アナログ・ザ・ローリング・ストーンズについて

    路傍の石さんの音楽ブログ『帝都熱烈音盤解放戦線』で先日紹介されていた、ムック本『アナログ・ザ・ローリング・ストーンズ』に興味を持って早速購入した。

    ARS1216 (4)
    *現物写真(後半にも1枚追加)

    路傍の石さんも指摘されていたが、誤植や画像の配置ミスが本当に多く、その点に関しては非常に残念だった。

    1960年代の作品については、紹介されているLPレコードの多くは僕も持っているが、このような書籍になってずらっと並べられると、やっぱり(持っているにも関わらず)じっくりと眺めてしまうし、とても楽しい。いいものだなと思う(笑)。



    そのようなアルバム紹介部分は良いとして、それ以外にいくつか気になること(気になる視点)があったので、ちょこっと述べさせてもらいたい。
    立ち読み程度でいろいろと感想を記すのはいかがなものかと思うが、購入した者として。

    まず、コレクターとしての著者の姿勢をご自身で音源主義と書かれていて、通常盤以外にアルバム未収録やモノラル、ミックス違いなど音源収集が基本とのこと。その姿勢で英米日のオリジナル盤の音質等について簡単にコメントされている。

    毎度のことだけれど、著者の使用されているオーディオで聴ける音からの判断で、それぞれの音質について記されているので、やはり僕の印象とは異なる部分もある。僕個人の勝手な推測で言うなら、僕の視点はもっとオーディオ寄りなのかな、と。
    *例えば、『Exile on main street』など

    国内盤の音など、英・米オリジナルとの比較で、明らかなコピーテープサウンドに思えてしまうほどの再生音と思えるものがあるので、僕の印象では音質落差ありとなってしまうのだが、そのあたりの音質差については、ゆるいまとめ方をされているなぁと思える。

    また音圧がでかいものが良いように読めてしまうので、もしそう思われているなら、そこも違う。音圧が多少低くてもダイナミックレンジが広い音作りの方が訴求力の強い作品もある。ひとくくりにはできない。聴く音量にも因るし。

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    *レコード紹介のページはこんな感じ

    それと、やっぱりこの話題が提示されている。「アナログVSデジタル論」。
    ここで書かれていることについては、僕は多少意見が違う。

    “アナログからデジタルに変換した形態は、容量に制限があるのでアナログよりも良くなるわけがない”と述べられていているが、1960年代までの録音ならば、DSD変換によるフラットなデジタル変換の場合、逆にDSDの器のほうが大きいと思うが。SACDとして器を生かしきれないタイトルがあるのはそのためだろう。

    当然、オリジナルマスターのほうが本物なのだから、デジタル音源はあくまでサブだが、限りなくオリジナルに近いと思える。仮にオリジナルマスターからカットしたレコードを聴くのと、オリジナルマスターをデジタル変換した音源を聴くのとでは、物理特性だけで言えば、後者の方がロスは少ないだろう。

    著者の考えでは、デジタルマスターを使用したアナログについては、同一マスターからのデジタル音源が出ているならアナログを聴く意味はないと言う。それも一つの考え方だとは思う。

    ただ、アナログVSデジタルで、デジタルの優位性の最後に書かれている内容には再度?と思えてしまう。次の一文。
    “昔の状態の良いオリジナルレコードが一番ということは言うまでもないだろう”

    じつはそれも怪しい事実だ。
    つまり、オリジナルレコードの音質は必ずしも再発盤に勝るとは言えないし、デジタルマスターを使用したレコードのほうが音が良いケースもある。つまり、ケースバイケース。

    Rolling stonesではあまり思い浮かばないが、60年代の米国のアーティストのLPの場合、特定のレーベルはマスターテープのクオリティを十分に引き出せていなかった。Rhinoが80年代に再発した際に、音質が向上したものがそれなりにある。なので、オリジナル盤だから音質は最高……とは必ずしも言えない(残念ながら)。


    最後にもう一つだけ。
    著者はデジタルマスターを使用したレコードについて、あまり良さを見出していないというか、あまり意味が無いと思っているように読めるし、対談の中でもカッティングエンジニアの方に同意を求めているように見えるが、そう言いながらレーザーターンテーブルを使っているのはいかがなものか?それこそ、アナログ盤をデジタル変換しているだけででないのか?(しかも、DA変換の精度はどのレベルなのだろう?)

