Art Blakey and the Jazz messengers

    『Moanin’』としても知られるArt Blakey and the Jazz messengersのBlue noteでの第1弾『Art Blakey and the Jazz messengers』はJazz名盤の1枚で、僕も大好きなアルバムだ。

    おかげで、ジャケット、プレス時期、mono/stereoなどが異なる同一盤を何枚も持っている。
    今回は初期盤と2012年に出たBLUE NOTE プレミアム復刻シリーズ盤とを比較。

    ABJM (34)
    *左:初期盤、右:BLUE NOTE プレミアム復刻シリーズ




    『Art Blakey and the Jazz messengers』は、1958年10月の録音だが、このアルバムの収録セッションまでRudy Van Gelderは録音に際してはモノラルと2トラックステレオの2台のレコーダーでそれぞれモノラルとステレオを録音していた。

    その後に収録されたBlue noteの作品は、ステレオ録音のみとなり、モノラル盤はステレオマスターを50/50でミックスダウンしてモノラルで発売していた。そのため、このアルバムのモノラル盤がBlue noteにおける最後の正真正銘のモノラル録音だ。

    ABJM (29)
    *手持ちの盤の状態の良いもの(NOTEの下にRマークなしが最初期だと思う)

    Blue note録音と言えば、RVG録音、RVGカッティングによるオリジナル盤の音が古くからのジャズファンにとっては理想的というかあるべき姿と思われているような気がする。だから、再発盤においてもRVG刻印を探してしまうBlue noteファンが絶対多数派を占める気がする。

    ABJM (10)
    *BLUE NOTE プレミアム復刻シリーズ

    そんな中、RVG録音のマスターテープの音をフラットに届けるというコンセプトで登場した某DU主導の『BLUE NOTE プレミアム復刻シリーズ~From The Original Master Tapes~ MONO』は、RVG刻印とはまったく違うカッティング(マスタリング)の音を届けていることになるわけだが、ハイエンドオーディオを使用し、大きめの音量で聴ける(聴いている)人は、こちらのほうが実際の収録時の音を聴けるレコードだと僕は捉えている。要するに、生音に近いのはこちらという考えだ。

    なぜならRVGカッティングとは、カッティングに際して針飛び防止にLowカット、Highカット、そして強いコンプレッサーをかけた音だったわけで(特定帯域のブーストもあったかもしれない)、今で言えば「音圧高めでダイナミックレンジには目をつぶった」マスタリングに近いものだったのだから。
    音質的にも(マスターテープとの比較で)ナローレンジになってしまうし。

    でも、それは無理もない。当時のBlue noteレコード購買層が使っていたのは今で言うスピーカー付のポータブルレコードプレーヤーが多数派だったろうから、それでアーティスト(グループ)の音を伝えるようなカッティング(マスタリング)……つまり、小音量再生でも生で聴く時のようなガッツのある音になるよう、音の加工をせざるを得なかったわけだ。

    だから、現代のハイエンドオーディオで大音量再生すると強調感(loudness)が過剰になってしまう。小音量、あるいはBGMにしてはややうるさいぐらいの音量が本来ちょうど良い再生レベルだろうか。

    ABJM (14)
    *ジャケット裏面の住所表示、上2枚はオリジナル(上が古い)、一番下が復刻盤

    で、そのBLUE NOTE プレミアム復刻シリーズからの『Art Blakey and the Jazz messengers』だが、RVG刻印ありの初期プレスとは刻まれた平均音量レベルが全然違っていて、聴き比べる際にはプリアンプの再生ボリューム位置を大きく動かす必要がある。

    ダイナミックレンジが異なるので、平均音量を初期プレス並みにして聴いていると、ドラムロール部分や盛り上がり部分でどっと音量があがって驚かされる。生演奏を聴いている人ならプレミアム復刻シリーズのカッティングこそがより生に近いこととわかることだろう。
    演奏音量の強弱の再現力が優れるほど、演奏者の意図が伝わる(つまり、表現力が高い)。

    プレスされた音もフレッシュだし、大きな音量で聴くならば、音質に関しては明らかにこちらがオーディオ的に好ましいと思える。(この点に関しては、僕がRVG刻印なしの再発盤を探す理由にもなっている。)

    また、レコードそのものはジャケット同様にできる限り当時のプレスを再現するということで当時のプレス機を使った荒っぽい?米国プレスであることも雰囲気が良い。

    ABJM (4)
    *復刻盤レーベル

    このシリーズ、以前にも一度紹介したことがあり、その際に次のように記している。「Blue noteのオリジナル盤のうち数枚はmonoも持っているので(ただし、プレス時期はざまざま)、いずれは比較できるようなタイトルも購入したい。」
    そのときは、残念ながら比較できるタイトルではなかった。

