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    Abbey Road 2019 remix 3LP box

    この2週間ほど多忙だった上に体調を壊してブログから遠ざかっていた。

    その間にWhoの新作のアナログ盤をWhoの公式HP(英国)へオーダーしたり(ストア特典付)、これから年内に登場するBob Dylan、Kinks、Rolling Stonesのボックスの内容などをチェックしたり……まだどれ一つも注文していないが。

    そうしている間にBeatlesの『Abbey Road』の2019remixを含む3LPセットが届いた。

    2019ARbtls (14)
    *箱の表面

    これまで記してきたように、僕はBeatlesの新たなremix projectによって作られる旧作品の新装盤には否定的だ。

    なので、今回の『Abbey Road』2019remixを心から喜んでいるBeatlesファンの方は以下、決して読まないように、とあらかじめお断りしておく(苦笑)。




    そもそも『Abbey Road』については、個人的にはそれほど高い評価をしておらず、B面のメドレーはただ未完成の曲をつなげたという印象が強いだけでなく、そのうちのいくつかは(例えば「She came in through…」とか)正直、ひどい曲だと思っているくらいだ。

    A面にはBeatles作品中、最大の駄作と思っている「Maxwell's…」があって、これはLPで聴いていてもたいていアームを持ち上げて飛ばすくらいだし(苦笑)。

    以前記したが、中学の時、僕はこのアルバムをロック名盤の最高峰のひとつだと思っていた。
    けれども、Beatles以外のロックグループの作品をたくさん知れば知るほど、このアルバムの地位は相対的に低くなった。

    とは言え、音作りについては、シンセサイザーの導入により、面白いものに仕上がっているし、それまでBeatlesが挑んできた新たなサウンド作りという観点からは『Let it be』と違って評価できる(『Let it be』もよく聴くが)。

    と、まぁ、『Abbey Road』はBeatlesのアルバムでは良く聴くにもかかわらず、何曲かはどうしても今ひとつな印象があって、このアルバムの熱烈なファンではない。一歩引いたところから聴いている。

    そういうこともあって今回のremixは、多少今ひとつな印象であっても余り気にならないのでは?と気楽に考えていた。

    2019ARbtls (17)
    *左は箱入りの2019remixのジャケット、右は英国オリジナル(写真ほどに実物は黄ばんでいない)


    両面を通して3回ほど聴いたが、過去のSGT2017のようなデジタル圧縮技術で音を加工しまくるようなことはしていない分だけ十分に聴ける音にまとめられている。その点は安心した。

    でも、3回聴いて確実なのは、今回の製作チームの『Abbey Road』をこのように聴かせたい、という狙いが見えてこないこと。
    なんというか、不可解というか中途半端というか、そういう印象で終わった。(Beatlesをギターロックバンドでなく、コーラスグループとして確立したいと言う狙いはあるのかも?)

    remixしているのだから、部分的には見えなかった音が見えるように組み直しされているものの、曲によっては従来ミックスのほうが音(=音質)が良かったのでは?と思える部分があったり、あるいは、1曲の中で全体的な音量バランスが上下してしまって聞きづらく(聞き取りづらく)なっていたりする。
    こういうところが一番不可解だったし、中途半端に思えた。

    そして、最も感心できないのは、曲によっては躍動感が減少してしまっている点。
    躍動感とは、リズム感であったり、アクセントであったり、ボーカルや楽器の熱量だったり。この点はホワイトアルバムのremixでも同じような印象を受けたので、声を含めた楽器音量のバランスが変わることが原因のように思えるし、製作チームの中にそういう耳を持った人がいない(あるいは意見が通らない)のだろうなと推測してしまう。

    同じ音量でオリジナルLPとremix LPとを交互に聴いていて、だんだん残念な気持ちになってしまった。
    どうしても不足部分を脳内で補正してしまっている自分がいる。と言うか、初めて『Abbey Road』をこれで聴いたという人以外はみな脳内補正しているのではなかろうか?とさえ思える。

    なので、現時点では何とも微妙な商品というべきか。僕がAmazonで星をつけるなら良くて星3つかな。
    音が良くなった(…但し、全てではないが)、これまで聞こえなかった音が聞こえて新鮮だ、という感覚はわかるけれど、それだけで星5つは無理だ。オリジナルに勝るとも劣らずにならないことには。

