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    the Chipmunks Sing the Beatles Hits

    全米でBeatles旋風が吹き荒れていた頃、どさくさに紛れて怪しいレーベルから、さも〝英国出身のビートグループ〟かのようにBeatlesのコピーグループ?のレコードが発売されていた。

    それらとは完全に一線を画していたのが『the Chipmunks Sing the Beatles Hits』。

    chipmunks (11)
    *残念ながら英国盤(mono)

    これは数あるBeatlesカバーのLPの中でも、多くの人に愛されている作品ではないだろうか。



    Chipmunksを知らない人は少ないと思うが、簡単に紹介しよう。
    彼らはシマリス3匹によるコーラスグループ。生みの親のRoss Bagdasarianがテープレコーダーの速度を半速にして歌を録音し、再生時に通常の速度に戻すことで1オクターブ音程の高い歌声を作り出している。3匹のうちAlvinだけが一人自由なふるまいをし、マネージャーのDavid Sevilleが毎回大声を出さざるを得ないような状況に。つまり、本来はノベルティ・ソング用の架空のグループ。

    けれども、『the Chipmunks Sing the Beatles Hits』で、Chipmunksらしさが出ているのは「Twist and shout」の1曲だけ。他の曲はどれも普通のカバーバージョンとして歌われている。

    今、手元にCDが無いのだけれど、確かRoss BagdasarianがLondon訪問中にBrian Epsteinに電話をかけて、ChipmunksでBeatlesのカバーをさせてもらえないかとお願いしたところ、快諾を得てこのアルバムが生まれたという経緯がライナーノーツに掲載されていたのではなかったろうか?LPのオリジナルライナーにはそんな話は載っていない。もっとユーモアのある内容。

    僕が持ってるLPは残念ながら英国盤のみ。米国録音なので、本当は米国ステレオ盤で欲しいところだが、さすがにこれに1000円以上は出したくないと思って1000円以下で売られていた英国monoしか持っていない。でもCDがステレオだったのでそれで良しとしている。

    chipmunks (5)
    *ジャケット裏面

    ChipmunksのBeatlesカバーは、他の怪しいグループのカバーよりもずっと優れているように思えるのには理由がある。それは何よりもサウンドプロダクションがしっかりしていること。演奏にせよ、3匹の(笑)歌とコーラスにせよ、さすがにプロレベルのクオリティがある。特に演奏については、技術不足など微塵も無く、録音も良い。

    僕はこれまでの35年以上の間にいろんなアマチュアバンドが「She loves you」をカバーするのを生演奏やテレビで観てきたが、まともな歌・演奏をしているのをほとんど観たことがない。同様に、64年当時怪しいグループ達が「She loves you」をカバーしていたが、どれもこれもまともなものが無いように思えていた。いや、実のところBeatles本人達のドイツ語版もオリジナルの英語版とはクオリティが異なる別物でダサい(本人達が自らをカバーした)と言わざるを得ない。けれども、Chipmunksのカバーはある意味Beatles版に負けず劣らずのカバーとなっている(ちょっと褒めすぎか?)。

    Beatlesバージョンの「She loves you」を完全コピーして、それなりに聞き手を納得させるために必要なものは何なのか?Chipmunks版を聴いてはっきりするのは、演奏の疾走感と歌声のエネルギー、その両者どちらが欠けても駄目ということ。Chipmunksの制作者であるRoss Bagdasarianは当時からそのことに気づいていたというのがすごい。Beatles本人達のドイツ語版にさえ後者が感じられないというのに(苦笑)。

    今日久しぶりにLPを聴いて、見直したのが「PS I love you」、そして「Love me do」だった。この2曲はBeatlesの中では大したことのない曲のように思えていたが(苦笑)。

    予定よりも長くなった。
    ちなみに、彼らの1stアルバム(1959年発売)はこれ。

    chipmunks (1)

    本当にリスのイラストだ。

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    テーマ : 洋楽ロック
    ジャンル : 音楽

    tag : レコード LP Chipmunks Beatles モノラル 英国盤 米国盤

    コメント

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    No title

    JDさん、こんばんは。
    たまにはレコード以外の話題を。

    「演奏の疾走感と歌声のエネルギー」と書かれていますが、感性が大変鋭いな、と。
    というのも、この曲についてジェフが「ザ・ビートルズサウンド」という本の中で、この曲のレコーディング中に女性ファンがスタジオに侵入して、それを警備員たちが追いかけるという騒動があったそうです。ジェフが言うには、そのときの興奮が歌と演奏に表れていると。
    自分もビートルズのコピーバンドをやっていますので、演奏にメンタルが大きく影響するのがよく分かります。だから、あながちジェフの思い込みでもない気がします。

    Re: No title

    Makoさん、こんばんは。

    > というのも、この曲についてジェフが「ザ・ビートルズサウンド」という本の中で、この曲のレコーディング中に女性ファンがスタジオに侵入して、それを警備員たちが追いかけるという騒動があったそうです。ジェフが言うには、そのときの興奮が歌と演奏に表れていると。

    僕もその本を持っているので、その話は知っています。

    > だから、あながちジェフの思い込みでもない気がします。

    いやぁ、そうなんですよね。僕もそれは正しいと思っています。

    本当に昔からShe loves youのコピーにまともなものがなく、どれも平凡にしか思えずでした。
    つまり、曲そのものはYesterdayのように誰がコピーしても良い曲だと思わせるほどの出来ではないのでは?と思うようになりました。もしこの曲をJohnとPaulが先に他人にあげていたら、ヒットしなかったかもしれません。Beatles版は特別でした。

    でも、Chipmunksのバージョンを聴くと、Beatles版と変わらず良いんですよね!それでこの曲を引き立てるコツが何かはっきりわかりました。


    プロフィール

    JD

    Author:JD
    自分の感覚としては(昔の?)ラジオDJのネット版のようなもののつもり。今、世界で日本だけが7インチ「シングルSingle」盤のことを誤って「EP」と呼ぶような有様となり、言葉の不理解と誤用の蔓延に落胆している。「シングル」は片面1曲、両面で2曲収録。「EP」はシングルよりも曲数を多く収録する(標準は4曲)"Extended Play"の略。両者は別の仕様だ。どうかSingleとEPとを正しく使い分けて欲しい。

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