LIVE AT THE HOLLYWOOD BOWL CDを聴いて(その3 まとめ)

    新装盤『LIVE AT THE HOLLYWOOD BOWL』CDを聴き、旧盤よりも音質向上していると思った。だからと言って、旧盤は全て処分して新装盤に乗り換えようという考えにはなっていない。

    CDBeatlesLive (6)

    なぜなら、新装盤の音について、いくつか気になる部分があるからだ。
    それは旧盤では普通に聴けたのに新装盤で聴けなくなっている音だ。
    推測するに新たな技術のdemixが理由なのか、あるいは、今回のremixing/remasteringが理由なのかもしれない。




    初めて聴いた際の音(音質)の印象は、次のようなものだった。
    ・個々の音がマスターに近づいた気がする(音が良くなった)
    ・歓声の音量レベルが小さくなった
    ・DrumsもGuitarsも音の質感が良くなったが、音傾向としては高音が弱まり中低音が目立つようになった
    ・ボーカルも旧盤よりニュアンスは聴き取れるようになったが、音の質感は旧盤よりも劣っているのでは?なんだか生の声が機械っぽい声になった

    次に新たなミキシングについては次のように感じた。
    ・旧盤では左右に広げられていた音が中央寄りに配置されこじんまりした。但し、旧盤を知らない世代には別に気にならないのかも。
    ・各曲ごとにミキシングをちょっとずつ変更してあるが、全体を通してギターの音量レベルが小さくなった。結果として旧盤よりもギターバンドのイメージが薄れている。
    ・上に関連し、曲によってはボーカルに、はっきりそれとわかるディレイがかけられたのは残念。おかげで、DrumsがONになったのに、ボーカルは奥に引っ込んだイメージだし、何よりもあまり自然に思えない。旧盤でホール感を出していたのは左右に広がる音像だったが、それをボーカルのディレイだけで作ろうとしているのか?(無理な話だ)
    ・またまた同様に、リードギターを目立たせるために急にディレイがかかるのは興ざめだった。たぶん旧盤を知らなくても同じように思う人がいるのではなかろうか。

    と、ミキシングについては、あまり良い印象がない(失礼)。

    そして、何度も聴いているうちに疑問に感じたのは、個々の音がマスターに近づき音質向上していると言うのに、何故かボーカルもギターも(単体の録音トラックでは)旧盤よりも音が薄くなった(*この表現は誤解を与えるかもしれないが)のでは?と思えてしまうのだった。しかもギターは質感が向上したように思えると言うのに。
    なんと言うか、CDの音がMP3になったみたいな、音の見かけは同じだけれど中身が減ったというか(うまい例えが見つけられず、申しわけない)。それで、もしかすると例の新技術の逆効果なのかな?と推測してしまうわけだ。

    つまり、旧盤には含まれていた間接音の中に、ボーカルやギターをより生き生きと聞かせる音成分があった(歓声と混ざった音成分とでも言うか)のが、demix技術により間引かれてしまったので、聞きたくない音が減少したついでに本来必要な音成分まで一緒に間引かれたのではなかろうか?音はきれいになったが、旧盤で感じられるボーカルやギターの音の生っぽさ(?)本物感(?)が減少したように思えてしまう。

    それと別にもう一つ付け加えるなら、前述のようにDrumsもGuitarsも高音が弱まり中低音が目立つようになったせいで、Guitarsの場合、エレキギターの持つ高音の響きやつんざくような音が聞けなくなったし、Drumsではシンバルの強打が弱まった。そのあたり、演奏のエネルギッシュな側面を伝えていたのだが・・・・・・。このあたりもdemix逆効果か?ちょうど耳につく歓声と同じような帯域だから、これらも差し引かれたのかもと推測してしまう。

    と、一歩進んで二歩下がるとは思わないけれど、一長一短かなと言う感想。
    でも、(その1)で記したとおり、旧盤から大きく変わった印象はないので、90年代以降に出た新たなアルバムのように棚にお蔵入りにはならない気がする。


