LIVE AT THE HOLLYWOOD BOWL CDを聴いて(その2 旧盤について)

    前回『LIVE AT THE HOLLYWOOD BOWL』での音質向上の理由として、大元のマスターテープそのものが旧盤よりも世代の若いテープだったと思われること、さらに現在の技術=デジタルコピー後の編集・ミキシングによる音質劣化の少なさが、音質向上の大きな理由なのだろうと記した。

    BABYINBL (18)
    *米国盤内袋とLP

    以下はちょっと長くなるが、旧盤の音質やミキシングについてあらためて考えた内容だ。



    オーディオ的な話でなく一般論として、「音が良い」と感じる録音は、
    ・録られた音が歪みなく明瞭でワイドレンジ、
    ・再生音も同様に歪が無い、聴きたい音が埋もれていない、
    さらにワイドレンジであれば言うことなしとなるだろうか。

    60年代のライブ盤で音質劣悪と呼ばれるのは、皆さんご存知のあれ『Live at Kelvin hall/Kinks』だが(笑)、あれはモノラル盤だと音質劣悪とは感じない。そう呼ばれるのはステレオ盤だ。
    そこには大きく3つの理由があると思われる。
    1 大元の録音時の音が歪んでいること。
    2 ミキシングバランスの悪さのせいで、各楽器や歌の音量がちぐはぐなこと。歌が聴きたいのにあまり聞こえない、音が歪んだ楽器が大きくフィーチャーされてしまう・・・・・・。
    3 他には、各楽器や歌が聴こえる距離が違っているということも(人によっては)バランスの悪さとして挙げられるかも(Guitarは近くから聴こえるのに、Drumsは遠いとか)。

    ハリウッドボウルの旧盤を音が悪かったと思っている人もいるようだが、同じ基準で照らしあわせてみると、1は当てはまるかどうか何とも言えない。2がその理由となるだろうか。つまり、歓声の音量が大きすぎて(=ミキシングバランスが悪く)肝心の演奏や歌が聞きとりづらい、と。3も何とも言えない気がする。

    さてここで反則だけれど、64年にCapitolが独自に発売を試みてミキシングまで済ませたモノラル音源を聴いて欲しい。現在2000円以下で購入できるハーフオフィシャルの4枚組のCDセット『UNRELEASED MASTER』に5曲が収録されている。

    BABYINBL (12)
    *4枚組CDセット『UNRELEASED MASTER』

    BABYINBL (14)
    *この盤に収録、最後の5曲がそれ(クリックで拡大)

    これが、持っているブートよりも音が良くて驚いた。

    僕はこれを聴くと、旧盤に対する2のような意見はかなり減るのではないか?と思えてしまう。つまり、モノラルミックスを施していれば歓声レベルは許容範囲内に収まったのではないか?と。

    以前にも記したが実は65年の録音についても、ブートで聴ける音はギターが録音されたトラックには大きな歓声も同時に収録されているが、他の2トラックに関してはそれほどでもなかったと推測される(ブートなので100%信用するのは良くないが)。

    もしそのバランスが正しければ、旧盤発売時にモノラルミックスで、しかも64年のCapitol mixに近づけたミキシングで正規発売していたならば、旧盤に対する2の評価はなかったのではないか?と思えてしまう。まぁ、今更の話なのだけれど。

    と同時に、前にも記したが、もしブートの録音バランスが正しかったならば、旧盤はあえて歓声を必要以上に大きくミックスしたミキシングを行っていたということになる。

    本来、Drums&bassのトラック(左)やボーカル+αのトラック(中)はそれほど歓声が入っていないはずなのだが、旧盤だとギターのトラック(右)と変わらないくらいDrums&bassのトラック(左チャンネル)にも歓声がかぶせられている。おかげで必要以上にうるさいわけだ。

    そしてあながち、この推測は間違いではない気もしている。
    なぜなら、G.Martin氏の記したライナー通りの体験ができるからだ。

    彼は、Beatlesのライブ盤を再構築するにあたり、普通にステレオミックスを施すと片側に歓声が寄ることが(音像として)気に入らなかったのかもしれないが、それ以上に、「当時のBeatlesのコンサート会場に居合わせたらどうだろう?」という追体験をコンセプトにして旧盤のサウンドを作り上げたのではなかろうか?
    もしそうだったなら、彼の狙いは的中した。少なからずの人が旧盤を聴いて、歓声がうるさすぎてBeatlesが聞こえないと思った・・・・・・それこそがライナーで記した内容なのだから。まぁ、当時のアナログオーディオ装置のクオリティも(結果的に)一役買っているが。


    ただ、65年の録音について、前述の如くブートで聴ける録音バランスを信用して良いかどうかは疑問も残っている。

    BABYINBL (3)
    *シングル「Real love」US盤

    それは、以前紹介したシングル「Real love」のB面として登場した65/8/30録音の「Baby's in black」もDrums&bassのトラックについても歓声が大きいからだ。

    BABYINBL (7)
    *ジャケット裏面

    これが、あえて作られたものか、それとも本来の姿なのか?残念ながら知る手立てはない。
    但し、これの制作は旧盤と同じくG.Martin氏とGeoff Emerick氏のチームなので、同じコンセプトで作業していてもおかしくはない。

    今回はここまで。
    *9/13追記:補足を続きの記事に追加した


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    tag : Beatles ビートルズ ハリウッドボウル Hollywood Bowl CD レコード 音質

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    自分の感覚としては(昔の?)ラジオDJのネット版のようなもののつもり。僕は1970年代のオーディオ全盛期の最後に属する世代で、ペアマイク持参で生録に挑戦した世代。国内盤LPが高価だったので輸入盤を買っていた、そういう中高生時代を過ごした。

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