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    Mercury盤『1812年(序曲)』モノラルLP

    前回、『Double Fantasy』の針飛び盤を話題にするつもりが、Telarcの『1812年(序曲)』の国内盤LPに流れてしまったが、今回も引き続きチャイコフスキーの『1812年(序曲)』のLPの話を少しだけ。

    1954年にモノラル録音されたAntal Doráti指揮のMercury盤『1812年(序曲)』LPと近年(2016年)の復刻LPについて。

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    *手前が米国Mercury盤『1812年(序曲)』オリジナルLP、奥(背後)2016年の復刻LP



    54年モノラル録音のMercury盤『1812年(序曲)』LPは、その時点で実際の大砲の音(実射音)を録音して使用している。

    このLPが当時のレコードプレーヤーで普通に再生できるレベルだったのか、あるいは針飛びはしないけど大砲で音が歪んでしまっていたか?など今では知る由もないが、おそらく針飛びはしなかったのだろうと思う。でなければ、Telarc盤のような話がつきまとっていたと思われるから。

    LPを聴くと、実射音はかなりぶっとい音(中低音重視?)で記録され、オーケストラ演奏とのミキシングにおいても音量的に同等ぐらいで制作されている。今のオーディオで聞いても、再生音量はそれなりに気をつけたほうがいいのかなとは思うが、Telarc盤ほどにはダメージを与えることはないだろう。

    DSCF2401.jpg
    *レーベル

    僕が初めてこのLPを聴いた時に思ったのは、実射音がどうのという以前に「なんとも古臭い音だな」という印象だった。その理由は明らかで、周波数レンジが狭いナロウレンジな再生音によるものだった。まるで古い映画に付いてる古い音声の印象だ。

    だから、それ以前に知っていた、同じくAntal Doráti指揮のMercuryステレオ盤(1958年)CDで聴けた音との音質差に驚いたのだった。比較にならないと思った。
    今日、初期LPを久しぶりに聴きなおしたが印象は変わらない。とてもナロウレンジな音質だ。

    ところが、2016年に発売された復刻LP(2枚組で、片方が54年のモノラル、もう一方が58年のステレオ)で同じ54年の演奏を聴くと、音が随分と本物っぽくなっていて驚く。

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    *復刻盤2LP

    54年当時と違って、今では元音源(マスターテープ)をできる限りそのままレコードに刻むことができるようになったのだろう。ここで聴ける音はオーケストラも大砲もずっとずっと本物に近い音をしている。まるで5~6世代目のコピーテープから一気に1世代目のマスターに遡ったかのような違いがある。

    でも、それでさえ、54年当時の録音の限界を示しているように思えてしまう。それは、カップリングされた58年のステレオ録音との比較だけでなく、それ以降に発売された多くの『1812年(序曲)』LP/CDとの比較で。

    DSCF2403.jpg
    *復刻盤のレーベル

    そのカップリングされた1958年のステレオ録音盤は昔から有名だった。

    DSCF2398.jpg
    *復刻盤はジャケット表面がステレオ盤(モノは裏面)、解説書付属

    僕の印象としては、やっぱり本物の大砲の実射音を使用した初期ステレオ録音でありながらエバーグリーンな録音クオリティを有する作品というイメージを長らくずっと抱いていたが、復刻LPで聴くと、大砲の音よりもオーケストラの録音品質に関して、この時点でここまでのクオリティがあったことに驚かされる。

    クラシックでなく60年代ロックの作品に対してよく見受けられる「50年前の作品なのに……」などという言葉を見ると「そんなの当時の技術なら普通だよ」と思えてしまうのは、50年代後期のクラシックの高品位なステレオ録音を僕が知ってしまっているからに違いない。

    なお、今回紹介した復刻LPだが、おそらくデジタル変換済みのマスターを元に作られているのではなかろうか?(ちなみに、マスタリングエンジニアはSean Magee氏だ)




