Tommy 英国盤、米国盤、仏盤など
*3/4夜追記:最後に記した仏国盤の曲間の話、あれ、もしかすると国内盤も同じだったかも?と昼間ふと思い出し、今確認したらやっぱり同様だった。もしかするとドイツ盤もだったかな?
Whoのアルバム『Tommy』は僕の愛聴盤だ。
初めて買ったのは80年代初頭、国内盤が2500円で登場した際の所謂〝Polydorハードロック名盤〟シリーズの1枚として再発された際に購入……と言っても、もはや50代以上の人しかわからないだろう(苦笑)。

*米国Deccaプロモ盤
オーディオ機器を新たにする度に『Tommy』の音質を確認し、これまでの音質との差異を覚えておこうとしてきた。あるいは、新たな高音質メディアが登場する度に追加購入して音質を確認してきた。大好きなアルバムだからこそだ。
今回も、カートリッジが新しくなり、基準となる英国オリジナル盤の音質がどのようになったかを把握しておく必要があるな、と何枚かの英国盤を引っ張りだした。さらには近年のプレスやClassic Recordsからの高音質盤、米国初版のDecca(color band)盤、低音域(と言っても中域寄りだが)が強調されたフランス初版なども。

*仏盤、コーティングあり

*米国Decca(color band)盤
米国Decca(color band)盤と英国(初版のDouble album表示、マト1)盤との音質が異なることは随分前からわかっていたし、僕のオーディオシステムでは、ある時点から(僕の評価では)英国>米国となっていて、その大きな理由が「低音域が刻まれているかどうか」の点にあると思っていた。
今回聴き比べると、米国盤のほうがカッティングレベルが大きいだけでなく、カッティング(マスタリング)は英国盤以上にコンプが効いていて、道理でA-1イントロの音が出た瞬間のガツンと来る度合いも大きいはずだとわかった。でも、音の密度感は強いものの、繊細さに欠けるというのも浮き彫りになった。
この繊細さにおいて英国盤>米国盤と言うのは非常に大きな意味があって、元マスターそのものに1世代差があるくらいの音質差になっているように思えた(つまり英国の方が若い世代のマスターを使用)。

*英国盤(持っていたものでブックレットの番号の一番若いもの)
過去を振り返ると、少なくとも2003年頃まで、僕は米国盤の音質がベストだと思っていた。その理由は今だからはっきりわかる。まず、聴いている音量が今よりも小さかったこと。そして、当時使用していたオーディオでは前述の英国盤の低音域は再生されなかった(聞こえなかった)こと。そういうオーディオ環境だったので、米国盤の音は本当に良い音に聞こえていたのだ。
でも、今のオーディオ環境だと、英国盤のほうがDレンジ、Fレンジ、両方において幅広く、大きな音量で聴けば聴くほどに表現の細やかさが伝わってくる(例えばKeithのDrummingの呼吸やニュアンスなど)。音質もオーディオ的な表現で言えば、各国盤よりも静寂だし、きれいというかナチュラルだ。
その英国盤の音(音質)は、もうレコードを聴いているという感覚すらない。盤質に起因するノイズは聞こえるけれど、巷で言われるような〝アナログレコードの音〟とは明らかに違うように思う。マスターテープに近づくと言えば笑われるかもしれないが、再生メディアはもう関係なくなってきたかなという印象もある。
以前紹介した近年のデジタルマスターを使用してカッティングされた2種類のプレスは、この英国盤の音にかなり近い傾向だ。
対して、Classic Recordsからの高音質盤は音の傾向が少し違うし、なんとなくマスターテープの経年劣化を感じてしまう。とは言え、僕のオーディオでは、この盤の持つポテンシャルを存分に引き出せていないだけなのかもしれない。

*Classic Records 200g盤
『Tommy』は、それ以前のWhoのアルバムと違って、Rogerのボーカルがようやくボーカリストらしい幅広い表現を示すアルバムになった。
A面の「1921」はPeteがメインを歌っているが、ここに入ってくるコーラスはこれまでのWhoのイメージを無視して完全にアルバムを成立させる歌声として入っているし、同じくメインボーカルともコーラスとも別に1行だけ(2回)歌われるRogerの歌声は、それまで彼が見せたことのない表情の歌声で、完全に少年Tommyになりきっている。
このややおとなしめの曲に思えていた「1921」は、今ではバスドラとBassが強く響く曲になってしまい、音量によっては部屋を震わせてしまう(苦笑)。
おっと、予想よりも長くなったので、最後にフランス初版について面白いことに気づいたので記しておくことに。それは曲間の長さが他の国のレコードと違っているという点。
*3/4追記:仏国盤だけでなく、日本盤もそうだったことを思い出した。

*仏初版のジャケットにはMono(カートリッジ)でも再生可能とある
『Tommy』は、曲間が短めにつなげられているのが正しい形だが、なぜかフランス盤では通常のRock/Pops系のレコードと同様程度に曲間が空いている。わざわざ英国から送られた(コピー)マスターテープをそれぞれの曲間で一度切り離して、無音のテープを挟んではつなぎ直したいうことか?それとも、英国側に曲間を空けるように指示して、英国でコピーマスターを作る際にわざわざ送り出しのマスターテープデッキを一時停止しては再び再生……を繰り返したのだろうか?どっちもかなり面倒な作業に思える。音質的にも、冒頭に記したように(かなり中音域寄りの)低域が強めの音になっているし、独特だ。
*3/4追記:日本盤も同じように曲間が長いことから(初版で確認)、当時、英国盤準拠の曲間の短いものと、そうでないものの2種類のマスターが(世代は別かもしれないが)存在したことになる。
Whoのアルバム『Tommy』は僕の愛聴盤だ。
初めて買ったのは80年代初頭、国内盤が2500円で登場した際の所謂〝Polydorハードロック名盤〟シリーズの1枚として再発された際に購入……と言っても、もはや50代以上の人しかわからないだろう(苦笑)。

