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    MEATY BEATY BIG AND BOUNCY

    1990年代の半ば以降になってからは、このベスト盤の価値は半減どころかほとんど必要なくなった感がある。

    1971年に登場したWhoのベスト盤『MEATY BEATY BIG AND BOUNCY』。

    MBBB2018 (27)
    *左:米国盤、右:英国盤


    僕がこのLPを手に入れた当時(1980年代初頭)、英国Brunswick時代の音源はこれでしか聞けない状況だった。今では本当に状況が変わってしまって、あの時代を知らない人には全く実感できないだろうけれど。

    それと、当時はTrack recordsの英国輸入盤そのものも非常に高額だった。
    例えばBeatlesの米国Capitol盤を買う理由は、日本盤よりも安価(2000円未満)だったからと言えるが、Whoの場合、オマケ付の『Live at Leeds』は英国盤でしか買えなかったし『MEATY BEATY BIG AND BOUNCY』も僕の住んでた地域では米国盤が出回っておらず高価な英国盤(3000円超え)を、それこそかなり思い切って購入するしかなかった……。

    と、どうしてもLPの内容よりも手に入れるのが困難だった当時の状況の方を言いたい欲求にかられてしまう。

    MBBB2018 (19)
    *ジャケット裏面、上:米国盤、下:英国盤(曲目表示なし)

    でも、そのように大変な思いをして買っただけあって、このアルバムを良く聴いたのも事実。

    特にA-1、B-1に収録された1stシングルと2ndシングルは最高だった。
    あの頃、他でこの2曲が聴けるのはサントラの『The kids are alright』に収録されたTV出演時のライブだけ。だから、本当によく聴いた。

    収録内容だが、『The seeker』を含む4曲だけがtrue stereoで、初期の2枚のシングルを含む4曲はmono、その他大勢は擬似ステレオでの収録。でも、内ジャケットに付いてる印は誤っていて、true stereo収録の(再録されたlong versionの)「I'm a boy」までも擬似ステレオ印が付いている。

    MBBB2018 (18)
    *英国盤ジャケット内側

    MBBB2018 (14)
    *米国盤ジャケット内側

    購入当時、個人的に面白かったのは、「Boris the spider」のmono mix。当時、ほぼ同時期に国内Polydorから限定発売されていたLP『A quick one』にはステレオミックスが収録されていた。ゴリゴリしてぶっとい音で聴けるmono mixは新鮮だった。

    でも、それも今となっては、ね……。

    そうなると、今も価値があるのは「Magic bus」のlong versionが(擬似ステレオで)聴ける点か?

    前述の「I'm a boy」long version(と言うか、完全別録音)は面白かったけれども個人的にはがっかりした。テンポの速いシングルバージョンが聴きたかったので。
    他に残念だったのは、「Kids are alright」。間奏をカットした編集バージョンだった。

    最近聴きなおしていて、気になったのが「Legal matter」の収録。
    これ、WhoとShel Talmyがバチバチやっている時に発売されたシングルだけど、シングル曲として見たら魅力に欠ける。『MEATY BEATY BIG AND BOUNCY』発売時点では英国1st『My Generation』は廃盤だったから、1曲でも多くBrunswick時代の音源を収録したかったのだろうか。

    さて、昨年発売の再発LPは、以前『Live at Leeds』について記した際に軽く触れた通り、英国オリジナルに忠実なマスター音源を使用しており、モノラル、ステレオ、擬似ステレオはそのままとなっている。

    MBBB2018 (4)
    *2017年の再発盤LP

    カッティングは恒例のMiles ShowellによるAbbey road studio ハーフスピードカッティング。

    MBBB2018 (1)
    *ステッカー

    LP再発に当たって、これも恒例のJohn Astreyのremasteringとなっていて、全体的にオリジナルLPよりも低音域が強調されている。おかげで、「Can't explain」間奏のリードギターの最後の部分で、低域が飽和してほとんど歪みかけ寸前のような音になっているのが残念。

    英国オリジナルLPは僕が初めて買った80年代初頭のプレスもマトリクスは両面1で、run off grooveにPorky …の刻印がある。

    MBBB2018 (10)
    *英国オリジナル盤のレーベル

    年末年始、久しぶりに英米のオリジナルを聴いた際に、思った以上に米国盤の音質に惹かれた。音量を上げて聴くのなら、米国盤の音質のほうが好みだった。これを聴くと、今回の再発盤は、音源の差し替えがない以上、全く不要だったなと思えた。

    英国盤でも米国盤でも同じなのだが、A面を聞き続けて行くと「I can see for miles」で明らかに音質のレベルが一気に上がる。視界がぱっと開けるように空間が広がる。これには思わず、おっ!と声が漏れる。
    それに、大音量で聴いていると(微妙だが)超低域の存在が確認できる。B面では「Pinball wizard」で同様の状況となる。
    僕にはこの2曲の(それ以前の曲との)音質差こそが、このLPのオーディオ的な醍醐味だ。

    MBBB2018 (22)
    *米国オリジナル盤

    なお、ジャケットが両面コーティングされた西ドイツ盤は、モノラル曲も独自に擬似ステレオ化してあったりして、音質がいま一つ良くない。マニア・コレクター以外は手を出さない方が良いだろう。

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    テーマ : 洋楽ロック
    ジャンル : 音楽

    tag : Who ザ・フー レコード LP 英国盤 米国盤 音質 MEATY BEATY BIG

    コメント

    Secret

    No title

    先日は、Who's Next関係でご教示頂き、ありがとうございました。

    このベスト盤、ジャケが印象的ですよね。
    そして音量上げていった際に、UKオリジナルよりも米国盤に聞き所があるのが興味深いです・・・!

    Re: No title

    オッティさん、こんばんは。

    > このベスト盤、ジャケが印象的ですよね。

    ジャケットデザインはなかなか格好良いと思っています。特にタイトルが小さい英国盤が。

    > そして音量上げていった際に、UKオリジナルよりも米国盤に聞き所があるのが興味深いです・・・!

    僕のオーディオだと、音量を上げると米国盤の音のほうが自然な音に聞こえるんですよ。
    それと「Kids are alright」の擬似ステレオは、英国盤よりも中央に音がまとまっていて聞きやすいです。カッティング/マスタリング時に何か細工したのかな?と思ってしまいます。


    プロフィール

    JD

    Author:JD
    自分の感覚としては(昔の?)ラジオDJのネット版のようなもののつもり。今日本では7インチ「シングル」盤のことを誤って「EP」と表示するような有様となり、言葉の不理解と誤用の蔓延に落胆している。「EP」は「シングル(=片面1曲、両面で2曲収録)」よりも曲数を多く収録する(標準は4曲、3曲や5曲や6曲の場合もあり)意味のExtended Playingの略。どうかシングル盤とEPとを正しく使い分けて欲しい。

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