手間隙かける

    僕が普段読んでいる音楽関連のブログでは、被災者を励ます、あるいは日本を元気づけたいとの思いから、素敵な曲を紹介されている記事が最近増えている。

    それに対し僕自身は、地震発生以降一度もオーディオ装置に電源を入れておらず、音楽も聴いていない。残念ながら、精神的にも環境的にもまだ聴ける状況にない。

    しかし、明日(既に本日だが)は計画停電も実行されないとのことから、久しぶりにオーディオ機器に電源を入れてみたい。
    その前に、ケーブル類が確実に接続されているかどうかを確認してからだ。

    書いていてちょうど思い出した。
    東京に越して来てから最初に遭遇した大きな地震の際に、木製の棚が壊れたことがあった。
    その棚にはLPレコードを収納し、その近くにパワーアンプを置いていたのだが、何と地震の最初の縦揺れでLPレコードが飛び上がり、そのまま落下した衝撃で木製のラックに亀裂が入り一部折れてパワーアンプのスピーカーケーブル接続部分に接触し、Yラグで接続していたケーブルの向きが変わって+線と-線が交差してしまったという事故があった。
    パワーアンプはショートして音が出なくなり、その修理に予定外の出費がかかった。

    今回はそんなことが無いように、全てチェックしてから……と思ったが、よくよく考えると地震で倒れてしまったスピーカーをとりあえず立てかけたものの、設置位置が変わってしまっているので、その調整からスタートしなければいけない。

    しかし、そうやって手間隙かけたことによって得られるものが、実は一番貴重だったりする。
    前回記したレコードの話も、ある意味似たところがある。

    僕はCDよりもレコードを聴く方がはるかに多かったのだが、ここ1年半くらいはCDをかける方が多くなった。
    それはどういうことかと言うと、音楽をじっくり聴く回数が減り、ただBGM的に流すことのほうが多くなったのだ。
    しかし、BGM的に流した音楽には残念ながら感動が少なかった。いつの間にかCDが終わっていて、無音になったことにさえ気づいていないことが多かった。いや、多かったというよりもたいていそうだった。

    CDにせよSACDにせよデジタルディスクの場合、再生後はほったらかしにしておいても大丈夫だからなのか、僕にとってはレコードよりも音楽の存在感が希薄のようだ。その理由を(これを書きながら)考えてみた。

    レコードは、再生していることをプレーヤーが見た目にも音にも主張する。
    CIMG1025.jpg
    そして(僕の使っているプレーヤーだと)演奏が終わっても、アームがリフトアップせず延々と内周部分を再生し続けるため、ちゃんと止めなければならず、意識の一部は必ずレコードプレーヤーにも注がれている。別の言葉で言えば、意識のどこかで常にプレーヤー(が再生状態にあること)を気にかけている。

    となると、再生される音楽そのものでなく、再生装置の違いからくる意識の違いであるわけだ。おかげで、レコードを聴くときは聴こうと言う体勢になるが、デジタルディスクの場合には、聴くことが主目的となっていないことのほうが多い……僕の場合。

    デジタルディスクでは、不要なスクラッチノイズやグルーブ音、歪みなどから解放されたピュアな音でお気軽に聴けるにもかかわらず、手間隙かける必要があるレコードのほうをしっかりと聴いてしまうと言うこの矛盾。自分が少数派なのか多数はなのかはわからないが、どうもそういうことなのだと気が付いた。

    それにしても、レコードとレコードプレーヤーは、人が音楽を聴く上でものすごくうまい作りがなされた装置だったんだなとつくづく思った。CDプレーヤーにも同様に手間隙かける(かけさせる?)仕組みがあったならばもっと良かったのだが。
    そう思うのは僕だけなのかもしれないが。

    CIMG0982.jpg
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    テーマ : 音楽的ひとりごと
    ジャンル : 音楽

    コメント

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    はじめまして♪

    いやぁ、まったくですよね♪
    本来は面倒なこと、不便なこと等に手間隙かけること含めての趣味だと思うんですけど、CDはその逆ですから、だから…未だに愛着わかないソフトなんです、うふふ♪

    地震、大変でしたね、また来ます♪

    Re: はじめまして♪

    へどろんさん、こんばんは。
    はじめまして。
    コメントどうもありがとうございます。

    へどろんさんのブログはPOPOSUKEさんのところで知って以来、ちょこちょこ見させていただいてました。
    へどろんさんは、大のアナログ派ですよね。

    > 本来は面倒なこと、不便なこと等に手間隙かけること含めての趣味だと思うんですけど、CDはその逆ですから、だから…未だに愛着わかないソフトなんです、うふふ♪

    確かに趣味である以上、時間をかけるのは当然ですよね。
    CDは逆に時間をかけることがないし、手にとってみたところでレコードのような存在感もありません。
    初期のCDはもう25年ほど経過しているわけですが、1965年のレコードを25年後の1990年に手に取った時に感じた格別な存在感と言うのを同様に感じたことはありません。
    だからCD世代の人はパッケージなんてどうでもよくなり、ダウンロード購入も平気なのでしょうね。
    僕は全くなじめません(苦笑)。

    > 地震、大変でしたね、また来ます♪

    ご心配ありがとうございました。
    また是非いらしてください。
    よろしくお願いします。
    プロフィール

    JD

    Author:JD
    自分の感覚としては(昔の?)ラジオDJのネット版のようなもののつもり。僕は1970年代のオーディオ全盛期の最後に属する世代で、ペアマイク持参で生録に挑戦した世代。国内盤LPが高価だったので輸入盤を買っていた、そういう中高生時代を過ごした。

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