*米国Deccaプロモ盤
オーディオ機器を新たにする度に『Tommy』の音質を確認し、これまでの音質との差異を覚えておこうとしてきた。あるいは、新たな高音質メディアが登場する度に追加購入して音質を確認してきた。大好きなアルバムだからこそだ。
今回も、カートリッジが新しくなり、基準となる英国オリジナル盤の音質がどのようになったかを把握しておく必要があるな、と何枚かの英国盤を引っ張りだした。さらには近年のプレスやClassic Recordsからの高音質盤、米国初版のDecca(color band)盤、低音域(と言っても中域寄りだが)が強調されたフランス初版なども。

*仏盤、コーティングあり

*米国Decca(color band)盤
米国Decca(color band)盤と英国(初版のDouble album表示、マト1)盤との音質が異なることは随分前からわかっていたし、僕のオーディオシステムでは、ある時点から(僕の評価では)英国>米国となっていて、その大きな理由が「低音域が刻まれているかどうか」の点にあると思っていた。
今回聴き比べると、米国盤のほうがカッティングレベルが大きいだけでなく、カッティング(マスタリング)は英国盤以上にコンプが効いていて、道理でA-1イントロの音が出た瞬間のガツンと来る度合いも大きいはずだとわかった。でも、音の密度感は強いものの、繊細さに欠けるというのも浮き彫りになった。
この繊細さにおいて英国盤>米国盤と言うのは非常に大きな意味があって、元マスターそのものに1世代差があるくらいの音質差になっているように思えた(つまり英国の方が若い世代のマスターを使用)。

*英国盤(持っていたものでブックレットの番号の一番若いもの)
過去を振り返ると、少なくとも2003年頃まで、僕は米国盤の音質がベストだと思っていた。その理由は今だからはっきりわかる。まず、聴いている音量が今よりも小さかったこと。そして、当時使用していたオーディオでは前述の英国盤の低音域は再生されなかった(聞こえなかった)こと。そういうオーディオ環境だったので、米国盤の音は本当に良い音に聞こえていたのだ。
でも、今のオーディオ環境だと、英国盤のほうがDレンジ、Fレンジ、両方において幅広く、大きな音量で聴けば聴くほどに表現の細やかさが伝わってくる(例えばKeithのDrummingの呼吸やニュアンスなど)。音質もオーディオ的な表現で言えば、各国盤よりも静寂だし、きれいというかナチュラルだ。
その英国盤の音(音質)は、もうレコードを聴いているという感覚すらない。盤質に起因するノイズは聞こえるけれど、巷で言われるような〝アナログレコードの音〟とは明らかに違うように思う。マスターテープに近づくと言えば笑われるかもしれないが、再生メディアはもう関係なくなってきたかなという印象もある。
以前紹介した近年のデジタルマスターを使用してカッティングされた2種類のプレスは、この英国盤の音にかなり近い傾向だ。
対して、Classic Recordsからの高音質盤は音の傾向が少し違うし、なんとなくマスターテープの経年劣化を感じてしまう。とは言え、僕のオーディオでは、この盤の持つポテンシャルを存分に引き出せていないだけなのかもしれない。

*Classic Records 200g盤
『Tommy』は、それ以前のWhoのアルバムと違って、Rogerのボーカルがようやくボーカリストらしい幅広い表現を示すアルバムになった。
A面の「1921」はPeteがメインを歌っているが、ここに入ってくるコーラスはこれまでのWhoのイメージを無視して完全にアルバムを成立させる歌声として入っているし、同じくメインボーカルともコーラスとも別に1行だけ(2回)歌われるRogerの歌声は、それまで彼が見せたことのない表情の歌声で、完全に少年Tommyになりきっている。
このややおとなしめの曲に思えていた「1921」は、今ではバスドラとBassが強く響く曲になってしまい、音量によっては部屋を震わせてしまう(苦笑)。
おっと、予想よりも長くなったので、最後にフランス初版について面白いことに気づいたので記しておくことに。それは曲間の長さが他の国のレコードと違っているという点。
*3/4追記:仏国盤だけでなく、日本盤もそうだったことを思い出した。

*仏初版のジャケットにはMono(カートリッジ)でも再生可能とある
『Tommy』は、曲間が短めにつなげられているのが正しい形だが、なぜかフランス盤では通常のRock/Pops系のレコードと同様程度に曲間が空いている。わざわざ英国から送られた(コピー)マスターテープをそれぞれの曲間で一度切り離して、無音のテープを挟んではつなぎ直したいうことか?それとも、英国側に曲間を空けるように指示して、英国でコピーマスターを作る際にわざわざ送り出しのマスターテープデッキを一時停止しては再び再生……を繰り返したのだろうか?どっちもかなり面倒な作業に思える。音質的にも、冒頭に記したように(かなり中音域寄りの)低域が強めの音になっているし、独特だ。
*3/4追記:日本盤も同じように曲間が長いことから(初版で確認)、当時、英国盤準拠の曲間の短いものと、そうでないものの2種類のマスターが(世代は別かもしれないが)存在したことになる。
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