    最後の「The end」など『Anthology 3』みたいになってしまって……実はそうならないことを願っていたのだが、やっぱりあんな風にされてしまった(苦笑)。

    2019ARbtls (1)
    *残る2枚(セッション音源)はシングルジャケットに2枚を収納

    「Here comes the sun」もオリジナルミックスがあの年代にわざわざボーカルを右チャンネルに定位させていたのだから、その真意を汲み取ってremixしろよ!と思えてならない。

    書いていると気になることが増えてくるので、本当に最後の最後にするが、やはり全体を通してどうしてもギターの音量<コーラスの音量のような変化だけが今回のremixでも過去のremixと共通に思える。

    このギター軽視の姿勢が『Abbey Road』B面のメドレー部分では特にマイナスに作用している気がする。
    このメドレー部分でのギターラインは、ボーカルの補強や曲同士のつながりを意識したメロディラインをかなり計算して弾かれているので、ボーカルと変わらないほどに重要な役割を担っていて、そういう音量設定がなされていた。
    で、その音量を下げてしまうとどうしても全体のバランスが良くない方向に変わってしまう。
    そのあたり、どうやら何も考えずにミキシングがなされた気がしてしまう。
    *補足するが、完全にギターを消したわけでなく相対的にやや小さめになっているだけ、そのさじ加減が大きな音量で聴くと大きな違いになる

    これは蛇足だが、「The end」の本来モノラルトラックに収録された3人のギターをそれぞれ別定位にしたのがどうにも胡散臭い。わざとらしさが漂う。特にPaulのギターだけが微妙に音量が大きくなっているようにも聞こえる。もしやるならGeorgeだろう!忖度が働いたか?

    結果として、2019remixは気分直しに数年に1回聴く程度になりそう(SGT2017など二度と聴かないだろうから、それよりはましか)。


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    テーマ : 洋楽ロック
    ジャンル : 音楽

    tag : レコード LP stereo Beatles ビートルズ Abbey Road

    コメント

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    No title

    JDさんこんばんは。

    体調の方は大丈夫でしょうか。本作聴かれた頃だろうなと思っていました。

    私もほぼ同様の感想でした。ギターバンドとしてのBeatlesが全く見えてこないし、ドラムスの子気味良いノリが失われている曲が数多くありました。この辺はホワイトアルバムで多々感じた部分でした。

    最終的に、ジャイルズはバンドのサウンドというものがどういうものか分かっていないのではないかと思いました。A面はまあまあ聴けましたけど、ギターサウンドとバンドのノリが重要なB面はすごくがっかりしました。

    Re: No title

    Columbiaさん、こんばんは。

    > 体調の方は大丈夫でしょうか。本作聴かれた頃だろうなと思っていました。

    回復途上で足踏み状態です。
    LPは月曜日に届き、月火と二日聴きました。
    そうそう、一足早い感想をColumbiaさんのブログで読んでいました。

    > 私もほぼ同様の感想でした。ギターバンドとしてのBeatlesが全く見えてこないし、ドラムスの子気味良いノリが失われている曲が数多くありました。この辺はホワイトアルバムで多々感じた部分でした。

    Drumsで言うと、不思議なことに過多に思えるものと薄いと思えるものが混在している気がして、全体像を俯瞰して見ている人はいなかったのかな?と。

    > 最終的に、ジャイルズはバンドのサウンドというものがどういうものか分かっていないのではないかと思いました。A面はまあまあ聴けましたけど、ギターサウンドとバンドのノリが重要なB面はすごくがっかりしました。

    ノリは残念ながら出てませんね。今回のリミックスを聴いた後にオリジナルを聴くと、その違いに驚かされます。


    プロフィール

    JD

    Author:JD
    自分の感覚としては(昔の?)ラジオDJのネット版のようなもののつもり。今日本では7インチ「シングル」盤のことを誤って「EP」と表示するような有様となり、言葉の不理解と誤用の蔓延に落胆している。「EP」は「シングル(=片面1曲、両面で2曲収録)」よりも曲数を多く収録する(標準は4曲、3曲や5曲や6曲の場合もあり)意味のExtended Playingの略。どうかシングル盤とEPとを正しく使い分けて欲しい。

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