    ついでに、昨日の補足をしておかないといけない。
    前回、旧盤のコンセプトを仮定したが、僕自身は旧盤を聴いて、歓声ゆえにBeatlesの演奏が聞き取りづらいとは全く思っていない(あの歓声に慣れてしまっていることもあるかもしれないが)。
    なので、あくまで「歓声が大き過ぎる」という意見に立ってのものだ。

    昨日A面を大きな音量で通して聴いて、また発見したが、左チャンネルにも歓声が大きくかぶるのは曲間のMC部分がほとんどで、他はたまに曲の途中で急に歓声が大きくなる箇所で同様になるくらい。なので、演奏中はやはり右チャンネル側に歓声が寄っている。

    それに、音量を上げて聴くとBeatlesの演奏は歓声に負けはしない。歓声が相対的に目立つのはMCや曲のイントロ、曲終わりぐらいだ。だから、やはり、歓声が大き過ぎる」と思っている人の感覚は僕にはわからない(苦笑)。

    新装盤のほうがパッと聴いた際には良い音をしているのは確実だが、聴き進むとボーカルやギターは、こちらのほうが音が悪いはずなのに良く思えてくる(笑)。

    なお、新装盤で「She's a woman」の後、JohnのMC途中でPaulのThank you!が今回から初めて聞こえる。実際のステージでは別々のタイミングのものが今回混ざっている。




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    テーマ : 洋楽ロック
    ジャンル : 音楽

    tag : Beatles ビートルズ ハリウッドボウル Hollywood Bowl

    コメント

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    No title

    JDさんこんばんは。

    極端に言うと結局『Let It Be naked』的な感じなんでしょうか?あれもすっきりとした音で最初「オッ」と思ったんですが、ラウドな感じとか、濁った感じとか、タメ、潰れた感じのニュアンスが消えてしまって繰り返し聴くに堪えない感じの音でした。あれは音以前にいじりすぎて馴染めないという面もありましたが音に関しても全然好きではありませんでした。ただ、そこまで極端に出ているわけではなさそうなので、あくまでディティールを聴くとという感じなのかなと予想しています。

    Re: No title

    Columbiaさん、こんばんは。

    > 極端に言うと結局『Let It Be naked』的な感じなんでしょうか?

    いいえ、決してそんなことはないと思います。
    ドラムやギターの高域減衰の話やディレイの話は別として、どちらかと言えば、オーディオ的な観点での音質の話だと思っていて、旧盤をそれなりに良い音で聴き馴染んでいる人でないと気にしないのではないか?と。
    それに、僕と同じように思う人がいるかどうか、少なくともAmazonのレビューを読む限りいないみたいですし(笑)。
    あと、最終的にはアナログ盤で判断したほうが良いのかもしれないですね。

    >音に関しても全然好きではありませんでした。

    そのあたり、どう思われるか?逆に僕がColumbiaさんの感想を聞いてみたいところです。








    No title

    僕はオーディオ的にさほど高品位なものを使用しているわけではないですが、好きな音を求めてやまない求道者的こころは持っております(笑)。といっても動物的に感じて(聴いて)いるだけなんですけど。聴きましたらまたこちらにてコメントさせて頂きます。

    実は今日どうにも堪えきれなくて、最寄りのツ◯ヤに日本盤のCD買いに行ったんですよ。しかしそこはさすがビートルズというべきか、売り切れていました。仕方がないので手持ちの日本盤LPを聴いて過ごしました。

    長文すみません、余談なのですが、Beatles at the BBCのvol.1の初版CDが僕は全然音的に好きでなくて、駄盤の烙印を押していたんですけど、vol.2が出た時に新装販売になったvol.1を聴いたらとても好きな音だったんです。初版はノイズキャンセルのテクノロジーで、音の旨味が消し去られていたんだなぁと思いました。つまり、本記事で書かれていた内容を読んでそんなことを思い出しました。

