The Mono Collection/Kinks その2

    前回取り上げてから今日までの間に、それなりの音量で聴けたので、音質についての印象を。

    聴いたのは、『Something else by the Kinks』A面、『Village green……』B面と、1970年発売の編集盤『The Kinks (Black album)』A面C面。最初の2つは50周年盤、最後は英国オリジナル盤と比較した。

    kinkssingles (8)
    *Mono collectionの編集盤『The Kinks (Black album)』

    まず、50周年盤と比較したMono Box盤(2枚)だが・・・・・・どちらも良い音であって、優劣がつくというようなものではなかった(笑)。


    音量を合わせて比較し、強引に両者の音の違いを説明すると、50周年盤の方はハイレゾっぽい感触と言うか、大元の録音は特に高音質ではないけれども、低音域から高域までフラットに聞かせようとしているかのような(元がワイドレンジでは無いので)ワイドレンジ風、なおかつできるだけ歪みを抑えた音と言えば良いか。ちょっと今風の音に演出されている感じを受ける。

    それに対して、Mono Box盤は、(実は僕の感覚ではそれほどの違いは無いが)違いがあるとすれば、こちらのほうが目立つ部分は、中音域の厚みやリズムの躍動感が(おかしな表現かもしれないが)粘っこく聴こえる点。
    一聴すると50周年盤ほどにはワイドレンジ風な音作りではないように聴こえるが、よく聴くと実はそれほど変わらない。質感がこちらのほうが自然で、50周年盤はきれいにまとめてあるという程度。
    いずれにせよ、どちらも満足の行く音質だった。


    次に、『The Kinks (Black album)』は、英国オリジナルよりも、今回のBoxの盤を聴いたほうが音質が良いと思えた。それは、前回どうぷさんから教わった情報から推測できる音そのままと言える。

    編集盤は、アナログ時代にはどうしても元マスターからのコピーテープを作って一つのリールにつなげて独自のマスターを作らねばならず、どうしてもその時点で1世代進んでしまう。

    ところがデジタルコピーの場合、アナログマスターからのコピーにおいて、アナログコピーよりも音質劣化が少ない上に音の調整(音量レベル等)もやりやすい。送り出しをデジタルのままにすれば、音量調整やEQも各曲ごとに設定できるので、最終的な仕上がりを想定すると、アナログのtape to tape方式よりも音質劣化が少ないことが容易に想像できる。

    今回の『The Kinks (Black album)』は、アナログマスターからflat transferされたデジタルコピーを使って、オリジナルLPを聴いて音を調整したとのことで、何ともうまいマスタリングのように思えた。これを聴くと、英国オリジナル盤よりも音が若い上に、音の質感も近いものがあり、丁寧な仕事がなされているように思えた。

    比較に、2004年にアナログで初登場した(CDは97年発売)『Singles collection』も聴いてみたが、こちらの音は、既に一昔前の音になっていた(苦笑)。

    kinkssingles (4)
    *アナログ盤の『Singles collection』

    それはきっと、Pye時代の作品のDeluxe edition(CD2枚組のシリーズ)登場以前/以後で、Kinks作品の音質が2ランク以上?アップしたことによるものだと思えた。

    Deluxe editionの音質が90年代のRemaster seriesから大きく音質向上したのは、AD変換技術の向上だけでなく、より高音質な(あるいは保存状態の良い)アナログマスターを見つけ出すなどのリサーチ、さらにアナログマスターを再生するテープデッキの高音質再生化など、いろいろと音質を向上させる努力があったものと思われる。

    今日もうひとつ、久しぶりに彼らの1stシングル「Long tall sally」の英国オリジナル盤も聴いたが、やっぱり昔ながらの音だった(苦笑)。これを聴くと、今回のボックスセットに収録されなかったモノラル曲も同じマスタリング/カッティングで聴きたかったと強く思う。


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    ジャンル : 音楽

    tag : Kinks Pye モノラル LP Mono Collection レコード キンクス

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    The Mono Collection/Kinks

    こんにちは。
    随分前にジャム等に関する書き込みした事がある者です。
    The Mono Collection/Kinksに関しては バンザイ 散財さんのブログで詳細なレヴューがありますね。日本のネット上でここまでやってくれる方は他にいないでしょう。
    ちょっと感動しました。
    JDさんやこのブログをご覧の皆さんにも是非見ていただきたいですね。

    Re: The Mono Collection/Kinks

    hoodooさん、こんばんは。

    > 随分前にジャム等に関する書き込みした事がある者です。

    そうみたいですね、お久しぶりです。

    > The Mono Collection/Kinksに関しては バンザイ 散財さんのブログで詳細なレヴューがありますね。

    教えていただいたので、調べて、読むことができました。ありがとうございます。
    何と、ボックス収録の全アルバムを確認されてましたね。盤質に関して参考になりました。
    僕はまだ3枚しか聴けてなかったのですが、傷があると書かれてた3rdを確認のために聴いたところ全く問題なしでした。
    同様に「wonder boy」も大丈夫。

    プレス品質が今ひとつのように書かれてましたが、僕の感覚ではビニールの質感は近年プレスの中ではましな方ではないかと。とは言え、チリノイズが無いわけではないので、クリーニングしたらもっと良くなりそうです。

    No title

    こんばんは。

    『The Kinks (Black album)』、当時のアナログマスターリールからのリマスターではなく、各トラック毎に立ち返ってのリマスタリングが功を奏したようですね。The Whoのようなアナログ・シングル盤再発企画なんかを、是非Kinksでもこのような作業環境で実現して欲しいです。
    Andrew Sandovalが関わった再発ものは、本当にハズレが無いですね。

    Re: No title

    どうぷさん、こんばんは。

    > 『The Kinks (Black album)』、当時のアナログマスターリールからのリマスターではなく、各トラック毎に立ち返ってのリマスタリングが功を奏したようですね。

    その通りだと思います。あの編集盤のマスターを使うと、他の収録アルバムよりも音質が劣るでしょうね。
    判断も良かったし、マスタリングも非常に良いと思いました。
    つくづく、ボックス未収録のモノラルトラックが聴けないことが残念でなりません。

    >The Whoのようなアナログ・シングル盤再発企画なんかを、是非Kinksでもこのような作業環境で実現して欲しいです。

    なるほど、それはありですね。
    ボックスの音質から判断すると、オリジナルシングルよりも音質は確実に向上する気がします。

    > Andrew Sandovalが関わった再発ものは、本当にハズレが無いですね。

    僕は恥ずかしながらその人のこと知りませんでした。
    調べると、数多くの再発プロジェクトを手がけているようですね。



    プロフィール

    JD

    Author:JD
    自分の感覚としては(昔の?)ラジオDJのネット版のようなもののつもり。僕は1970年代のオーディオ全盛期の最後に属する世代で、ペアマイク持参で生録に挑戦した世代。国内盤LPが高価だったので輸入盤を買っていた、そういう中高生時代を過ごした。

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