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    アルバム『Who’s next』の米国カッティング

    1971年8月発表のアルバム『Who’s next』は、Whoの最高傑作だと言われることもあるし、僕もWhoの代表作に間違いないと思っている(最高傑作かどうかは別として)。

    LPは、英国に先駆けて米国で(2週間早く)発売された。

    whosnext (1)
    *米国オリジナル盤

    表ジャケットに採用されたのは7月に撮影された立ちション写真だ(笑)。



    『Who’s next』のジャケットは当初、太った女性の裸の写真(しかも、美しいものでなく醜悪なもの)を使う予定だったということだから、それが採用されなくて本当に良かった。

    昔、このLPを初めて聴いたとき、A-1「Baba O'Riley」と一緒に僕の脳裏にはジャケット写真のような荒涼とした空間イメージが広がった。それぐらい、ジャケット写真は重要だ。

    whosnext (2)
    *ジャケット裏面

    英国での発売が米国よりも遅れた理由は、そのジャケット差し替えのせいなのか?と昔は思っていたが、どうも関係なさそうだ。米国Decca側がWhoの人気から早く発売したがった、というのが理由っぽい。

    そのような経緯ゆえか?英国盤のジャケットは、米国盤ジャケット左上に入っている米国Deccaのレコード番号を修正した跡が残っているので、米国用に用意した写真を修整して使用したと思われる。

    whosnext (4)
    *英国オリジナル盤

    さらに、ジャケットだけではなく、英国初版LPの原盤も米国カッティング用のメタルマザーを使っているのでは?と僕は考えている。
    但し、マトリクス番号1が付くA面だけだ(英国初版のマトはA面が1、B面が2)。

    whosnext (6)
    *英国盤レーベル、手彫り番号は撮影できず

    以下は、その前提に沿った話。

    米国Decca初版LPのrun-off部分には、手彫りでMG-12888(A面)、MG-12889(B面)と入っている盤がある。あるいは、これらは片面のみの場合もある。

    whosnext (10)
    *これはフランス盤で、手彫り番号と機械打ち番号の両方がある

    英国初版のA面にも同じ手彫り番号MG-12888が入っている。その手彫りの書体そのものは、米国盤と英国盤とで違っている。
    けれども、音溝を見比べる限り、それらは同一のように見える。

    米国原盤がそのまま採用されてマト1なのだから、B面は不採用でマト2になっていると推測できる。
    しかし、米国盤でも両面手彫りになっていないケースもある(僕の手持ちの別の盤だとB面のみ手彫り)ので、もしかすると、米国カッティングの別原盤を英国のB面で採用している可能性もある。

    手持ちの別の国の盤を調べると、フランス盤も米国盤と同様に手彫りでMG-12888(A面)、MG-12889(B面)と彫られていたので、これも同じ原盤だろう。

    ここから導かれる話としては、手彫りでMG-12888(A面)、MG-12889(B面)が、このアルバムで最初に用意された原盤と推測される。

    whosnext (9)
    *フランス盤の初版は両面コーティングジャケット

    さて、米英仏、3枚ともA面 MG-12888の盤を聴き比べると、音の傾向が似ている。当然か。重心が低い音だ。

    けれども、これは思い込みなのかもしれないが、米国盤のほうが英国盤よりも音が微妙にからっとしている(乾いている)ように思えなくもない。いや、そう思えてしまう。プレス品質のせいだろうか?

    また、手持ちのフランス盤は盤質が悪いので、音も悪く聴こえてしまう。

    日本盤(初版)は独自カッティングだったこともあって、高域が強調され中低域が弱い。4枚の中では音質が一番劣る。

    whosnext (3)
    *国内初版は見開きジャケットで、内側には解説と歌詞を掲載

    このアルバムは、他にも何種類かのLPを持っているので、機会を見つけて紹介したいところ。



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    テーマ : 洋楽ロック
    ジャンル : 音楽

    tag : Who ザ・フー LP Who’s next レコード 米国盤 英国盤

    コメント

    Secret

    Who’s Next 100% Pure LP盤の音質について

    はじめまして。いつも楽しく記事を拝見させていただいております。
    過去の記事に突然のコメント申し訳ございません。お伺いしたい点がありコメントさせて頂きました。

    自分は先日中古で2012年にリリースされた100% Pure LP盤のWho’s Nextを手に入れました。個人的にはなかなかの高音質と感じながら聞いているのですが、同作品の他のバージョンのアナログ盤を持っておらず、他のプレスのアナログ盤と比べて100% Pure LP盤の同作品がどれほど音が良いものなのかあまりわかっておりません。

    つきましては、Who’s Nextを何種類かお持ちのとのことですので、もしこの100% Pure LP盤をお持ちでしたら、他のプレスなどと比べて音質がどうなのかご教示頂けないでしょうか?