    しかし、その後今回の『Art Blakey and the Jazz messengers』を購入しての結果としては、値段相応の商品だと思うようになった(でも懐具合から、欲しいタイトルは全然購入できていない……)。いや、現代的なオーディオセットと情報量を余すところなく引き出す狙いのレコードプレーヤー使用の場合には、高価なオリジナル盤よりもこちらが買いだと思う。


    最後に、以下のブルーレイ-Audioディスクはステレオマスターなので直接比較はしないが、商品の性格としてはプレミアム復刻シリーズと似ている。音量を上げて聴かないことにはあまり真価が発揮できないし、オーディオ機器も現代的なもののほうが合うと思う。

    ABJM (1)
    *今も1080円で売ってる?







    関連記事
    スポンサーサイト

    テーマ : 洋楽
    ジャンル : 音楽

    コメント

    Secret

    モーニンいいですね。

    JDさん、おはようございます。

    私がJAZZのレコードを買うきっかけになった作品です。
    「美の壷」のタイトル音楽で知っていたし、当時MusicMattersのシリーズの新譜で発売していて、ジャケット写真のクオリティ、何よりケヴィン・グレイのカッティングが素晴らしいです。
    オリジナルは分かりませんが、MusicMattersの再発盤もありだなと思えた1枚でした。

    JDさん、こんばんは。

    最近、ブルーノートを含めモダンジャズを中心に、それこそ貪るように聴いていることもあり、大変興味深く読ませて頂きました。

    先日始めてブルーノートの、大義で言うところのオリジナル盤(RVG刻印あり)を入手したのですが、「初めてブルーノートのオリジナル盤を手に入れた!」と感動したのと同時に、音作りに関しては、(記事でご指摘されてあるのと同じく)当時の再生環境や、聴かせたい音を強調することに考慮したものなのだなと、少し冷静に捉えました。いずれにせよ、ジャケットなども含め当時の雰囲気を感じられて大変良かったのですが。

    日本に限った話ではないと思いますが、何かひとつのものを絶対的に、あるいは神格化して捉えてしまう傾向が中古市場価格に出てしまっている気はしますが、手掛けた作品数が多いことや、盤を見てすぐに判別が出来ることを踏まえると、RVGをひとつの音作りの基軸というか指標のようなものにすると、これから色々と聴き進める際に比較がしやすいのかなと思いました。

    ステレオですがキング盤の音は臨場感があって好きだなと思っていたのですが、今回の記事を読んで、DU主導の再発盤も聴いてみたくなりました。

    Re: モーニンいいですね。

    くまくまくんさん、こんばんは。

    > 私がJAZZのレコードを買うきっかけになった作品です。

    へー、そうでしたか。

    > 「美の壷」のタイトル音楽で知っていたし、当時MusicMattersのシリーズの新譜で発売していて、ジャケット写真のクオリティ、何よりケヴィン・グレイのカッティングが素晴らしいです。
    > オリジナルは分かりませんが、MusicMattersの再発盤もありだなと思えた1枚でした。

    あれ?MusicMattersから出てましたっけ?それは知りませんでした。
    僕はAnalog productionsからの45回転2枚組を買いましたが、MusicMattersから出ていたならそっちで欲しかったですね。
    ジャケットの作りが全然違います。APからのはシングルジャケットにLP2枚を押し込んであるだけ(苦笑)。
    音は相応です。ステレオ盤でした。



    No title

    こんばんは、プレミアム復刻盤は全部聴きましたが音に関しては当たり外れがかなりあったように思っています(特にベースとドラムがダメなものが多かったように記憶しています)。

    レコードに何を求めるかは人によって違うと思うので一概には言えませんが、Blue Note=Van Gelderの音、と捉えている人にはプレミアム復刻盤は所詮偽物で聴くに値しないでしょうし、RVG?そんなの関係ないよ、雰囲気が良ければそれで良い、と言う人にはとても良い復刻だったのではないでしょうか?*お値段が安ければもっと良かったと思います

    個人的にはLiberty盤等の後発でもRVG入りのほうが聴く価値はあると思いますが、人それぞれでしょうね。

    Re: タイトルなし

    まさとしさん、こんばんは。

    > 最近、ブルーノートを含めモダンジャズを中心に、それこそ貪るように聴いていることもあり、大変興味深く読ませて頂きました。

    そうですか。それはタイミング良かったというべきか悪かったというべきか(笑)。

    > 先日始めてブルーノートの、大義で言うところのオリジナル盤(RVG刻印あり)を入手したのですが、「初めてブルーノートのオリジナル盤を手に入れた!」と感動したのと同時に、音作りに関しては、(記事でご指摘されてあるのと同じく)当時の再生環境や、聴かせたい音を強調することに考慮したものなのだなと、少し冷静に捉えました。いずれにせよ、ジャケットなども含め当時の雰囲気を感じられて大変良かったのですが。

