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    Absolutely Free 50周年記念3面LP

    Frank Zappa率いるMothers of Inventionの2ndアルバム『Absolutely Free』の50周年記念盤が発売となった。2LP仕様の3面盤だ。

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    *シュリンクありで撮影、右は付属のブックレット(当時US$1でもらえたみたい)

    このアルバムも1967年の発売だったわけだが、当時どれだけ聴かれたか(つまり、売れたか)不明だけれど、明らかに衝撃作だったに違いない。今聴いても問題作だ。


    昔MSIから国内仕様盤として発売されていたCDの日本語解説に、PaulとJohnがこのアルバムのアドバンスドコピーを手に入れて、当時制作中だったアルバムにいくつか手法を取り入れた(ぱくった)ことをZappaが知って怒り、お前たちは金のためにやっているだけだろうとSGTのパロディジャケットのアルバム『We're only in it for the money』を当て付けに出したような話が載っていた(はず)。
    でも、その真偽に関しては僕は知らない。

    けれども、『Absolutely Free』を聴くと、その話はあながち間違いではないのかもと思えてしまう。
    と言うのも、このLPはA面、B面と、それぞれひとつのsuit(組曲)となっている。そして、B面の組曲では、1曲目と最終曲は同じ曲(別バージョン)となっている。
    さらに言えば、このアルバムは、それまでのLPにあったような曲間が無い。

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    *ジャケット裏面とブックレット裏面

    録音そのものは66年の11月に終えており、当時のミキシング作業を考えると1ヶ月程度で終えていると思われるから67年1月には完成していたのではなかろうか。しかし前作(1stアルバム)同様にVerveからの発売が遅れ、アドバンスドコピーが英国にも流れてしまった。
    ようやく発売(67/5終わり)に漕ぎ着けたら、数日後にはBeatlesのSGTが出てしまった……評論家も世間もBeatlesに向くに決まっている。何せ人気は桁違いに違うのだから。

    とは言えこのアルバム、同時期の米英ロック音楽界関連の人々にとっては、一般の人たち以上に衝撃だったことだろう。
    どうやったら、こんなに高度な音楽性をもって、ハチャメチャで笑えるようなコーラスアレンジや(たぶん、皮肉に富む歌詞)、ジャズ・クラシック・前衛・ドゥーワップ・ハードロック的な演奏、さらには、途中で何度も変化する難解な曲構成、それを短いパートずつ録音して編集しつなげたと思われる制作手法など、をやってのけることができたのだろう?アナログテープレコーダーの時代にこんなことをやっていた人はFrank Zappaだけなのではなかろうか?(いや、僕が知らないだけなのかもしれないし、デジタル時代でも大変だ)。

    あまりにいろんな面で凄すぎて、昔から紹介したいと思っていてもなかなか踏ん切れなかった。今回の50周年2LPが出て幸いだった。

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    *LP2枚目の裏面はエッチング仕様

    僕はRykoからの輸入CDで初めて知ったので、国内仕様CDのライナーの話を知ったのは、友人を介してもっと後のこと。
    でも、そんな話よりも、何よりもその音楽がすごかった。

    特に驚いたのが、A面1曲目の大統領登場のシーン(笑)~ルイ・ルイのリフがPlastic peopleに変化するスリリングさ。あるいは、B面1曲目のジャズ風ハイハットにおかしなコーラスが乗って(笑)、まさか、その上に全然違う拍子の曲を乗せる格好良さに驚かされた。
    これらはあくまで一部であって、本当に最初から最後まで驚きの連続だった。
    しかも、CDではLPのA面部分が終わるとシングル曲が2曲挟まり、その後B面部分へと言う流れなので、レコードのA面、B面をしっかりと感じさせる構成となっていた。

    難を言えばやっぱり音質になると思う。手の込んだ録音をしているせいだが、元来それほど良い音で録音していないベーシックトラックの上にいっぱい音を重ねてあるので、どうしてもリズム隊の音が悪い。次の『We're only in it for the money』の録音には特注の5トラックレコーダーを使ったと後のインタビューで話していたことから推測すると、『Absolutely Free』は4トラックレコーダーでの録音だったのでは。

    もう一つ言うなら、やはりその音楽性は個性的なので好き嫌いがはっきりするだろう。彼らは万人受けを狙ったグループでないだけでなく、非常に革新的だった。僕も中学生の時に聞いたら、まったくついて行けなかっただろう。

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    *こちらは米国オリジナルステレオ盤のレーベル

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    *こちらは米国オリジナルモノラル盤のレーベル

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    *こちらは米国MGMのプロモ?盤のレーベル、レコードはVerveとは別カッティング

    さて、今回発売された50周年記念3面LPは、レコード1枚目がオリジナルのまま。レコード2枚目(の片面のみ)に当時のシングル曲やラジオ宣伝などを収録。

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    *50周年記念盤に貼られたシール(クリックで拡大)

    そして、レコード1枚目に関しては、オリジナルアナログ・ステレオマスターから全アナログ工程でのカッティングとなっている。エンジニアは Bernie Grundman。