    Re: Who’s Next 100% Pure LP盤の音質について

    オッティさん、こんばんは、はじめまして。

    > 自分は先日中古で2012年にリリースされた100% Pure LP盤のWho’s Nextを手に入れました。個人的にはなかなかの高音質と感じながら聞いているのですが、同作品の他のバージョンのアナログ盤を持っておらず、他のプレスのアナログ盤と比べて100% Pure LP盤の同作品がどれほど音が良いものなのかあまりわかっておりません。

    残念ながら、僕はそのLPを持っていないので音質については何にも言えません。
    購入しなかった理由は、LPを収納するジャケットが付属していない割に高額だったことですね。
    使用されたマスターはSHM-SACD用の英国DSDマスターを使用、プレスはDMMと言うことなので、かなりSACDに近い音傾向なのだろうとは推測していました。いつか安価で見かけたら買って聴いてみたいところです。恐らく英国オリジナル盤よりも1世代若いぐらいの音に聴こえるのかな?と想像しています。

    ReRe: Who’s Next 100% Pure LP盤の音質について

    JD様、ご回答いただき、ありがとうございます。
    100% Pure LP盤の音が、「恐らく英国オリジナル盤よりも1世代若いぐらいの音」というのは本当であればかなり嬉しいです笑

    ちなみに一般的なプレスで言うと、Who's Nextに関しては、記事を拝見させて頂いた印象だと、オリジナルUS>オリジナルUKというご感想でしょうか?

    Re: ReRe: Who’s Next 100% Pure LP盤の音質について

    オッティさん、こんばんは。

    > 100% Pure LP盤の音が、「恐らく英国オリジナル盤よりも1世代若いぐらいの音」というのは本当であればかなり嬉しいです笑

    SHM-SACDの音そのままに近ければ、やっぱりそういう音のように推測しますが、実のところどうでしょうね?(笑)

    > ちなみに一般的なプレスで言うと、Who's Nextに関しては、記事を拝見させて頂いた印象だと、オリジナルUS>オリジナルUKというご感想でしょうか?

    そうではなく、A面に関しては同一スタンパーなのでほぼ同じクオリティのはずですね。
    とは言え、プレスされた盤の材質やその他のさじ加減みたいなものが音にも反映されるので、自分の再生システムや聴いてる音量にとってどちらが相性が良いかではないでしょうか。

    B面はスタンパーが別で、しかしマスターテープが完全共通であれば、英米それぞれの固有カッティングになり、これも音質はどちらが良いかは判断の難しいところだと思います。どちらにせよ、オリジナルUS/UKであれば間違いないクオリティではないかなと。

    他にも90年代に米MCAが正規発売した180g重量盤、Kevin Greyカッティングも良い音をしています。
    ただし、マスターに若干経年劣化を感じる部分があったように思います。
    これもいつか紹介したいと思ったままですね(汗)。




    Classic Records盤のWho's next

    JD様

    お世話になっております。
    先日ご教示頂いたWho's Nextですが、以前書かせて頂いた100% Pure LP盤を↓のオーディオルームでかけて聴ける機会がありました。
    https://audiogarageonpa.jimdo.com/

    そしてその結論なのですが、良いオーディオで聴いた際に、この盤の音のこもり方や迫力の無さにびっくりしてしまいました・・・。自宅で聴いていた際にはそこまで感じなかったのですが、上記のオーディオルームにおいて米MCA180g盤と聴き比べたら一聴瞭然でした。

    100% Pure LP盤は日本でプレスされたせいなのか、妙にかなりおとなしく、良く言えば「丁寧」ですが、フィルターを何枚もかけたかのように全体的にサウンドがこもってしまっていました。キースのドラムも洞窟の奥の方で鳴っているような感じが最初のBaba O'Rileyからしてしまいました。
    一方でJD様におすすめ頂いた米MCA180g盤は、はつらつとしていて迫力も十分にあり、全く印象が異なりました。

