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    We're Only in It for the Money

    このアルバムは、Mothers of Inventionの3作目『We're Only in It for the Money』、1968年3月の発売。

    WAIIFM (23)
    *米国オリジナルステレオ盤(残念ながらぼろい…)

    アルバムジャケットはレコード会社の意向で、本来意図されたものから見開きの内側と外側がひっくり返されている。
    それは、完全にBeatlesのSGTのパロディジャケットだった。

    しかし作品の内容は、音楽的にはSGTのパロディではない。もっと大きなメッセージが込められている。



    それ以前の2作同様このアルバムも、マスターテープの完成からレコード会社の承認を得て発売に至るまでに数ヶ月を要している。その間に検閲されて、一部の歌詞が切り取られてしまったようだ。

    アルバムの録音を開始した67年3月時点では全然別の内容でスタートしていたとのことだが、6月1日にSGTが発売された。

    CD『The Lumpy Money Project』のライナーによると、その日、アメリカの音楽ファンや関係者がSGT一色に染まったかのようだったらしい(少なくともZappにとっては)。
    Zappa本人はSGTのジャケットに佇むBeatlesを見て、彼が忌み嫌う当時の米国のヒッピー文化に迎合するオーラをまとい、まるで金のためにそこにいるように見えたそうだ。それがアルバムタイトルになった。

    WAIIFM (21)
    *ジャケット裏面、Zappaはこちらに

    このようなことから、次のアルバムをSGTのパロディにすることにし、当時の米国(英国も?)ロックシーンが傾いていたヒッピー文化への迎合(Beatlesもそれに加担している)を皮肉る、あるいは攻撃する内容の歌詞を柱としている。

    いわば、精神的な意味において、当時の音楽シーンの方向性に真っ向から異を唱える作品としてロックシーンの象徴であったBeatlesのSGTをパロディにするという考えだ。
    それだけでなく、政治に対する風刺も入っていて、米国の若者文化そのものへの辛辣なメッセージといったところ。

    WAIIFM (16)
    *ジャケット内側

    そのために、このジャケットのデザインを制作、Paul McCartneyに事前承諾の電話をしている。
    (Paulはビジネスマネージャーに話を振ろうとしたようだが……)。

    WAIIFM (13)
    *なんともパンクなジャケットに圧倒されてしまう

    本来は表ジャケットとなるはずだったジャケット写真の右端に写るJimi Hendrixは、本人が撮影に参加している。

    で、音楽そのものに関しては、前作『Absolutely Free』をさらに一歩先に進めた作品だ。
    いわゆる大衆音楽(1曲2~3分)と実験音楽をミックスし、ミュージック・コンクリート的な前衛作品に仕上げたというのが正しい。

    その際、音楽的にはSGTなど気にかける必要がない。目指す方向性が違うのだから。

    WAIIFM (1)
    *レーベル

    実験的、前衛的な面は前作よりも強い。

    実験的な音源は、Zappaの個人名義でCapitol recordsで録音された『Lumpy Gravy』からの流用のようだ。

    それと、CHIPMUNKS風のコーラスはテープレコーダーの回転操作で作ってあるが、曲の演奏そのものはどれだけ速いテンポであっても生で演奏・録音してあるようだ。

    アルバムとしてのまとまりや統一感、いや、1曲1曲で聴かせるのでなく全体を通しての一つの作品感は前作以上のものとなっている。
    聞きやすいポップなメロディーと前衛的な音から組まれた異色作だ。

    WAIIFM (7)
    *おまけの切り抜き(笑)






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    テーマ : 洋楽ロック
    ジャンル : 音楽

    tag : レコード LP 米国盤 ステレオ Frank Zappa Mothers

    コメント

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    No title

    JDさんこんばんは。

    本アルバム本当に大好きです。残念ながらアナログ盤は所有していないのですが。ザッパ作品はだいぶ早い段階でザッパがリミックスなどを作ったり、本作の音源を差し替えてオリジナルがだいぶ長い間聴けなかったり結構紆余曲折ありますよね。本作も確か差し替えがバシバシ行われた作品だったと思います。

    ザッパ諸作を聴いていて思うのは、業界の懐の深さですね。こんな作品をメジャー配給もので残してくれて本当にありがたいと心底思いました。時代もよかったのでしょう。

    亡くなってからも膨大な音源が次から次に出てくるのはどういうことだ!?といつも思いますし、生きていてくれたらまだまだ拷問のように次から次へ音源を嬉々としてリリースしていたのではないでしょうか。

    Re: No title

    Columbiaさん、こんにちは。
    音楽活動もいい感じで進んでいるみたいですね。本当にすごいなぁと思います。

    > 本アルバム本当に大好きです。

    そうでしたか!僕は初めて聴いた頃はかなり気に入ってよく聴いてましたが、ここ10年ぐらいは年に数回ってところです。

    聞き取れる歌詞でいろいろとすごい内容を歌っているなぁと思うものの、全体の構成というか流れというか、いろんな意味でポピュラー音楽の常識を飛び越える作品だなと思います。

    >残念ながらアナログ盤は所有していないのですが。ザッパ作品はだいぶ早い段階でザッパがリミックスなどを作ったり、本作の音源を差し替えてオリジナルがだいぶ長い間聴けなかったり結構紆余曲折ありますよね。本作も確か差し替えがバシバシ行われた作品だったと思います。

    初めて買ったCDがそれでした。後から差し替えた音は変でしたけどね(笑)。

    > ザッパ諸作を聴いていて思うのは、業界の懐の深さですね。こんな作品をメジャー配給もので残してくれて本当にありがたいと心底思いました。時代もよかったのでしょう。

    これはなんとも微妙ですね。レコード会社はかなりリリースに臆病だったのは事実なので。
    でも、確かにレコードデビューできなければただの幻のグループだったでしょうね。

    > 亡くなってからも膨大な音源が次から次に出てくるのはどういうことだ!?といつも思いますし、生きていてくれたらまだまだ拷問のように次から次へ音源を嬉々としてリリースしていたのではないでしょうか。

    きっとそうでしょうね(笑)。

    プロフィール

    JD

    Author:JD
    自分の感覚としては(昔の?)ラジオDJのネット版のようなもののつもり。今日本では7インチ「シングル」盤のことを誤って「EP」と表示するような有様となり、言葉の不理解と誤用の蔓延に落胆している。「EP」は「シングル(=片面1曲、両面で2曲収録)」よりも曲数を多く収録する(標準は4曲、3曲や5曲や6曲の場合もあり)意味のExtended Playingの略。どうかシングル盤とEPとを正しく使い分けて欲しい。

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