Misery

    Beatlesの1stアルバム『Please please me』は、内容的に2ndアルバムほどに優れていないと思っているものの、聴く頻度は圧倒的に高い。

    PPM2017 (9)
    *左からMFSL単体盤、英国オリジナル(4thプレス)、米国VeeJayオリジナルステレオ(PPM版)

    ここ5年ぐらいで考えると『With the Beatles』の4~5倍ぐらい『PPM』を聴いている。それはきっと『PPM』の録音のほうがシンプルだからという理由による気がする。



    僕の場合、A面、B面、をそれぞれ最初から最後まで聴くことは少ない。レコードなのだから好きな曲から針お降ろせば良い。結果として、A面は「I saw her standing there」、「Misery」、「Boys」だけを、B面は「There's a place」だけを聴く回数が多い(笑)。

    今年になり、久しぶりに大音量で冒頭写真の3枚を聴いた。
    米国盤『Introducing the Beatles』は『PPM』ではない、という声もあるかもしれないが、前述の4曲は全て収録しているし、何よりも正規盤は音が良い(粗悪なカウンタフィット盤は最悪だが)。MFSL盤を大音量で聴いたのは久しぶりかも。

    PPM2017 (23)
    *以前にも紹介した正規ステレオ盤

    英、米、MFSLの3種類は、思っていた以上に音傾向が違っていて楽しめた。中低域の厚みは圧倒的にMFSL盤が優れている。音の品位も高いことに間違いない。
    (ちょっと関係ない話だが、あの時代にEMIやCapitolに操られずに、高音質・ステレオ盤で残してくれたことに感謝してしまう。)

    PPM2017 (102)
    *MFSL盤、ジャケット裏面とインサート(盤面保護、ソリ防止も兼ねる)

    逆に英米盤ともに中低域が薄く、耳につく高域(・・・・・・オーディオ的には高域と言うよりも中音域にあたりそうな、たぶん2~4KHz程度)を強調しているのかなと思う。
    右チャンネルの歌声でさえ、ややトレブルを強くしたEQのかかった音に聴こえる。

    PPM2017 (16)
    *英国盤ラージロゴ(盤はEMI内袋とは分けて無地内袋に収納)

    では、本題。
    僕はある時期から「Misery」は他の曲よりも音質が良いのでは?と思うようになった。たぶん、15年ほど前くらいからか?いや、その後思い出したが、僕が今使っているレコードプレーヤー(Space-deck 10th)を導入してからだ。2005年か?

    今回聴いていても、音の安定感と言うか、音の太さと言うか、他の曲よりも声が分厚いと言うか、ちょっと音質差を表現するうまい言い回しが見つからないのだが、やっぱりこの曲だけ音が他よりも良いように思えてしまう。

    もし僕が感じていることが正しかったならばの話だが、その理由がある時わかった。いや、実際には忘れていたことを思い出しただけ。レコーディングセッションの本に記されていたものの、一時完全に自分の記憶外にあった。

    それはセッションのベーシック録音の際に、この曲だけ倍速でテープが回っていたことによる。つまり、アルバム製作段階のある時点までは他の曲よりも情報量が倍だったのだ。

    最終ミックスで、ステレオとモノのマスターが用意されるわけだが、その際には、他の曲と同一のテープスピードで用意されアルバム用のリールにまとめられた。つまりこの曲だけ倍速再生されたセッションマスターから通常速度のステレオ、モノのマスターが作られており、その時点で情報量は大きく減ってしまっている。

    けれども、大本の録音音質が(それを狙ったわけではないが)倍の情報量を持っていたので、最終的には情報量がある程度失われたとは言え、最初から通常速度で録音された曲よりも音質的にはずっと有利だったはず。

    そのあたりは、録音速度切り替え可能なオープンリールテープデッキを使っていた人、あるいは、同じ機能を持つカセットMTRを使ったことがある人には想像しやすいだろうと思う。

    でも、僕はこれまで「Misery」が他の曲よりも音質が良いという話を読んだことも聞いたこともない。あくまで僕の感覚ではそうだ、という話。

    なので、それは自分の耳で確かめてもらうしかない(笑)。
    そのためには、その差を音として再生できなければならず、おのずとオーディオのグレードも上がってしまうように思う。
    それと、音の違いを聞きわける耳も必要だ。


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    テーマ : 洋楽ロック
    ジャンル : 音楽

    tag : Beatles ビートルズ アルバム レコード LP 英国 米国 MFSL

    コメント

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    No title

    いつも楽しく読ませていただいています。
    今年もよろしくお願いします。
    元々PPMは全体を通して音が太くてクリアでリアルな印象が強いですが、Miseryはそう言われて聞いてみると、確かに他よりさらに音が生々しくて太い感じがしますね。倍速で録音されていたのですか。それは知りませんでした。そうだったんですね。これからこの曲の聞き方が良い意味で変わりそうです。ありがとうございました。

    Re: No title

    cut&rinseさん、こんばんは。
    お久しぶりです。お元気でしょうか。
    こちらこそ、今年もよろしくお願いします。

    > Miseryはそう言われて聞いてみると、確かに他よりさらに音が生々しくて太い感じがしますね。倍速で録音されていたのですか。それは知りませんでした。そうだったんですね。これからこの曲の聞き方が良い意味で変わりそうです。

    G. Martinがピアノをオーバーダブすることを前提に倍速で録音していました。

    これまで誰も「Misery」だけ音が良いなどと言ってないのですが(笑)、僕はやはり他の曲とは音質に差があると思っています。

    Beatlesだけでなく他のアーティストも、もう少し録音品質の観点から突っ込んだ話題が出てくると面白いと思いますが、それには当時のレコードをある程度の音質で再生できなければいけないので、ハードルが高いとは思います。


    すみません、いつも通りすがりです。
    この盤の中高域が多いのは、多分、フォノEQがあって無いからでは?とずっと思っています。
    後のシルバーパーラフォンのチューブカット盤は実にフラット感が高い音に感じます。それはWTBにも感じ、やはりBEATLESを現代のシステムで聴くには1EMIか2EMIのリムがグラマフォンがベターだと思っています。

    Re: タイトルなし

    業務関係さん、おはようございます。

    > この盤の中高域が多いのは、多分、フォノEQがあって無いからでは?とずっと思っています。

    その可能性は否定できないとは僕も思っています。

    > 後のシルバーパーラフォンのチューブカット盤は実にフラット感が高い音に感じます。それはWTBにも感じ、やはりBEATLESを現代のシステムで聴くには1EMIか2EMIのリムがグラマフォンがベターだと思っています。

    WTBの初期ステレオプレスの音質は正直あまり良くないので、確かに後期プレスのほうが実は音が良いと僕も思っています。
    ただ、PPMについては、バランスは改善されるものの、初期YPプレスで聴ける音の生々しさが1ロゴ(1EMI)以降では味わえなくなるので、個人的には一長一短かなと思っています。
    生々しさを求めないのであれば、さらに低音域が太い音はイタリアのステレオ盤で、左右のセパレーションが弱めで定位が中央よりの70年代のフランスステレオ盤も音に迫力があります。


    プロフィール

    JD

    Author:JD
    自分の感覚としては(昔の?)ラジオDJのネット版のようなもののつもり。僕は1970年代のオーディオ全盛期の最後に属する世代で、ペアマイク持参で生録に挑戦した世代。国内盤LPが高価だったので輸入盤を買っていた、そういう中高生時代を過ごした。

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