『Empty glass』の英国カッティング

    前回の話、発端は『Empty glass』だった。

    ひと月ほど前だろうか、Pete Townshendのソロアルバムを整理していて、アルバム『Empty glass』のLPやCDをかき集めていた。

    emptyglass (11)
    *左から英米独盤

    CDを聴きながら、歌詞やクレジットが掲載されたLPの内袋に目を通していると、「mastered at Sterling sound NYC」が目に入った。



    emptyglass (17)
    *クリックで拡大

    そのクレジットは手持ちの英米独盤(日本盤のみ見つからず)全ての内袋に入っているので、もしかして全て共通に米国プレス(あるいは米国の原盤使用)なのか?と興味を抱いた。

    それぞれの盤面を見ると、ドイツ盤のB面だけは音溝が確実に異なっているので、独自カッティングのように思えたが、英米盤両面と独A面は非常に似通っていた。ほぼ同じに見える。

    そこで、それぞれの盤のrun-offに刻まれた情報を確認した。
    すると、次の手彫りの文字が確認できた。

    独A面:timtom-cbs-england
    米A面:timtom-cbs-england
    英A面:timtom-cbs

    しかも、独米は手彫り書体も完全共通。
    ここから判断するに、A面は英国でカッティングされた原盤を使用していると考えて間違いないだろう。

    次にB面。英米盤はほぼ同じ幅で各曲の溝が切られているから、これも共通なのだろうと、たった今再度調べるまで思い込んでいたが、光にかざした際の音溝の具合が異なっていた。この場合、音の強弱が異なってくる。つまりマスタリングが異なるわけだ。
    そこで、これについてもrun-offに刻まれた情報を確認した。

    米B面:手彫りでSLM・・・これはSterling Soundでのカッティングを表す(ような・・・)
    *もしかするとカッティングでなく、プレスを表していたのかも?はっきりと覚えておらず
    英B面:手彫りでTy-CBS・・・これは単純にCBSのTYによる、と考えた(A面のtimtomか?)

    という事で、米国B面にTy-CBSの彫りもないことから英米で異なる原盤が使われていた。ドイツ盤も異なっていたので、B面は各国の狙った音になるのだろう。

    emptyglass (12)
    *内袋:左から英米独盤

    このように、少し前に『Empty glass』のカッティングを調べていた後に、Glyn Johnsの著書を読んでいて久しぶりに『Who’s next』が聴きたくなり、前回の話に辿り着いた次第。

    で、『Empty glass』だが、ここ何年も聴いていなかった間に、僕は歪っぽい音が苦手になってしまったこともあり、これについてはLPよりも90年代の初めに米国で発売されたGold Standard collectors’edition……オリジナルマスターからのremaster CD(By Ted Jensen at Sterling Sound)を一番良く聴いている。

    emptyglass (6)
    *Gold Standard collectors’edition、箱入り、Gold CDとマスターテープ写真等の載ったブックレット付属

    emptyglass (2)
    *手持ちのCDはこの2枚のみ(しかも、国内盤は買ったまま今年まで聞かず棚で新品のまま長年眠っていた)

    この度登場する再発LPの音にも期待している。

    その他として、Whoファン用の情報としては、1982年の実質的ラストアルバムの『It's Hard』は、英米独日ともに(各国の初版については)共通の原盤を使ってプレスされている。
    英国盤以外はバーゲン価格で叩き売りされているが、どれを聴いても音質はほぼ変わらない。




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    テーマ : 洋楽ロック
    ジャンル : 音楽

    tag : Empty glass カッティング 英国 米国 レコード LP Pete Townshend

    コメント

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    JDさん おはようございます

    各国盤 各種お持ちでコレクター魂に脱帽です。

    うちには国内盤と’90年頃に買ったUS盤があります。
    国内盤は国内カッティングでした。
    US盤は両面にtimtom-cbs-englandとありました。

    カッティングの差異って微妙な違いなんだろうけど奥が深いですねぇ...

    Re: タイトルなし

    Goxさん、こんばんは。

    > うちには国内盤と’90年頃に買ったUS盤があります。
    > 国内盤は国内カッティングでした。
    > US盤は両面にtimtom-cbs-englandとありました。

    そうですか。国内盤はともかく、US盤のB面もtimtom-cbs-englandのプレスが存在するんですね。
    そちらが初期プレスなのかもしれません。
    SLMという彫りは入っているのか?気になりました。

    > カッティングの差異って微妙な違いなんだろうけど奥が深いですねぇ...

    どこまで音質に差が出るかですけど、明らかな違いが出ているかどうかは、アルバムごとに異なる気がします。

    おはようございます

    うちのUS盤はインナースリーブがアトランティックの汎用スリーブなので初盤とは程遠い物でして...

    マトは
    timtom-cbs-englandに続く文字列が
    A面 O-1 SM3-1 ST-C-804437-D SP
    B面 ST-C-804438-D SP O-2 SM3-1
    となってました。

    Re: タイトルなし

    Goxさん、こんばんは。追加情報ありがとうございました。

    > うちのUS盤はインナースリーブがアトランティックの汎用スリーブなので初盤とは程遠い物でして...

    へー、ということはレイトプレスなのでしょうね。

    > マトは
    > timtom-cbs-englandに続く文字列が
    > A面 O-1 SM3-1 ST-C-804437-D SP
    > B面 ST-C-804438-D SP O-2 SM3-1
    > となってました。

    そうですか。
    やはり、僕の盤とはB面が異なりますね。
    見たところB面も英国プレスの原盤。

    もしかすると、発売当初から2種類(あるいはもっと多く)の原盤が使われていて、僕が買ったものが偶然英国プレス原盤でなかった可能性もあります。
    まぁ、今のところどちらの音質が優れるとかわかってないので、とりあえず情報として蓄えているところです。

    Beatlesの国内盤みたいに、音質が劣るコピーテープを使用した国内プレスは嬉しくないですが、同一マスターテープを使っての別カッティングならば、音質にそれほど開きは出ない気もしますし。




    プロフィール

    JD

    Author:JD
    自分の感覚としては(昔の?)ラジオDJのネット版のようなもののつもり。僕は1970年代のオーディオ全盛期の最後に属する世代で、ペアマイク持参で生録に挑戦した世代。国内盤LPが高価だったので輸入盤を買っていた、そういう中高生時代を過ごした。

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