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    Who are you

    Rock albumとしての『Who are you』の一般的な評価は、『Who's next』よりも劣っている気がする。
    実際、『Who are you』を積極的に評価しているマニアックなWhoファンはどれくらいいるのだろう?僕はその一人なのだが、全く想像がつかない。

    1978年発売のアルバム『Who are you』(WHOD5004)。

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    *英国オリジナルLP、ジャケットはニス仕上げ(手持ちの盤は、Peteのズボン部分に剥がれあり)



    アルバム発表後にKeith Moonが亡くなったことに引きずられ、この作品をあまり好きでないというファンもそれなりにいることだろう。
    でも、それは作品の質とは関係の無い話だ。

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    *ジャケット裏面

    僕がこのアルバムを高く評価している理由は、アルバム全体を通して聴き終えた時に感じられる、シンフォニックなロックとしてのアルバムの統一感・完成度の高さにある。それは過去の踏襲でなく、新たなWhoを予感させる。

    いわゆるジャンルとしてのシンフォニック・ロックでは全くないが、偶然にも当時Peteが書いた曲のメロディやTed Astleyによるストリングスアレンジを加えた曲、そしてPeteらしいシンセサイザーの使用、これらの要素が見事にアルバムを“シンフォニック”という印象に包んでいる。
    如何にも典型的なWho songと言える、アルバム表題曲の「Who are you」でさえ同じくシンフォニックに思えてしまうのは、このアルバム収録曲だからだと思う。

    僕はこのアルバムを初めて聴いてから、それほど時間の経過しない間にそのように受け止めてしまったので、それ以降印象は変わらない。

    但し、それはきっとPeteの意図しないところだと思うし、producerを務めたGlyn Johns(とJon Astley)でさえ、そのような印象の作品にする意図や考えはなかったと思われる。つまり偶然の産物。だから良い。

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    *Direct disc Labs社から発売のHalf speedカッティング盤、この盤は専用のデコーダは不要なので普通に再生できる

    前作『The Who by numbers』で既に“grow too old to rock”的な心情を吐露した歌詞が多かったが、『Who are you』では、少しだけ外交的というか、音楽業界あるいは業界人へ向けた歌詞の曲が加わった。

    そしてサウンド・楽曲的には、再度Lifehouse時代に遡った「New song」、それ以前のWho作品には持ち込まれなかったPeteのシンフォニックな曲「Sister disco」、「Guitar and pen」、「Music must change」が登場し、作品ごとに変化してきたWhoの顔が本作でも大きな変化を遂げている。

    それには76年後半から英国で台頭したpunk勢の存在も影響していることだろう。刺激を受けて?1977年秋からアルバムの録音を開始している。

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    *米国オリジナル盤(通常盤)

    けれども、Keith Moonが精神的にも肉体的にもかなり消耗していたようで、「Music must change」ではdrumsを叩けなかったことは有名な話。ベーシックトラックはPeteのデモを使用し、Keithはシンバルを加えたのみに終わった。
    他のトラックもかなり苦労して完成させたようだ。

    Keithだけでなく、飲んだくれだったPeteのguitarもひどかったのか?Glyn Johnsは別のギタリストを連れて来ようとしていたとCDのライナーに書いてあったはず(笑)。

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    *米国盤カラーレコード

    あと一つ、このアルバムの特徴としてJohn Entwistleの曲が3曲も収録されている点が挙げられる。Johnの曲をRogerが歌うことでアルバム収録曲を増やせるとJohnは考えたそうだが(笑)、「Had enough」を聴く限り、その思惑は成功している。そして、アレンジ的にうまくはまった「905」も非常に出来の良い曲だ。

    個人的に苦手なのは「Trick of the light」で、これは96年のremix/remasterの際に、サウンドがソリッドに修正されてからは聴きやすくなった(僕はね)。

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    *米国Promo盤

    このアルバム、米国盤には赤のカラーレコード(写真参照)やピクチャーレコード(僕は持っていない)が存在する。同じく米国盤にはラジオでのair play用に編集された「Who are you」を収録したPromoレコードもあった(前掲写真)。但し、収録されたのは過去記事で紹介したLong version(6:11)。

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    *Pete所有のマスターから作られたオリジナルミックスのMo-Fi CD、「Guiatr and pen」の別ミックスがここで初登場

    なお、96年のremix/remasterを使用したLPが、僕の知る限りでは1種類出ている(知らない盤も出ていた可能性はある)。それは、何故か2000年以降に発売されたピクチャーレコードだった。

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    *透明ビニールに盤が裸で入っている形での販売、製造はオーストラリア