    Re: No title

    Columbiaさん、こんばんは。

    > 実は今日どうにも堪えきれなくて、最寄りのツ◯ヤに日本盤のCD買いに行ったんですよ。しかしそこはさすがビートルズというべきか、売り切れていました。

    そうでしたか。でも、今日あたり別の店で購入されているのでしょうか?
    日本では国内盤だけでなく輸入盤の値段も高いですね。米国では$13ぐらいだから1300~1400円くらい。

    > 余談なのですが、Beatles at the BBCのvol.1の初版CDが僕は全然音的に好きでなくて、駄盤の烙印を押していたんですけど、vol.2が出た時に新装販売になったvol.1を聴いたらとても好きな音だったんです。初版はノイズキャンセルのテクノロジーで、音の旨味が消し去られていたんだなぁと思いました。

    ああ、そうでしたね!
    近年出たVol.2は全然違う音だったので、僕もVol.1を買いなおしました(LPのみですが)。
    そうしたら随分音質改善されていると思いました。
    Hollywood Bowlは、逆にはっきりと気付くのは音質改善の方だと思いますよ。

    ボーカルの音質に違和を感じるのは、もしかしたら、かけられているeffectの音質なのかな?という気もします。
    77年盤は全てアナログでのエフェクト処理、ミキシング、マスタリングだったので、深いリバーブがかけられていても音質的に違和を感じません。



    No title

    ご明察です。日本盤を購入してしまいました。どうやら他の注文との絡みで11月末の入手となりそうでしたのでキャンセルして購入に踏み切りました。

    で、聞いてみたんですが、これは率直に言って個人的にはアリでした。今まで良くある日本盤のLPを聴いただけだったのでさほど良い環境の音というものには触れたことはありません。それでかどうかはわかりませんが、幾度か繰り返し聴いてみた結果、やはり各音の明瞭さや分離など素晴らしいものがあるなと思いました。

    ドラムスがとてもうまく録音されていて、ハイハットとスネアの音には本当に感銘を受けました。テクノロジーがこれほどまでに旧録音に恩恵を与えたケースも稀ではないでしょうか?

    そしてリバーブの件なのですが、ちょっと前置きが長くなります。

    結構前にThe Whoの『My Generation』のデラックス・エディションが出た時、ステレオ化されていて鮮度も抜群でとても素晴らしかったのですが、「My Generation」のソロ部分などの大事な音が欠落していました。で、そのままではまずいということで末尾にモノラル・ヴァーションが付け足してあったのですが、僕は当時こう思いました。

    「モノラル・ヴァージョンのソロ部分をステレオ音源にミキシングしてしまえばいいじゃないか」

    で、こんなアホなことやるのは世界でも何人くらいかなとか思いつつ、自分のパソコンの音楽編集ソフトでそれをやってみたのでした。すると音を人力でできる限り同じタイミングで合わせたにもかかわらず何ともホールで演奏したような妙なリヴァーヴがかかったような音になってしまうのです。

    ここで僕の仮説なのですが、本アルバムはマルチから音を楽器の特定周波数で分離して、本当にインストゥルメンタルごとにミキシングできる状態にしたのではないかと。それでこのような驚くべき分離と低音、中域、高域を実現できたのではないかと。しかし、同じ音源の音を重ねたことによってある種のリヴァーヴがどうしても出てしまうと。

    私は旧盤をそれほど聴き込んでいたわけではないので、この感じのリヴァーヴにもさほどな違和感を感じずに馴染むことができました。新しいファンにアピールするにはとても良い処理ではなかろうかと個人的には結論付けました。

