴くと(多少なりともスクラッチノイズは増えるが)、刻まれた音の分離や声やドラムの音の質感から、リマスターLPと1世代は差があると思われる音質だとわかる。

    この場合、リマスターLPの方が質が高く、よりマスターテープに近い若い音をしている。解像度も高い。オーディオ装置のグレードを1ランク上げたような音だ。

    にもかかわらず、何度も述べている「逆効果」のせいで、音が前面に飛び出して来ない。

    SGTのA面ラスト(A-7)を聴くと、オリジナルではJohn の声が確かに歪っぽい音(あるいは若干歪んだ音)をしているものの、声やオルガンなどの音は艶があり生き生きとし目立っている。一方、リマスターLPではそのあたりがマスキングされていて、他の音の中に埋もれているとまでは言わないが、自己主張できていない。
    この曲の一番魅力的な部分が全体を通して台無しになっていることがわかる。

    と言うことは、今回のLPの最大の売り文句であった“声(歌)のsやtが歪みっぽくならないように特別にEQを付加した”という調整こそが、「その2」で書いた高域へのノイズリダクションあるいはフイルター処理そのものではなかろうか?と言う気がしてくる。

    なんでそんな無駄なことをしたんだろう?せめて、もっと弱く行っていれば、こんな違和感ありありの音にはならなかったのだが。

    それと、前回の記事では反対の推測をしてしまったようだが、きっとかなりの大音量で声の歪具合のチェックを行ったと思われる。
    その場合、注意が声や声に近い帯域の歪具合にしか向いておらず、大音量であれば確実に判断できる。
    最も歪の無い設定を選んだのだろう。それと引き換えに音が眠くなっている。

    この作業は、例えるなら、映像のノイズチェックだけ行い、色味や解像度、コントラストは無視したかのような、そんな作業のように思える。しかし、同時に全体を俯瞰的に確認する必要もあったのだが……。

    リマスターLPが鮮度の低い音という印象を与えるのは、このEQ調整が原因だと言える。EQ調整の対象部分以外はそんなことはないのだが、一番大事な帯域の音をいじったため、全体的にそう聴こえてしまう。


    あるいは、タイトルによっては、オリジナル盤とのカッティングレベルの違いもあり、それぞれが同一の音量になるようにして比較しなければ、音の大きいほうがより良く聴こえてしまう。

    EQ調整さえなければ、もっとリマスターLP支持者が増えていたことだろう。




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    自分の感覚としては(昔の?)ラジオDJのネット版のようなもののつもり。僕は1970年代のオーディオ全盛期の最後に属する世代で、ペアマイク持参で生録に挑戦した世代。国内盤LPが高価だったので輸入盤を買っていた、そういう中高生時代を過ごした。

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