Another side of Bob Dylan その1/ Bob Dylan

    *8/30追記:読み返すと長かったので、2つの記事に分けることとした。
     今回(前半)はアルバムとDylanの立ち居地についての僕の考え。後半はMFSL社のLPの紹介など。


    Bob Dylanの初期作品群の中でも、この『Another side of Bob Dylan』は、異質と言うか、一風変わった作品のように僕は受けとめているのだが、他の人はどう思っているのだろう。

    asbd (2)
    *先日のCDボックスから


    この作品のひとつ前の『The times they are a-changin’』までで、Dylanは米国を代表するfolk music界の若手スターとして確固たる地位を築いたと思うし、それらの諸作では社会を見つめる視点と歌に取り組む姿勢が、まさにとても真摯なものと僕には映っていた。

    けれども、この『Another side of Bob Dylan』は、まるでデモ録音のような手を抜いたような(あるいは、お遊びっぽい演奏の)曲もそのまま収録され「何ていい加減な作りのアルバムなのだろう!?」と、初めて聴いたときびっくりしてしまったことを思い出す。

    しかしその後、Dylanがこれまで彼を支持していた大衆と決別してまでも自らの路線を進みたかった理由を僕なりに理解(あるいは解釈)し、その新たな第一歩を捉えた地点にこのアルバムがあることは疑いようのないことだとわかってからは、あのおふざけのようなアレンジも必要なことだったのだろうと理解した。

    このアルバムからDylanは、(最初は彼自らも望んだと思われるが)大衆が与えたfolk music界の若手スターと言うレッテルあるいは「Bob Dylan像」を脱ぎ捨て、自分自身を表現し始めた。

    等身大の自分を表現するには、それまでのDylan像を壊すような演出も必要だったのだろう。次作『Bringing it all back home』はリラックスしたセッションだったことは伺えるが、このアルバムにあるような、おどけっぽい感じは無い。(いや、それさえ自分のものにしてしまったのかもしれない。)

    そして、その後Dylanが進むrock(あるいは最初はfolk rock)路線は、彼自身が選んだ新しいレッテルなのか、あるいは等身大のDylanが自分自身を表現したらただそういう音楽になったのか、どちらだろうか?と問うと、その両方なのだろうなと言うのが僕の見解。

    1964年以降、folk musicからrock musicに舵を切るのは、Dylanには不可欠な展開だったように思える。そこにBeatlesあるいはBritish invasionの影響を見ないわけにはいかないし、DylanがBeatlesのメンバーと同様にElvisや50年代のrock’n rollerのファンだったことも関係しているに違いないと思う。

    Dylanの回収されたデビューシングルが、まるでSun records時代のElvisを思わせるようなアレンジの「mixed-up confusion」だったことからも明らかだろうと思う。

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    自分の感覚としては(昔の?)ラジオDJのネット版のようなもののつもり。僕は1970年代のオーディオ全盛期の最後に属する世代で、ペアマイク持参で生録に挑戦した世代。国内盤LPが高価だったので輸入盤を買っていた、そういう中高生時代を過ごした。

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