    長文失礼しました。

    No title

    余談なのですが、先ほどの投稿に書きました。The Whoの『My Generation』のステレオ・デラックス・エディションですが、何とハイレゾオンリーで去年あたり配信されたものはまさに私が考えたようにステレオ・マスターにモノ・ヴァージョンの欠落部分をミキシングしてあるものでした。CDのヴァージョンのものがとても鮮度が良くて素晴らしい音だったのでとても期待して聴いたのですが、残念ながら出来上がりの音はあまり良くなかったです。これも単純比較できない部分があって詳しく書き始めるとすごく長くなりますが、結果だけ書きますと以上の通りです。

    Re: No title

    Columbiaさん、こんばんは。

    > ご明察です。日本盤を購入してしまいました。

    そうでしたか・・・・・・聴きたい時に聴く(聴ける)のがベストだと思います。

    > 幾度か繰り返し聴いてみた結果、やはり各音の明瞭さや分離など素晴らしいものがあるなと思いました。

    ブートを聴く限り、demix技術を使わないと歓声の音量レベルを抑えるのは難しいですが、もしギタートラックを無くせば、Drums,Bass,歌は最初からかなりクリアに再生できたと思います。

    > ドラムスがとてもうまく録音されていて、ハイハットとスネアの音には本当に感銘を受けました。テクノロジーがこれほどまでに旧録音に恩恵を与えたケースも稀ではないでしょうか?

    僕個人はそこまでとは思っていません、やはり、元の録音が良かったからだと思います。特に64年録音ののDrumsはよく録れていると思います。基本的に正規録音なので、Drumsにも録音用のマイクは最低3本セットしただろうと思います。
    9/24修正:本来3本マイクがあるべき姿ですが、映像を観ると2本が正しいように思えました。

    > そしてリバーブの件なのですが、ちょっと前置きが長くなります。

    言わんとすることはよくわかります。本当に微妙なタイミングのずれ(0.数秒)でディレイがかかったように聞こえますね。
    でも、現在のデジタルミキシングでは、最低でも1/30秒、もしかしたら1/60秒の単位で音を移動できるので、意図的以外にディレイがかかったなら、それは人為的な作業ミスですね。

    僕が気になったディレイはPaulが一人で歌うときだけにかかっていて、他のメンバーのときはディレイタイムや深さがそれほどではありません。なので、曲ごとにそういうエフェクトをかけているのは確実なのですが、技術が無いというよりもセンスがないんですよね。僕からすると。

    >私は旧盤をそれほど聴き込んでいたわけではないので、この感じのリヴァーヴにもさほどな違和感を感じずに馴染むことができました。新しいファンにアピールするにはとても良い処理ではなかろうかと個人的には結論付けました。

    なるほど、そういう視点は旧盤やブートを聴きまくっていることもあって持っておらずでした。

    それに、やっぱり自分が音(音質)やミキシングについて拘りが強すぎるんでしょうね。
    ご感想ありがとうございました!




    Re: No title

    Columbiaさん、どうも。

    > 何とハイレゾオンリーで去年あたり配信されたものはまさに私が考えたようにステレオ・マスターにモノ・ヴァージョンの欠落部分をミキシングしてあるものでした。CDのヴァージョンのものがとても鮮度が良くて素晴らしい音だったのでとても期待して聴いたのですが、残念ながら出来上がりの音はあまり良くなかったです。これも単純比較できない部分があって詳しく書き始めるとすごく長くなりますが、結果だけ書きますと以上の通りです。

    この情報は初めてでした。ありがとうございました。
    欠落部分を補正した音源が配信されているとは今年知りましたが、その音質については全く何も情報なしでした。
    そうですか、そいつは残念ですね。
    うまくできそうな気もするのですが・・・・・・。

    プロフィール

    JD

    Author:JD
    自分の感覚としては(昔の?)ラジオDJのネット版のようなもののつもり。僕は1970年代のオーディオ全盛期の最後に属する世代で、ペアマイク持参で生録に挑戦した世代。国内盤LPが高価だったので輸入盤を買っていた、そういう中高生時代を過ごした。

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