    まぁ、そんな失意の中でさまよっていたところ、Classic Records盤を入手することが出来、現在、その音質の良さと明瞭さ、そして迫力に感動しております。米MCA180g盤ほどデジタル的なギラツキを感じず、個人的にはこのアルバムの理想型のサウンドのような印象を受けております。
    そういったこともあって、100% Pure LP盤はさっそく売ることになってしまいましたが、どのバージョンかでここまで音が変わるのか、というのが学べた良い経験になりました笑

    Re: Classic Records盤のWho's next

    オッティさん、こんばんは。

    > 先日ご教示頂いたWho's Nextですが、以前書かせて頂いた100% Pure LP盤を↓のオーディオルームでかけて聴ける機会がありました。
    > https://audiogarageonpa.jimdo.com/

    へー、面白いところがあるんですね。でも、自分の耳や記憶にびっしりと同化しているLPやCDを持参して、それがどんな音で鳴るか最初に確認しておかないと、僕はその部屋のオーディオの音が判断できないですね。要するに音のモノサシが必要かなと思いました。

    > そしてその結論なのですが、良いオーディオで聴いた際に、この盤の音のこもり方や迫力の無さにびっくりしてしまいました・・・。自宅で聴いていた際にはそこまで感じなかったのですが、上記のオーディオルームにおいて米MCA180g盤と聴き比べたら一聴瞭然でした。

    そうでしたか。それは少し不思議な気がします。
    長くなるので手短に言うと、ユニバーサルから出たSHM-SACDと共通のマスターから作られているはずなので、米MCA180g盤のマスターよりも1世代若いマスターなのでは?と思っていたからです。そのあたりの話はまたおいおいと……。

    > 100% Pure LP盤は日本でプレスされたせいなのか、妙にかなりおとなしく、良く言えば「丁寧」ですが、フィルターを何枚もかけたかのように全体的にサウンドがこもってしまっていました。キースのドラムも洞窟の奥の方で鳴っているような感じが最初のBaba O'Rileyからしてしまいました。
    > 一方でJD様におすすめ頂いた米MCA180g盤は、はつらつとしていて迫力も十分にあり、全く印象が異なりました。

    ややこもったようなと言うか、暗めな音は本作の英米オリジナル、特に英国プレスに聴かれる音傾向で、逆に米MCA180g盤がちょっとはじけた陽性の音をしています。なので、音の傾向はそれなりに間違いではない気がします。
    ただ、僕は100% Pure LPを持っていないので国内プレスの音質が不明ではあります。こもったというのがどの程度マイナス印象なのか想像できません。個人的には国内プレスには(盤質を別として)あまり良い印象はないですが。

    > まぁ、そんな失意の中でさまよっていたところ、Classic Records盤を入手することが出来、現在、その音質の良さと明瞭さ、そして迫力に感動しております。米MCA180g盤ほどデジタル的なギラツキを感じず、個人的にはこのアルバムの理想型のサウンドのような印象を受けております。

    Classic Records盤は確かに米MCA180g盤よりもオリジナル英国盤の雰囲気に近いと思います。
    ただ、ひとつお伝えしておきますと、米MCA180g盤はアナログマスターからの100%アナログプロセスで製造されたLPなのでデジタル工程はありません。Kevin Grayのカッティングです。

    あの陽性の音はLPよりも少し前に出た限定Gold CDからそうだったので、米国でのマスターテープ再生デッキの調整がそっち方向だったのかもしれません。発売当時の流行のサウンドがマスタリングに影響している可能性は十分にあります。

    > そういったこともあって、100% Pure LP盤はさっそく売ることになってしまいましたが、どのバージョンかでここまで音が変わるのか、というのが学べた良い経験になりました笑

    お金の無駄遣いになるかもしれませんが、それこそ安価に買える英国や米国の80年代再発盤、国内盤などと比較すると本当に違いが出てきますよ。でも、それを楽しみだしたらまずい道に進むことになりますが(苦笑)。

    プロフィール

    JD

    Author:JD
    自分の感覚としては(昔の?)ラジオDJのネット版のようなもののつもり。今日本では7インチ「シングル」盤のことを誤って「EP」と表示するような有様となり、言葉の不理解と誤用の蔓延に落胆している。「EP」は「シングル(=片面1曲、両面で2曲収録)」よりも曲数を多く収録する(標準は4曲、3曲や5曲や6曲の場合もあり)意味のExtended Playingの略。どうかシングル盤とEPとを正しく使い分けて欲しい。

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