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    Cheap Thrills

    先日記したように、Big Brother and the Holding Co.の未発表曲集『Sex, Dope And Cheap Thrills』に僕はとても落胆して、すぐにオリジナルの『Cheap Thrills』を聴きなおしていた。

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    *『Cheap Thrills』米国オリジナルステレオ盤(1968)

    1968年に出た米国ステレオ盤LPも十分に音が良い。
    それとは別メディアになるが、1997年のボーナストラック入りremastering CDは非常に音が良かった。ダイナミックレンジを十分に確保したremasteringだった。



    『Cheap Thrills』はBig Brother and the Holding Co.の猥雑な演奏をしっかりと伝える録音になっていて、Columbiaとの契約以前に録音されMainstreamから1967年に発売された、グループ名を冠したアルバム『Big Brother and the Holding Co.』とはグループの印象が大きく異なる(そのアルバムは、後に発売権をColumbiaが買取し1971年に再発されている)。

    好き嫌いは別にして、等身大のBig Brother and the Holding Co.を伝える作品は『Big Brother and the Holding Co.』でなく『Cheap Thrills』だと思う。前者では、かなり手堅く演奏していて、あまり猥雑な印象を受けない。

    CTJJBBHC (22)
    *ジャケット裏面

    67年のMonterey Pop Festival出演時点で既に『Cheap Thrills』に収録された演奏スタイルだったことから、Columbia側の意向は、Monterey Pop Festivalでの彼らをそのまま収録しようとしたのだろう。

    CTJJBBHC (17)
    *ジャケット見開きの内側

    『Sex, Dope And Cheap Thrills』のライナーによると、そのために当初はlive録音を重ねたようだが、ステージで観客を存分に沸かせても、録音されたテープをスタジオで確認すると公表できるクオリティには至っていないと判断され、結局、基本的にはスタジオでライブを再現するような録音になったようだ(一部ダビングもあるし、1曲はステージでのlive recording)。

    CTJJBBHC (12)
    *レーベル

    その点は、今回発表された『Sex, Dope And Cheap Thrills』を聞けばよくわかる。演奏に難がありすぎる。
    収録された曲のほとんどがJanis以外の誰かか必ずミスをしており、ギターが音を外す、リズムが狂う、二人のギタリストのリズム感が全然違っている、Drumsそのもののリズムが狂っている、なんかパンチが足りない、みたいな、本当にゴミ箱行きになって当然という感じ。

    多くの人はJanisのボーカルだけを聞いているのかもしれないが、僕のように常にバンドサウンド全体を聴いてる人間にとっては、アマチュアなのかプロなのか?という狭間の録音に思えてならない。当然、Columbia recordsがこんな音源を発表するわけがない。何故なら曲が完成していく過程であるだけでなくメンバーが曲のアレンジを覚えている過程の録音なのだから。そして、セッションを繰り返してできあがったのが正規発売となった『Cheap Thrills』だったというわけだ。

    CTJJBBHC (1)
    *こちらは2011年発売のRSD用4LP setから(180gの重量盤)、音質はオリジナル盤と甲乙つけがたい

    僕は必ずしも『Cheap Thrills』収録曲すべてのクオリティが高いなどとは思っていないが、Janis Joplin のボーカルに負けない演奏をしっかりと収録できたことで、他の数多くのロック名盤と張り合えるレベルの作品になったように思っている。恐らく、Janis以外のメンバーの演奏能力にはムラがあり、うまくいく時とそうでない時とで差が激しかったのではなかろうか。いずれにせよ、本当にうまく演奏できた瞬間を記録した作品が『Cheap Thrills』なのだと思う。

    CTJJBBHC (9)
    *4LP setは音質も良かった、こちらが箱オモテ面

    そして、『Sex, Dope And Cheap Thrills』を聴くと、最終的に収録されたテイクにせよ、あえて収録しなかった没曲にせよ、その判断・決定(producerのJohn Simonによる?)は間違っていなかった。
    バンドメンバーが気に入っていて収録を希望した「Harry」は没になってしかるべきだった。

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    *箱裏面

    『Sex, Dope And Cheap Thrills』のCD1枚目(14曲収録)を改めて聴きなおしたが、僕がproducerだったなら、発表しても良いかなと思えたのは1曲だけ。どうしても良い演奏が残せなかった場合の補欠が3曲、他はゴミ箱行き確実だ(笑)。でも、Janisの歌は毎度十分なクオリティがあるのでテープを廃棄するのは悩むところ……と言うことで残されていたのではなかろうか?



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    テーマ : 洋楽ロック
    ジャンル : 音楽

    tag : レコード LP 米国盤 Janis Joplin Cheap Thrills ジャニス・ジョプリン

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    Author:JD
    自分の感覚としては(昔の?)ラジオDJのネット版のようなもののつもり。今日本では7インチ「シングル」盤のことを誤って「EP」と表示するような有様となり、言葉の不理解と誤用の蔓延に落胆している。「EP」は「シングル(=片面1曲、両面で2曲収録)」よりも曲数を多く収録する(標準は4曲、3曲や5曲や6曲の場合もあり)意味のExtended Playingの略。どうかシングル盤とEPとを正しく使い分けて欲しい。

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