    使用されているレーザーターンテーブルの価格帯はわからないが、もし同じ価格帯ならば、僕は迷わずこのプレーヤーを導入するだろう。
    Tech DASのAir Force Ⅲ
    AFIII_796x574.jpg
    *アームとアームベースは別売(アームベース1本のみ付属)

    登場してから欲しくてたまらない製品だ。

    将来的に購入できるとは全く思っていないが、憧れとして。
    それこそ宝くじが当たったらみたいな話(苦笑)。

    あ、最後はちょっと話がそれてしまった、失礼。




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    テーマ : 洋楽ロック
    ジャンル : 音楽

    tag : ローリング・ストーンズ Rolling Stones レコード デジタル

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    No title

    JDさんこんばんは。

    この本私も実に気になっていました。以前購入した「ロック大図鑑UK3大バンドのすべて」で体感したんですが、オリジナル盤を写真とはいえデカデカと連続で掲載された内容はまさに図鑑で圧巻でした。こういった図鑑形式のものも悪くないなぁと思っていたので。また他のカッティング関係の記事などもなかなか他では読めなさそうで興味湧きます。

    デジタルマスターを使ったアナログ盤のアリ・ナシ論ですが、デジタルだからというくくりで語ることは個人的にはナンセンスだと考えます。ひとくちにデジタルマスターと言っても44.1kHzの16bitのものからDSDマスタリングや、サンプリングレートが非常に高いものまで多々ありますよね。

    44.1kHzの16bitレベルのデジタルマスターを使用してのアナログ盤は確かに無意味であると聴いていて感じますけど(いわゆる非常にCDぽい音しか聴こえてこない)、いわゆるハイレゾ音源を使ったマスターはアナログ盤に刻むことによりまた違った深みを与えてくれるように感じます。そもそもハイレゾ音源を再生する危機的な環境も突き詰めていけば色々あるようですし。。直近ではLeedsのハイレゾ音源と3LPを聴き比べた時にLPが非常に優秀であると感じた体験があります。

    Re: No title

    Columbiaさん、こんばんは。
    こちらにもコメントありがとうございます。

    > この本私も実に気になっていました。以前購入した「ロック大図鑑UK3大バンドのすべて」で体感したんですが、オリジナル盤を写真とはいえデカデカと連続で掲載された内容はまさに図鑑で圧巻でした。こういった図鑑形式のものも悪くないなぁと思っていたので。

    あの本はWhoの内容には?な部分が多かったものの、図鑑部分は仰るとおりでしたね。
    今回のは、あれと較べて写真部分はどっこいどっこいかもしれません。
    個人的には英国1stのB面マト1ジャケットとして?折り返しなしの写真が掲載されているのが◎でした。僕のがそうだったので。

    >また他のカッティング関係の記事などもなかなか他では読めなさそうで興味湧きます。

    過去に他のエンジニアの方のインタビューを読んだことがあり、その時も思いましたが、経験に基づく国内盤カッティングの話は良いのですが、それ以外は僕の場合それほど参考にはなりませんでした。
    読む側の知識との兼ね合いもありますが。

    > デジタルマスターを使ったアナログ盤のアリ・ナシ論ですが、デジタルだからというくくりで語ることは個人的にはナンセンスだと考えます。ひとくちにデジタルマスターと言っても44.1kHzの16bitのものからDSDマスタリングや、サンプリングレートが非常に高いものまで多々ありますよね。

    これについては人それぞれと言うか、それぞれの考えがあって、その中で「自分はこう思う」で良いと思っています。
    録音そのものがデジタルしかない作品もありますし、80年代の売れ筋のアルバムなんかは基本デジタル録音だったように思います。そういうLPを聴いてきたので、僕の場合、特にアレルギーはないですね。

    > 44.1kHzの16bitレベルのデジタルマスターを使用してのアナログ盤は確かに無意味であると聴いていて感じますけど(いわゆる非常にCDぽい音しか聴こえてこない)、いわゆるハイレゾ音源を使ったマスターはアナログ盤に刻むことによりまた違った深みを与えてくれるように感じます。そもそもハイレゾ音源を再生する危機的な環境も突き詰めていけば色々あるようですし。。直近ではLeedsのハイレゾ音源と3LPを聴き比べた時にLPが非常に優秀であると感じた体験があります。

    そのあたりはやっぱりエンジニアの腕の見せ所だと思います。
    アナログというメディアで、どういう音を聴かせたいか。
    そうなると、製作工程にもちょっと手間ひまかけたもの(お金がかかるもの)のほうが、どう考えてもしっかりしたものになりますね。


    No title

    こんにちは。
    先日ちょうどZEP音源マニア会が開かれまして、その際に、こちらでのJDさんとのお話を踏まえて、そんな話題になりました。そういえばこちらでもファーストのお話を書かれていましたが、ZEPレコーディングでは、初期では唯一の「ちゃんとしたスタジオ録音」だなって(しかもグリン・ジョンズ)。他はお城とか別荘とかそんなのなので、オーディオ的にファーストだけ好みという人が多いのは納得できますね。みたいなことでしたね。

    その際に、一体どれを以って「オリジナルとするか」みたいな話題になったのですけど、僕は個人的にはジョージマーティンがかつて言った「ビートルズの初版CDの音は、自分がコントロールルームで聞いていた音」ということを基本にしたい、と。
    それは実際、制作とかやってる今の自分でもそう思うのです。何らかの媒体を通した時点で、それはもう制作側が聴かせたかったオリジナルとは異なるのだというのは。ですので僕も今年「非圧縮無加工リマスターハイレゾ」というのを作ってみたのですし、そしてその反応も上々だったことを考えると、それはある意味真理かと思います。

