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    爆音って何だろう?

    某Yオクに出品されているRolling Stonesの60年代の英米オリジナルLPの売り文句に〝爆音〟の文字が躍っていた。
    でも、僕も同じLPsを思っているのだが、それらを〝爆音〟と思ったことなどなかった。

    RSBHV2UK (8)
    *例:『Through The Past, Darkly (Big Hits Vol. 2)』の英国open Deccaステレオ盤

    商品説明を読むと、そこにも〝爆音〟や〝高音圧〟の文字が踊っている。
    一体爆音って何だろう?何を指しているのだろう?と不思議に思わずにはいられなかった。



    昔記したことがあるが、Beatlesの英国1st『Please please me』の初期プレス、いわゆるGold Parophoneのモノラル盤がすごい音だと言う噂を聞き、僕はまさにエネルギーのつまった迫力のある音を想像していた。〝爆音〟とはそういうことなのかな?と今回頭をよぎった。

    けれども、〝爆音〟と同時にやたらと〝高音圧〟とも書かれている……それならば、僕の言うエネルギーのつまった迫力のある音とは違う。

    今で言う〝高音圧〟は、デジタルマスタリングのプロセスで音を高圧縮して常にラウドな音に作り変えてしまわれたものを指すのが一般的で、例えばBeatlesの英国盤『With the Beatles』Mono盤のマトリクス-1N/-1Nのようなラウドカット盤でさえ高音圧とはいいづらい気がする(確かに、-7N/-7N盤などよりもコンプが強くかかっていて音溝に刻まれた音量は大きいけれど)。

    それよりも、近年のデジタルリマスタリングで高圧縮されたデジタルマスターを使ったLPのほうが確実に高音圧だ。そういうのはたいてい、原版権切れに伴ってマスターテープを所有していない会社が(マスターの出所が不明なのだが)DMMカッティングにて発売しているJazzやOldies関連のレコードで聞かれる音のことだ。刻まれた音量がほぼ一定に近く(=デジタルでは0dbから-3db程度)、ダイナミックレンジが非常に狭い息苦しい音になっている。音を作るというよりも、データ演算で圧縮・拡張を生み出している印象を受ける。だからある程度以上の品質の装置で再生すると不自然な音に聞こえるのだ。

    これに対して、Rolling Stonesの60年代の英米オリジナルLPは、工程がすべてアナログなので前述のおかしなデジタルマスタリングの音とは完全に別物だ。コンプレッサーは、カッティング(マスタリング)の際にかかっていると思われるものの、音量をある程度上げないことには迫力ある音だとはわかりづらい。

    RSBHV2UK (5)
    *冒頭LPのレーベル、マトは-1W/-2W

    アナログプロセスのみで製造された(昔の)レコードには、これはごく普通の話であって、例えば昨年のSGT 2017 RemixのLPのような圧縮感を伴った音とは別物だ。あれこそミキシングやマスタリングのプロセスでデジタルのハードリミッターを使用して高圧縮されたデジタルマスターの音だ。

    にもかかわらず、どうしてRolling Stonesの60年代の英米オリジナルLPの音を〝高音圧〟などという的外れな表現でたとえるのか?と不思議でならない。

    さらに言えば、冒頭に掲載した『Through The Past, Darkly (Big Hits Vol. 2)』の英国open Deccaステレオ盤(1stプレス)だけが独自の音でプレスされているような説明になっているが、Boxed Deccaの2ndプレスも同一のスタンパーからプレスされているので音質はニアイコールだ。1stプレスが〝爆音〟〝高音圧〟というならば、2ndプレスも同じだ……僕はそれらをそのように思ったことは一度もないけれど。

    RSBHV2UK (1)
    *シングルジャケットの再発Boxed Decca盤もマトは-1W/-2W

    もしかすると某Yオクでは、〝ギガレア〟〝メガレア〟などの煽り文句と同様に〝爆音〟〝高音圧〟も煽り文句なのだろうか?もしそうであれば、実際の音質とは全く関係ない話になってしまい、それらLPの音質に誤解を招く恐れがある。注意が必要だ。


    さて最後に、前述の『Please please me』のGold Parophoneモノラル盤の音は、僕が想像していたようなエネルギーのつまった迫力のある音ではなかった。後のYellow Parophoneモノ盤との比較で(同じマトリクスNOsなのに)音の劣化が少なく、きれいな音という印象を僕は抱いている。その原因が当時のプレス機械にあるのか?ビニールの質にあるのか?単純にプレス時期によるのか?全く不明なのだが、GPとYPとを比較すると確かにGPの方が音が良いと思ってしまう。
    〝爆音〟とも〝高音圧〟とも無縁で、ただただ音質が良い。


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    テーマ : 洋楽ロック
    ジャンル : 音楽

    tag : レコード LP Rolling Stones 音質 英国盤 ローリングストーンズ Beatles

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    No title

    はじめまして。ちょくちょく拝見させて頂いてました。
    まさしく仰る通りで、単なる頭の悪い煽り文句なんだと思います。
    ああいうのは自分の売り物に責任を持ってなさそうなので、買わない事にしてます。
    あと全然レアでもないのにギガレアとか言いすぎw
    文章見てるだけなら面白いんですけどね。

    Re: No title

    Joeさん、こんばんは。はじめまして。

    > ちょくちょく拝見させて頂いてました。

    どうもありがとうございます。

    > まさしく仰る通りで、単なる頭の悪い煽り文句なんだと思います。
    > ああいうのは自分の売り物に責任を持ってなさそうなので、買わない事にしてます。

    恥ずかしながら、爆音って言葉が煽り文句だとようやく気づいたところです。
    これまで、「この人はいったいどんなオーディオシステムで聴いているのだろう?」と普通に疑問に思ったりしてました。
    それに、爆音って書かれたレコードって、もしかすると音溝が荒れていて音が歪んでいるだけなのでは?とネガティブな印象を受ける気もしていました。

    > あと全然レアでもないのにギガレアとか言いすぎw
    > 文章見てるだけなら面白いんですけどね。

    そっちの話は前々から変だなと思っていました。
    街の中古屋で500円で売られてる大ヒットした米国盤LPなんかがメガレアと書かれてて、そんなの税込み500円で買えるよ!と思ったことは何度もありますね。
    それを500円以上も出して買うのは、きっと本当に中古レコード屋が無い地域の人なんだろうなと思っています。別にメガレアを信じているわけでなく。


    プロフィール

    JD

    Author:JD
    自分の感覚としては(昔の?)ラジオDJのネット版のようなもののつもり。今日本では7インチ「シングル」盤のことを誤って「EP」と表示するような有様となり、言葉の不理解と誤用の蔓延に落胆している。「EP」は「シングル(=片面1曲、両面で2曲収録)」よりも曲数を多く収録する(標準は4曲、3曲や5曲や6曲の場合もあり)意味のExtended Playingの略。どうかシングル盤とEPとを正しく使い分けて欲しい。

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