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    Master Soundから推測する

    90年代初頭頃からだったか?アナログマスターを使用したCDの音を良くしようという取り組みが各社それぞれで行われた。アナログマスターをまず16ビット以上でマスタリングした後に16ビットに変換するやり方が基本スタイルだったように思う(当時はまだloudness warに突入する以前の話なので海苔波形のCDではない)。

    僕はそれら、各社のremastering CDの音を当時は音が良くなったと思って応援していたのだった。その一つがSONYのMaster Sound方式だった。

    mastersound_previous横
    *Miles Davisのサンプラー



    SONYのMaster Soundは、いくつかの技術を集約してのもののようだが、その中のひとつにSuper Bit MappingというハイビットサンプリングによるA/D変換後のデジタルデータを16ビットに落とし込むSONYの独自技術が使用されている。
    簡単な説明は僕の記憶では次のようなものだったはず。

    従来のCDにはアナログマスターに含まれるノイズ成分もデータとして含まれている。そのデータを取り除き、空いたスペースに音楽信号成分を当てることで、マスターに収録されていた音楽信号を従来以上にCDに収めることが可能となった…そう記憶している。いや、実際にはちょっと違う気もするが、ノイズ部分データを音楽に影響を強く与えないレベルで省き、置き換えることでCDの器に記録できる音楽データを向上させるようなイメージだった。
    もう少し詳しい説明を探したところ専門家でないとわからない気がしたが、16ビットのCDには収まりきらなかったデータを20ビット以上の上位ビットマッピングにより、不要データの移動(?)&こぼれるデータを収めることができるような話に思えた。
    いずれにせよ、A/D変換後のデジタルデータの部分組み換えのように思える。

    聴き比べ用のサンプルCDの2枚を比較して、Master soundは楽器の生々しさが向上したと感じたものだ(さらに音量もアップして聞こえる)。

    mastersound_previous (1)

    でも、今の僕のオーディオで比較すると、ノイズと判断され削除されたデータにこそステレオ空間の形を再現するのに必要な情報があったことに気づく。

    楽器の生々しさが向上するのは、周りの空気(空間)や間接音が減少し、個々の楽器の音がより直接音っぽく聞こえるようになるから。なので、これはどっちを重視するかの選択の問題のようにも思える。20ビット変換で16ビットよりもデータをきめ細かくしたにせよ、結局CDに収録できるデータ容量の最大値は変わらないのだから、元のアナログマスターのどこを入れてどこを捨てるか、のように思えるわけだ。

    mastersound_previous (4)
    *クリックで拡大

    このサンプルCDを手に入れたのは96年か97年。僕の使用オーディオのグレードは今よりも2ランクは低かった。
    参考までに、当時(96~)の僕の使用機器は、アンプが英国RogersのE-20A(96年モデル)という真空管だけれど現代的な音のするプリメイン+Sonus faberのコンチェルティーノ(+純正スタンド)+DenonのDCD-1650GL(と97年からDCD-S10Ⅱ)だった。
    さらに、当時は住宅事情が違って今よりも小さな音量でしか聴けなかった(とは言っても、今よりも-5~10db程度の差のように思うが)。

    そのように、今とは全然違うオーディオ環境だったこともあって、当時の僕はリマスタリングCDに好意的だった。でも今は、使用オーディオのグレード、部屋の響き、再生音量によってリマスタリング以前のCDに含まれる空間成分をそれなりに立体的に再現することができるようになったことで、(言葉通り)気づかなかった音に気づけるようになった。
    だからステレオCDについては、リマスタリング以前のCDの方が再生していて楽しく思える。

    関連して思い出したが、数年前に登場した60年代KinksのRemastering CDの音の良さは、上の例と同じで、楽器や声の生々しさの向上だった。要するに同じようなデジタル処理技術によって生み出された音だと思われる。なので、モノラルに関してはありかもしれないが、ステレオ音源に関しては失なわれたものも多いはずのように思えた。旧Remastering CDやそれ以前の非Remastering CDのステレオ盤は、空間再現に富むオーディオを使っているKinksファンであれば手放さないほうが良い可能性もある(比較はしていないが)。