    ただ僕自身もそうですけど、アナログレコードで聴いた「生々しさ」やラジオで聞いた、思いっきりリミッター音のド迫力も真実だと思うのです。いまでも「ああいう音がミックスで出せないものか」と思って作っています。
    そういう意味では、媒体を通して音楽を聴く、というのも「体験」という、ある意味ライブに近いようなものなのかもしれませんね。

    いま僕もちょうどストーンズボックス祭りでサイトの更新もしたところですけど、今回改めて全部の音源をモノで聴くことで思ったのは、やっぱり元のマスターって音がよかったんだな、という単純なことでした。もちろん鮮度は当時のプレスに敵わないですもんね。でもそうでないならば、やはり僕も次点として、そして手軽に楽しめる現実的な選択としても、最新リマスターが正しいのだろうと、最終的には改めて思ったところでした。

    Re: No title

    Karakawa Pさん、こんばんは。

    > 先日ちょうどZEP音源マニア会が開かれまして、

    へー、そういう会があるんですね。なんだか楽しそう(笑)。

    >オーディオ的にファーストだけ好みという人が多いのは納得できますね。みたいなことでしたね。

    自分ではあまり認識がなかったのですが、1stだけは聴いてしまうというのは、確かにその要素が大きいのでしょうね。

    > その際に、一体どれを以って「オリジナルとするか」みたいな話題になったのですけど、僕は個人的にはジョージマーティンがかつて言った「ビートルズの初版CDの音は、自分がコントロールルームで聞いていた音」ということを基本にしたい、と。
    > それは実際、制作とかやってる今の自分でもそう思うのです。何らかの媒体を通した時点で、それはもう制作側が聴かせたかったオリジナルとは異なるのだというのは。ですので僕も今年「非圧縮無加工リマスターハイレゾ」というのを作ってみたのですし、そしてその反応も上々だったことを考えると、それはある意味真理かと思います。

    制作側の考える「オリジナル」と、ファン側からする「オリジナル」とは、確かに違うものになるかなと思えますね。
    たとえ音質が悪くてもリアルタイムで購入した国内盤LPをファンとしては常にオリジナルと受け止めている気もしますし。

    > そういう意味では、媒体を通して音楽を聴く、というのも「体験」という、ある意味ライブに近いようなものなのかもしれませんね。

    昔は本当にラジオでたくさん聴きましたね。LPの時代。
    情報が少なくて、ラジオが最も情報量が多かったような。

    > いま僕もちょうどストーンズボックス祭りでサイトの更新もしたところですけど、今回改めて全部の音源をモノで聴くことで思ったのは、やっぱり元のマスターって音がよかったんだな、という単純なことでした。もちろん鮮度は当時のプレスに敵わないですもんね。でもそうでないならば、やはり僕も次点として、そして手軽に楽しめる現実的な選択としても、最新リマスターが正しいのだろうと、最終的には改めて思ったところでした。

    僕の印象では、初期の録音については、あらためて今ひとつなものと、実は良かったんだなと思えたものに分けられました。
    66年以降は特に不満はないですけど。
    英国オリジナルLPも『Aftermath』のMonoなんて、音が悪いですけどね。



    No title

    JDさん、拙ブログをご紹介いただきありがとうございます。

    今やデジタルもDSDやPCMハイビットによるマスタリング技術が相当進歩しているようです。今回のストーンズのMONO LP BOXの音の良さ(単純な音圧よりもダイナミックレンジとディテールを重視)はその恩恵によるものだと解釈しています。オリジナル盤といえども、60年代当時の技術的な限界も当然あったわけで、マスターテープの経年劣化を別にすれば、マスター本来の音を忠実に再現するには、今こそ最大のチャンスとも言えるわけですね。しかしながら、ストーンズのUSオリジナルのようなコンプをガッツリ効かせた音圧の高い音こそが最高であるという向きとは、そこが意見が別れるところなのかもしれません。

    Re: No title

    路傍さん、こんばんは。

    この本の事は路傍さんが取り上げるまで全く知らなかったので、こちらこそありがとうございました。、

    > マスターテープの経年劣化を別にすれば、マスター本来の音を忠実に再現するには、今こそ最大のチャンスとも言えるわけですね。

    仰るとおりだと思います。ようやくデジタルの技術が整った気がします。
    何も付加せずただAD変換していた初期CDも、フラットトランスファーと言う観点で良いものはありますが、デジタルの器としてはようやくかなと思います。

    > しかしながら、ストーンズのUSオリジナルのようなコンプをガッツリ効かせた音圧の高い音こそが最高であるという向きとは、そこが意見が別れるところなのかもしれません。

    そういう意見もあるでしょうね。
    僕の場合、優劣を決めるのでなく、現在のオーディオ再生環境においてソースの選択肢が広がったという見方をしています。

    プロフィール

    JD

    Author:JD
    自分の感覚としては(昔の?)ラジオDJのネット版のようなもののつもり。僕は1970年代のオーディオ全盛期の最後に属する世代で、ペアマイク持参で生録に挑戦した世代。国内盤LPが高価だったので輸入盤を買っていた、そういう中高生時代を過ごした。

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