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    テーマ : クラシック
    ジャンル : 音楽

    tag : レコード LP 1812年 チャイコフスキー mono stereo Mercury

    コメント

    Secret

    ドラティ盤

    お久しぶりです!以前はWho's Nextに関するコメントありがとうございました。

    このドラティ盤はCDではありますが、僕も持っております。1812年の演奏としてはやはり実射音がつかわれていることもあって定番ですよね。

    ただ個人的にはカップリングとして入っているスラブ行進曲のテンポがあまりにも遅いので、最近は聴くことも少なかったです。
    久々に聴いてみようと思います。ありがとうございます^^

    Re: ドラティ盤

    オッティさん、こんばんは。

    > このドラティ盤はCDではありますが、僕も持っております。1812年の演奏としてはやはり実射音がつかわれていることもあって定番ですよね。

    そうです、まさに〝定番(盤?)〟と呼ぶのがぴったりです。

    > ただ個人的にはカップリングとして入っているスラブ行進曲のテンポがあまりにも遅いので、最近は聴くことも少なかったです。
    > 久々に聴いてみようと思います。ありがとうございます^^

    LPとはカップリングが違ってましたっけ?
    CDでは「1812年」ばかり聴いていたもので……。

    No title

    JDさん


    リプライ頂き、ありがとうございます!
    僕の持っているドラティの1812年収録のCDは↓ですね。
    http://tower.jp/item/1696170/1812%E5%B9%B4-%E3%83%81%E3%83%A3%E3%82%A4%E3%82%B3%E3%83%95%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%BC%EF%BC%9A%E7%AE%A1%E5%BC%A6%E6%A5%BD%E6%9B%B2%E9%9B%86

    これにカップリングで収録されているスラヴ行進曲のテンポがものっすごくノロくて、勇猛さが感じられないんですよね・・・笑
    個人的には小澤征爾版の↓のスラヴ行進曲のアレンジが好きなんですよね。
    http://amzn.asia/gCNx6zC

    なお、逆にこの小澤征爾版の1812年は、ラストの大砲の音が歪みすぎて、まるで核兵器の爆発かの如く残響音が凄まじいことになっていて全く良くないです。

    ジレンマですね・・・笑

    Re: No title

    オッティさん、おはようございます。

    > 僕の持っているドラティの1812年収録のCDは↓ですね。

    こんなに追加収録されていたCDが出ていたんですね。

    > これにカップリングで収録されているスラヴ行進曲のテンポがものっすごくノロくて、勇猛さが感じられないんですよね・・・笑

    演奏テンポによって確かに受ける印象は変わりますね。

    > 個人的には小澤征爾版の↓のスラヴ行進曲のアレンジが好きなんですよね。

    Amazonで一部聞けました。僕にはちょっとテンポが速めな気もしますが、ちゃんとした音で全部聞かないことには何とも言えないですね。

    > なお、逆にこの小澤征爾版の1812年は、ラストの大砲の音が歪みすぎて、まるで核兵器の爆発かの如く残響音が凄まじいことになっていて全く良くないです。
    > ジレンマですね・・・笑

    そうですか、それは残念ですね。
    実際、大砲の音を録音するのはあまりにダイナミックレンジが大きいため、簡単なことではないです。そう言えば、どこの演奏だったか忘れましたが、近年の録音でオーケストラはなかなか良いなぁと思えたものがあったのですが、あれも大砲だけは駄目でした。本当に難しいですね。



    プロフィール

    JD

    Author:JD
    自分の感覚としては(昔の?)ラジオDJのネット版のようなもののつもり。今日本では7インチ「シングル」盤のことを誤って「EP」と表示するような有様となり、言葉の不理解と誤用の蔓延に落胆している。「EP」は「シングル(=片面1曲、両面で2曲収録)」よりも曲数を多く収録する(標準は4曲、3曲や5曲や6曲の場合もあり)意味のExtended Playingの略。どうかシングル盤とEPとを正しく使い分けて欲しい。

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