    最後に、Master Soundの聴き比べサンプルCDだが、実はちょっとずるい手を使っている。それは、Kind of blueの音源が旧CDとMaster Sound盤とで異なっている点。

    旧CDはピッチの速いオリジナルのステレオアナログマスターを元に微妙にリバーブを付加した初回CD音源なのだが、Master Sound盤はその後見つかった3トラックマスター(つまり1世代若いマスター)からremix/remasterによって作られているので音質的には明らかに後者が有利だ。にも関わらず、まるで同じマスターテープから両者が作られたかのような比較をさせているのは明らかに条件が異なっていておかしいと言わざるを得ない。

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    テーマ : オーディオ
    ジャンル : 音楽

    tag : CD stereo SONY Master Sound Miles Davis

    コメント

    Secret

    SMBとサンプルについて

    JDさん、こんにちは。

    ソニーレーベルでは、グールドが好きで何枚も同じものを持っています。
    その中でガッカリしたのがSBM。
    確か16ビットを超える20ビット相当の情報を可能にした技術とかだったかと思います。
    しかしながら、私の耳には音が硬く、これまで聴いてきた音と比べて悪い方向に変化したと感じ、ほとんど聴いていません。

    また高音質ディスクのサンプラーも、初めて聴いた時凄い!と感じました。
    がしかし、後にリマスタリング効果の方が圧倒的に高く、高音質ディスクの性能でないことを知りました。
    つまり、リマスタリングしたものを高音質ディスク化したものだったんです。
    なんだかなぁという感じで、メーカーの手を変え品を変えの商魂が垣間見えた出来事でした。

    なので、CDを買うときは普通のCDで十分と考え購入しています。

    Re: SMBとサンプルについて

    くまくまくんさん、こんばんは。

    > その中でガッカリしたのがSBM。
    > 確か16ビットを超える20ビット相当の情報を可能にした技術とかだったかと思います。

    はい、そういう技術です。で、当時からがっかりされていたんですね。

    > しかしながら、私の耳には音が硬く、これまで聴いてきた音と比べて悪い方向に変化したと感じ、ほとんど聴いていません。

    そうでしたか。僕はSBM登場当時はまだクラシックはLPでしか聴いておらず、Rock/Popsでのマスターサウンド盤は好意的に受け止めていました。今もBirdsやDylanなど手元に残してます。

    > また高音質ディスクのサンプラーも、初めて聴いた時凄い!と感じました。
    > がしかし、後にリマスタリング効果の方が圧倒的に高く、高音質ディスクの性能でないことを知りました。
    > つまり、リマスタリングしたものを高音質ディスク化したものだったんです。

    そういう話、過去にあった気がします。CD素材の変更による音の違いよりも、単純にリマスタリングにより音が変わっていた、っていう話ですね。ありました、ありました。

    で、マスターサウンド盤のサンプルも同じことをやっていたのが1曲目でした。本来比較すべきではない音源になります。

    ところで、SBMによって音が直接音っぽく聴こえるようになったのか、リマスタリングによるものなのか?という疑問も湧いてきました。ただ、SBMそのものが、ある意味ノイズリダクション的な働きをしていることになるので微妙なところですが。

    > なので、CDを買うときは普通のCDで十分と考え購入しています。

    僕はユニバーサルのSHM素材に関しては、正直違いが音に出ているかほぼわかりません。でも、プラチナSHMは違いました。ただし高すぎます。近年登場した素材でなく製造工程の制度を上げたUHQCDはちょっと気になっています。





    No title

    JDさんこんにちは。

    Master SoundやSBMが広くアピールされていた頃は私は比較盤を購入できるほど金銭的に余裕がなかったので、ただただ信じて購入していました。

    私のSBMに対する認識では、確か人間の可聴範囲外の音を切り捨てずに聴範囲内に盛り込むというものだったかと思います。

    私が持っているSBMの主な盤としては『Blonde On Blonde / Bob Dylan』、『Kind of Blue / Miles Davis(Gold disc)』、それからGlenn Gouldのほとんどの盤をもっています。