    RVGカッティングに関しては、僕は58年録音のオリジナルモノラル盤を3枚、58~64年のステレオ盤を何枚か持っているだけで、他はLiverty,UAなどの再発盤での刻印ありがほとんどです。
    それらを聴く限り、58年録音とその後の録音とでは(大まかな印象ですが)後年になるほどコンプのかけ具合が弱まっている気がするので、レコードの再生環境の変化に応じてカッティングも変わったのだろうと考えています。
    なので、全てが『Moanin’』と同様の音作りではないと思っています。

    > 手掛けた作品数が多いことや、盤を見てすぐに判別が出来ることを踏まえると、RVGをひとつの音作りの基軸というか指標のようなものにすると、これから色々と聴き進める際に比較がしやすいのかなと思いました。

    それは言えてますね。僕の場合、それに加えて近年の高音質盤やCD,SACDなども聴いて、RVGカッティングの変化よりもオリジナルマスターはいったいどんな音だったのか?ということのほうに興味が向いてしまいました(笑)。

    > ステレオですがキング盤の音は臨場感があって好きだなと思っていたのですが、今回の記事を読んで、DU主導の再発盤も聴いてみたくなりました。

    Liverty,UAなどの再発盤が東京では1000円ちょいで買えるので、DU主導のシリーズはお気に入りの盤あるいは格安盤(笑)にとどめておいたほうがいいかもしれないですよ。もし東京にお住まいだったらの話ですが。

    Re: No title

    新たな通りすがりさんなのか、過去に登場した通りすがりさん(二人は覚えています)なのかわかりませんが、こんばんは。

    > こんばんは、プレミアム復刻盤は全部聴きましたが音に関しては当たり外れがかなりあったように思っています(特にベースとドラムがダメなものが多かったように記憶しています)。

    全部聴いたんですか、それはすごいですね。それにしても、当たり外れありがかなりありましたか……僕は3枚しか持っていないのでそこまではわかりません。情報ありがとうございます。

    > レコードに何を求めるかは人によって違うと思うので一概には言えませんが、Blue Note=Van Gelderの音、と捉えている人にはプレミアム復刻盤は所詮偽物で聴くに値しないでしょうし、RVG?そんなの関係ないよ、雰囲気が良ければそれで良い、と言う人にはとても良い復刻だったのではないでしょうか?*お値段が安ければもっと良かったと思います

    このシリーズはRVGが録音したマスターテープ、つまり、当時も使用されたオリジナルマスターテープを使用しているので、RVG録音がどういう音だったのか知る上で非常に良い気がします。当然、経年劣化があるので最上の音とは言えないだろうとは思いますが、ダイナミックレンジに関して言えばこちらのほうが生に近くなります。

    ただ、RVGサウンドが長年ずっと好きだった方にとっては、RVGカッティングとは別な音を聴かされるので、タイトルによっては全然違う音の場合も想定されますね。そうなると、RVGがカッティングの際に行ったマスタリングが、どれほど録音されたマスターテープを味付けしていたか、その差が窺い知れる点でも興味深い気はします。好き嫌いは別として。

    ただ、僕もフラットトランスファー=最高の音だとは思っていない(と以前にも記してます)ので、当たり外れは出るでしょうね。でも、やっぱり挑戦的なシリーズではないでしょうか。
    値段は相応だと思うものの、正直安くはないですね。5千円以上出すのはよっぽどのお気に入り盤でないと。

    > 個人的にはLiberty盤等の後発でもRVG入りのほうが聴く価値はあると思いますが、人それぞれでしょうね。

    LibertyやUAの再発盤でRVGマーク入りとなしとを聞き比べるのも面白いですよ。再生音量によって印象も変わりますし。



    プロフィール

    JD

    Author:JD
    自分の感覚としては(昔の?)ラジオDJのネット版のようなもののつもり。 日本では7インチ「シングル」盤のことを誤って「EP」と表示するような有様となり、言葉の誤用がこれほどまでに蔓延していることに落胆している。「EP」は「シングル(=片面1曲、両面で2曲収録)」よりも曲数を多く収録する(標準は4曲、3曲や5曲や6曲の場合もあり)意味のExtended Playingの略

    最新記事
    最新コメント
    最新トラックバック
    月別アーカイブ
    カテゴリ
    カレンダー
    01 | 2018/02 | 03
    - - - - 1 2 3
    4 5 6 7 8 9 10
    11 12 13 14 15 16 17
    18 19 20 21 22 23 24
    25 26 27 28 - - -
    検索フォーム
    RSSリンクの表示
    リンク
    ブロとも申請フォーム

    この人とブロともになる

    QRコード
    QR