    個人的にはオリジナルミックスも96年remixもどちらも好きだ。曲によっては96年remixの方が良いものもある。


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    *Classic records 200g盤

    なお、他にも国内初版CBS Sony盤、ドイツ再発盤、Classic records 200g盤、最新の96/24マスターからの盤(ボックスセットより)などと聴き比べた。
    音質が良いと思えたのは、英国オリジナル盤、米国Direct disc盤(但し、低域が薄い)、米国Promo盤、クラレコ200g(但し、盤質が悪かったのか音が粗い気も)、96/24マスターからの盤(これの低域は強い)。
    ご参考までに。


    その他……Direct disc Labs社のレコードについて。
    今回の『Who are you』は例外のLPだが、Direct disc Labs社は本来は、マスターテープからのカッティングでなく、録音しながら同時にラッカー盤をカットする方式によるレコードを製造していた。
    その昔、テープ録音になる前のSP盤の時代と似たような製法で、演奏者もエンジニアも誰一人気の抜けない作業となる。
    ミスしたら全員最初からやり直しなのだから。







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    テーマ : 洋楽ロック
    ジャンル : 音楽

    tag : Who ザ・フー レコード 英国盤 フー・アー・ユー CD are you

    コメント

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    No title

    JDさんこんばんは。本年最後の記事はThe Whoでしたね。

    僕もJDさんとは違う目線ながらこのアルバム大好きです。僕はリアルタイムで聴いた口ではないので、ファーストからほぼ順に聴いてきて、本アルバムは最初おまけぐらいにしか感じていなかったんですけど、あれこれ聴き込むうちに、またThe Whoのストーリーを追ううちにキースの不調の中で作ったということがわかり、『The Kids Are Alright』で初期では軽々とドラムを叩いていたキースが本当に必死にドラムスを叩いて作品を作っている様子が伝わってきて、まあそんなこんなの状況から好きになったという感じです。

    本アルバムのサウンドは確かに新展開を見せていて、今後のThe Whoを期待させる内容ですね。他のロック・アルバムにありがちな「シンセサウンドを取り入れてみました」的なわざとらしさがない。Pete自身が「The Whoは昨日今日シンセサウンドを取り入れたわけではないから取って付けたようなサウンドになっていない」的なことを言っていましたっけ。まさにその通りだと感じます。

    本アルバムは好きなアルバムではありましたが、このようにフィチャーされることってほとんどありませんので嬉しく読ませていただきました(聴きながら)。

    Re: No title

    Columbiaさん、昨年はお世話になりました。
    今年もよろしくお願いします。

    >本年最後の記事はThe Whoでしたね。

    まとめるのに2日ほどかかって、なんとか間に合いました。

    > まあそんなこんなの状況から好きになったという感じです。

    なんか、日本ではあまり評価されていない気がするんですよね。もったいない。
    かなり素晴らしいと僕は思っているので。

    > 本アルバムのサウンドは確かに新展開を見せていて、今後のThe Whoを期待させる内容ですね。

    そのあたり、まさに時系列に聴いてるファンだからこそわかるはずなのですがね。

    > 本アルバムは好きなアルバムではありましたが、このようにフィチャーされることってほとんどありませんので嬉しく読ませていただきました(聴きながら)。

    ありがとうございます。
    僕も常々このアルバムがあまり取り上げられない(評価されない)ことに不満を覚えていたので、今回の内容は構想だけは早い時期からありました。ただし、持ってるレコードの紹介も兼ねてと思ってたら、なかなか大変でした。

    LP時代にDirect disc labsから発売されたり、CD時代にはremix/remasterシリーズ以前にMo-fiが取り上げるなど、録音品質的にもWhoのアルバムでは高音質な部類なので、そのサウンドをしっかりと再現できるオーディオで聴くと印象も変わると思います。特にシンセの音が豊かなのに驚きますね。

    また、タイトルトラック「Who are you」は、KiethのDrumsブースが目の前に広がるようなミキシングになっているので、英国盤LPか、その他の(高音質と記した)レコードで聴くとオーディオ的にも楽しめます。

    プロフィール

    JD

    Author:JD
    自分の感覚としては(昔の?)ラジオDJのネット版のようなもののつもり。今日本では7インチ「シングル」盤のことを誤って「EP」と表示するような有様となり、言葉の不理解と誤用の蔓延に落胆している。「EP」は「シングル(=片面1曲、両面で2曲収録)」よりも曲数を多く収録する(標準は4曲、3曲や5曲や6曲の場合もあり)意味のExtended Playingの略。どうかシングル盤とEPとを正しく使い分けて欲しい。

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