    僕の持ってる米国オリジナルステレオ盤は、ほとんど聴かれていないEX+レベルなので、音質評価には持って来い。それで、両者を比較すると、今回の盤はほぼ互角のように思えたが、低音域は50周年記念盤の方が音が弾むような柔らかい印象を受けた。

    オリジナル盤の盤質の良いものを買うよりも、50周年記念盤の方が安価だと思うので十分にお勧めできる。


    おまけ:オリジナルステレオ(手前)とモノラル(奥)盤のジャケット
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    テーマ : 洋楽ロック
    ジャンル : 音楽

    tag : Absolutely Free 50周年記念 LP レコード Frank Zappa フランク・ザッパ

    コメント

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    No title

    JDさんこんにちは。

    Frank Zappaはすごいですよね。実際聴いている人にはなかなか出くわさないですけど。初めて本格的に聴いた時の衝撃は忘れられません。ファーストアルバムのぶっとび具合もすごいですけど、このアルバムもすごいですね。

    この人の何が凄いかってビジネスマンとしても凄いしプロデューサー、音楽家、パフォーマーとしても凄い。オーケストラの譜面を書いたり実際指揮までしたりと。。さらに音楽の中身に至っては奇想天外、エロ・グロ、ナンセンスと何でもあり。早くに亡くなったのが本当に悔やまれます。

    このアルバムも出たものの買うつもりはなかった(『Freak Out』の再発LPの音があんまりすきじゃなかったので)のですが、こうして音質評価などでなかなかよさそうだと知ってしまうと食指が動きそうです。。

    Re: No title

    Columbiaさん、こんばんは。

    > Frank Zappaはすごいですよね。実際聴いている人にはなかなか出くわさないですけど。

    僕の周りも今は音楽を趣味にしてる人そのものがほとんどいなくなったので、 Frank Zappaを聴いてる人はいないかもしれません。でも30代頃まではそれなりに聴いてた知り合いは多かったですよ。振り返ってみると驚きますね。

    >初めて本格的に聴いた時の衝撃は忘れられません。ファーストアルバムのぶっとび具合もすごいですけど、このアルバムもすごいですね。

    いやぁ、このアルバムがもし普通にすんなりと発売されていたら、Rockの歴史が微妙に変わっていたかもしれないですね。それぐらいの衝撃だったと思います。今回の3面LPに収録されたラジオスポットで本気のアピールをしているのを聞くと、かなり自信があったのでは?と思いました。

    > この人の何が凄いかってビジネスマンとしても凄いしプロデューサー、音楽家、パフォーマーとしても凄い。オーケストラの譜面を書いたり実際指揮までしたりと。。さらに音楽の中身に至っては奇想天外、エロ・グロ、ナンセンスと何でもあり。早くに亡くなったのが本当に悔やまれます。

    僕はほとんど60年代オンリーのファンなので、それ以降の作品は友人からもらったCDを聴いた程度ですが、その存在は亡くなるまでずっと気になってました。

    > このアルバムも出たものの買うつもりはなかった(『Freak Out』の再発LPの音があんまりすきじゃなかったので)のですが、こうして音質評価などでなかなかよさそうだと知ってしまうと食指が動きそうです。。

    今回の再発盤、ある意味オリジナルに忠実なので逆にColumbiaさんには勧め辛い気もします。音質は『Freak Out』の方が最初から良い(ダビング回数が少ない)ので、あれをさらに抜けの悪い音にしたような……。



    No title

    JDさんこんばんは。

    >今回の再発盤、ある意味オリジナルに忠実なので逆にColumbiaさんには勧め辛い気もします。音質は『Freak Out』の方が最初から良い(ダビング回数が少ない)ので、あれをさらに抜けの悪い音にしたような……。

    私が持っている『Freak Out』の再発 LPは1966年のオリジナル・ステレオ・ミックスなのですが、1987年にデジタル化されたマスターが使われており、イコライジングか何かでアナログらしからぬキンキンとした耳障りのする音でとても聴いていられないのです。それと比べたらそれでも聴きやすそうだなと想像しております。

    Re: No title

    Columbia さん、こんばんは。

    > 私が持っている『Freak Out』の再発 LPは1966年のオリジナル・ステレオ・ミックスなのですが、1987年にデジタル化されたマスターが使われており、イコライジングか何かでアナログらしからぬキンキンとした耳障りのする音でとても聴いていられないのです。それと比べたらそれでも聴きやすそうだなと想像しております。

    確かに『Freak Out』の近年の再発ステレオLPやRykoからの旧ステレオCDは、高域に固有の音色がありますね。
    幸い、僕にはキンキンとしたとまでは感じないですが。
    残念ながら『Freak Out』の米国オリジナルステレオ盤を持っていないので、あの音が再発のみなのか、最初からなのかがわかりません。



    プロフィール

    JD

    Author:JD
    自分の感覚としては(昔の?)ラジオDJのネット版のようなもののつもり。今日本では7インチ「シングル」盤のことを誤って「EP」と表示するような有様となり、言葉の不理解と誤用の蔓延に落胆している。「EP」は「シングル(=片面1曲、両面で2曲収録)」よりも曲数を多く収録する(標準は4曲、3曲や5曲や6曲の場合もあり)意味のExtended Playingの略。どうかシングル盤とEPとを正しく使い分けて欲しい。

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