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    世間の望む音質・マスタリング

    このところ、つくづく世間一般の音楽ファンの望むマスタリング(あるいは音質)とオーディファイルが望むものとは違うのではないか?という疑問が再び生じている。そうだ、やはり未だに世間では音圧!音圧!とダイナミックレンジの狭いマスタリングが望まれているようなのだ。

    でも、それも仕方ないとも思える。僕自身も90年代まではある意味似たようなものだったのかもしれないのだから。



    CD時代到来以前、(アナログ)レコードはある意味、個人が購入できるマスターテープのようなものであり、それをカセットに録音して聞くことが中高大学生にとっては一般的だった。

    友人の再生機器はラジカセからシスコンが大多数だったように思う。あるいは、僕のように家にあったモジュラーステレオとか(苦笑)。

    当時のラジカセには録音音量を自動調整するALCという機能がついていた(機能名称は各社異なっていたかもしれない)。簡単に言えばリミッターだ。録音ソースの音量が小さいときは自動的に録音レベルが上がり、逆に音量が大きくなると自動的に録音レベルが下がる。これによって、レベルオーバーによる歪を避けることができた。ほとんどの人は録音には興味がないのでALCで録音していたと思う。

    そうやって録音されたテープの音は、ある程度のクオリティを持って再生できるオーディオシステムで聴くと気持ち悪い音になる。演奏が弱音時なのに音が大きくなり、強打するような時に(最大レベルが一定なので)音量が小さくなるように聞こえるからだ。(同じ現象が昨年のSGT2017remixのステレオ音源でも聞き取れたので、僕は本当にがっかりした。68年のオリジナルミックスには無かった。デジタルのリミッティングでそうなってしまっているわけだ。)

    ただ、ALCのおかげで歪のないレベルで録音できるというのは、再生機器にそのラジカセを使用している人にとっては好都合だったはず。と言うのも、ラジカセでは大きな音は出せないし、低音も出ない。
    シスコンも今の僕の感覚で言えば、音量は別として、音質的には高価なラジカセと似たり寄ったりのように思える。少なくとも所謂ハイエンドオーディオとは程遠い音質だった。

    ただ、ラジカセには重宝する機能もあった。それがラウドネス・コントロールだ(ただのON/OFFスイッチだけど)。人の耳は、小音量だと低音域と高音域が聞こえづらくなるので、それを補正するためのコントロールだった。

    今も音圧!音圧!と海苔波形の音源を望む声は、その昔、ALC録音されたカセットテープやラジカセのラウドネススイッチをONにして聴く行為と変わらない、僕にはそう思える。そして、それが大多数だったように思う。「なんだ、ただそういうことなんだ!」と今更気がついた。

    で、なぜそういう音を求めるのか?と言えば、たぶんクオリティの高いオーディオを使っていないからだろう、と思えてしまうわけだ。まさに僕自身、JRDGのプリメインアンプconcentraを使うまでは、ダイナミックレンジの重要性を真の意味で実感(あるいは体感)できていなかったかもしれない。

    それと、ある程度の音量で聴けること、さらにはスピーカーや部屋に関係するが、どこまでの低音域が再生されているか?が非常に重要だ。その点で、音の表情ががらっと変わるからだ。

    例えば、『ELECTRIC LADYLAND』収録のDylanカバー「All along the watchtower」のイントロで「低音域が底なしなのか?」と恐怖を覚えるぐらいに感じる(聞こえる)のと、そういう音が入っているかどうかもわからない再生音とでは印象が全く違ってくるわけで。
    低音域が出ないオーディオだとオーディオ雑誌等で紹介される高音質録音ソフトなど再生しても真価を聞き取るのは難しい。

    それに、ある程度の音量で再生できないことには、クラシック録音のホールの響きなど望むこともできない(ただし、耳は鍛えることによって聞き取り能力が上がるので、ある程度の音量で再生できれば聞き取り可能になるように思う)。

    そういうのは、そういう再生音に接して初めて知るわけで、そういう機会そのものが普通に考えれば滅多にない気がする。ならば、音圧要望が上がってしかるべきではなかろうか?(僕は望まないけど!)

    大多数の人が「音が良い」や「良くなった」というリマスタリングは、残念ながらたいてい僕の感覚とずれている。それも当然と言えば当然なのだろう。




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    テーマ : オーディオ
    ジャンル : 音楽

    tag : 音質 オーディオ ステレオ 再生音 マスタリング

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    JD

    Author:JD
    自分の感覚としては(昔の?)ラジオDJのネット版のようなもののつもり。今日本では7インチ「シングル」盤のことを誤って「EP」と表示するような有様となり、言葉の不理解と誤用の蔓延に落胆している。「EP」は「シングル(=片面1曲、両面で2曲収録)」よりも曲数を多く収録する(標準は4曲、3曲や5曲や6曲の場合もあり)意味のExtended Playingの略。どうかシングル盤とEPとを正しく使い分けて欲しい。

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