    そして、それらは自分に関しては未だに結構良い印象を持っている盤です。勿論、現在複数枚所有しているもとはいえ、マスター自体が違うので、全く比較対象にできないわけなんですけど。。『Blonde..』については今ある盤はリマスターされた音圧高めの結構キツイ感じの音なので昔のSBM盤は良いと思っている次第、それから『Kind..』もその後いいマスタリングやリミックスなどがあるけれども、久々聴きたいと思わせる音があるような気がしています。

    比較対象盤が全くないのでアレですけど、音圧高めのものにうんざりしてこの時代のCDを単に好んでいるだけかもしれないです。

    No title

    追伸

    くまくまさんの言われるように、確かに全般的に硬めな金属質な音処理である印象は確かにあったなぁ、と思います。そして、『Highway 61 Revisited』もSBMで持っていたのを思い出しました。これもモノ盤よりも最新ステレオマスター盤よりもSBM盤の音が一番好きなんですよね。

    Re: No title

    Columbiaさん、こんばんは。

    > 私のSBMに対する認識では、確か人間の可聴範囲外の音を切り捨てずに聴範囲内に盛り込むというものだったかと思います。

    僕は知らないのですが、そういう広報宣伝もあったのかもしれないですね。
    でもビットレートを16ビットから20ビットに上げるだけでは、可聴範囲外の音には影響しないはずなので(僕も詳しくは知りませんが)、そのあたりに何かSBMのデータの取捨選択演算?が働いているのかなと推測します。

    > そして、それらは自分に関しては未だに結構良い印象を持っている盤です。勿論、現在複数枚所有しているもとはいえ、マスター自体が違うので、全く比較対象にできないわけなんですけど。。『Blonde..』については今ある盤はリマスターされた音圧高めの結構キツイ感じの音なので昔のSBM盤は良いと思っている次第、それから『Kind..』もその後いいマスタリングやリミックスなどがあるけれども、久々聴きたいと思わせる音があるような気がしています。

    僕も以前書いた気がするんですが、Master soundとして登場したKind of blueやBlonde on blondeは音が良くなった!と喜んで聴いていましたよ。でも、これら2枚は後にマルチトラックマスターからremixし直したremix/remasterと判明して、それなら音が良くなって当然だと思いました(苦笑)。
    とは言え、日本のみだと思いますが、BozやByrds, JanisにDylanのHighway 61などが紙ジャケットSBMで発売され、すぐに飛びつきました。今でも3枚は持ってます。

    > 比較対象盤が全くないのでアレですけど、音圧高めのものにうんざりしてこの時代のCDを単に好んでいるだけかもしれないです。

    それもありえますし、Milesのサンプラーを聴く限り、確かに空間表現・再現は劣りますが、音が直接的に聞こえるのでRock系には向いているのかもしれません。

    Re: No title

    Columbiaさん、追伸にもお返事を。

    > くまくまさんの言われるように、確かに全般的に硬めな金属質な音処理である印象は確かにあったなぁ、と思います。そして、『Highway 61 Revisited』もSBMで持っていたのを思い出しました。これもモノ盤よりも最新ステレオマスター盤よりもSBM盤の音が一番好きなんですよね。

    『Highway 61 Revisited』は、僕も今の家に越すまで同じ意見でした。これは、昔からずっと同一マスターが使用され続けているので、比較すると面白いかもしれません。



    プロフィール

    JD

    Author:JD
    自分の感覚としては(昔の?)ラジオDJのネット版のようなもののつもり。今日本では7インチ「シングル」盤のことを誤って「EP」と表示するような有様となり、言葉の不理解と誤用の蔓延に落胆している。「EP」は「シングル(=片面1曲、両面で2曲収録)」よりも曲数を多く収録する(標準は4曲、3曲や5曲や6曲の場合もあり)意味のExtended Playingの略。どうかシングル盤とEPとを正しく使い分けて欲しい。

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