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    Who「Quadrophenia: The Director's Cut 」について

    Whoのマニアなら誰もが知っているが、Pete は60年代から自宅に録音機材を集め、バンド用あるいは個人の趣味として自作の楽曲をデモ録音し、それをメンバーやマネージャーに聞かせていた。そして、そのようなデモをWhoとして演奏したものがWhoのレコードとなった。

    60年代の終わりには、Peteのデモはギター、ベースと歌だけでなく、ピアノやドラムも自ら演奏し、ほとんどスタジオ録音と変わらないような完成度の高いものとなって行った。Bootで世に出た「Tommy Demo」(アルバムTommy用のデモ)を聴いた時にはあまりの素晴らしさに言葉を失った。
    当時Peteは23~24歳ぐらい。ものすごい才能だと思った。

    quad1.jpg
    さて、本作「Quadrophenia: The Director's Cut 」は、Peteが当時用意したデモ音源25曲と、Pete自身が振り返る当時の状況や構想、Recording dataなどから、このアルバムの青写真を俯瞰する(あるいは俯瞰できる)内容であり、目的だったのだと言うことを、今日Peteのデモを聴き、Bookの対訳を読みながら理解した。

    そういう意味では、本Boxセットは“Whoの”でなくPete Townshendの「Quadrophenia」DX edtionと受け止めるべき作品だと思った。
    *と言うか「The Director's Cut」だったな。

    予約時点では全くそういうものだとは思わず、ただただ未発表音源や未収録音源などを追加して箱にまとめたものなのだろうと思っていたので、手元に届き収録音源を見たときにWhoとしての目新しさには全く欠けるなぁと思った。
    そうは言っても、DVD-Aの8曲については非常に満足したのだが。

    そのPete Townshendの「Quadrophenia」だが、デモ音源を聴くと、Peteの構想は当時既にWhoとしての表現範囲を越えるほどの楽曲群が用意され、当時世に出た「四重人格」はその中の一部分でしかなかったのかもしれないと思えるほどだ。と言うか、実際にそうだったと思った。

    その後、1979年に映画化されたが(当時珍しく日本のTVでもよく取上げられていた)、その映画についての僕の印象がまさにそれだった。
    一部の音楽評論家が言うようなB級映画であるとは僕は決して思っていないけれども、映画は2枚組LPで表現された広大なストーリーからのほんの一部の切り抜きでしかないんだなと思えた。
    それぐらい、オリジナルアルバムは奥が深い内容だと思っていた。

    ところが、そのアルバムでさえPeteの構想の一部でしかなかった(あるいはい一部しか作品として世に出せなかった)と言うことを今回知らされた。
    そういう感想だ。

    quad8.jpg
    デモを聴いて驚いたのは、LPではA面3曲目のアルバムタイトルがついたインストナンバーだが、ドラムも含めてPeteのデモの大部分がそのままWhoのレコードになっている。そして、これは一例だ。

    Who’s next収録曲もシンセのトラックはPeteのデモがそのまま流用されていたのだが、本アルバムではその流用範囲が広く、見方を変えれば、Peteのソロ作品にWhoのメンバーが参加したと言えなくもない。

    ただし、PeteはこれをWhoの作品として仕上げる上で、当初から自分の録音したデモをベースにすることを決めていたようなので、実際のところはやはりThe Whoの作品として考えていたに違いない。その代わりに、Whoとして発表するには違和感を覚える楽曲は切り捨てられ、それによってThe Who versionとしての「Quadrophenia」ができあがったわけだ。

    このセットを聴きながら、読みながら、見ながら、そういうことに考えをめぐらし、実感し、驚きを覚えた。
    これが「Quadrophenia: The Director's Cut 」についての本日時点での感想だ。


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    テーマ : 洋楽ロック
    ジャンル : 音楽

    コメント

    Secret

    No title

    はじめまして。
    先日、アマゾンでこのCDが2割引になっていたので、あわてて購入しました。
    私は、DVDAが目当てで買ったので、8曲しか収録されていないことにマイナス思考になっていました。しかし、JDさんのコメントを見て、自分は欲張りすぎだったかなと反省しています。

    Re: No title

    pon太さん、こんばんは。
    はじめまして。コメントどうもありがとうございます。

    このBoXのDVD-Aが8曲しか入っていないことに対しては英米でも不満を持つ人が多いようです。
    僕も買って初めて知り、ちょっと肩透かしをくらった感じでした。

    Peteの意図としては、過去の制作ノート・記録、そして自身のデモを通じてこのアルバム完成までの流れやプロジェクトの全体像を示すことに主眼があるのかなと思えました。
    5.1音源については、おまけ扱いですよね。
    プロフィール

    JD

    Author:JD
    自分の感覚としては(昔の?)ラジオDJのネット版のようなもののつもり。今日本では7インチ「シングル」盤のことを誤って「EP」と表示するような有様となり、言葉の不理解と誤用の蔓延に落胆している。「EP」は「シングル(=片面1曲、両面で2曲収録)」よりも曲数を多く収録する(標準は4曲、3曲や5曲や6曲の場合もあり)意味のExtended Playingの略。どうかシングル盤とEPとを正しく使い分けて欲しい。

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