A hard days'night デアゴ ビートルズコレクションなど
先日、コメント欄でイントロは大丈夫との報告を聞き注文に踏み切ったデアゴからの『A hard days'night』が先日届いた。
*補足:英国での発売時にイントロが0.数秒欠けたカッティングだった
*右は英国YPレーベル/Gramoリムのステレオ盤
海外で販売されたイントロ欠けのプレスは、本来なら再生用ゴミ箱行き(ビニールの再利用)の不良品だと思うが、日本向けは別カッティングになっていて問題なし。
久しぶりに09 remasterのステレオLPで聴く『A hard days'night』は、やはりタイトル曲のイントロ~歌の出だし部分の音質劣化が気になったが(これは09 remaster全てのメディアに共通)、その後は「And I love her」までは良い音だと思った。
続く「Tell me why」で左チャンネルの演奏部分の音質がところどころ劣化しているように聞こえ、それはまるで2012年カッティングを思わせたので、今回は2012年盤も比較の為に聴いた。それだけでなく、大元?の英国オリジナルステレオ盤(64年プレス~EMIリムまでの数種類)も久しぶりに針を降ろした。
まずはっきりさせておく必要がある点として、今回の日本向けのデアゴ盤は2012年盤の原盤を流用したのではないという点。これまでのデアゴ盤同様に2012年盤で施されたEQ補正は行われていない。それはA-6の「Tell me why」の歌いだし手前部分~それ以降のボーカル帯域の音質差でわかる。2012年盤は歪っぽい歌声をEQ処理で補正して歪っぽさを減らして聴きやすくしてある(その代わりに同じ帯域の演奏音も欠如)。
しかし今回のデアゴ盤で、その「Tell me why」や、さらにA-7の「Can't buy me love」も左チャンネルの音質にムラがあるように聴こえた。そのため、アナログマスターの英国盤でそのあたりを確認したところ、当時から既に音質は一定でなかったとわかった。
*左は英国初版/右はYPレーベル/Gramoリム
ただし、Yellow Parlophoneレーベルの時は高域を持ち上げたカッティングをしていて、そのあたりは見えづらい(聞こえづらい)ように補正してある気がした。その点は、特にEMIリムの盤との比較で強く感じた。
*英国初版のレーベルYPレーベル/Paroリム
もしかすると単純に盤質が良いから?だけだとは思えないが、同じマト-1/-1なのにEMIリムの盤はYellow ParlophoneのParloリムや次のGramoリム盤で聴かれる高域の強調(と言っても耳につく音域なので、それほど高くないと思う、2KHZ~4KHZ内か?)が無く、自然な音に聴こえる。これで「Tell me why」や「Can't buy me love」を聴くと、初期プレス盤より音の勢いの良さは微妙に後退する気がするが、音そのものは非常にナチュラルに聴こえ、特に「Tell me why」で目立つボーカルの歪っぽさもあまり感じない。低音域もステレオ盤特有の空気感も再現力が高いように思うし、個人的には優秀なプレスではなかろうかと思う。
一般的には後期プレスほど音質劣化と受け止められるているが……マト1の使いまわしだから。
*EMIリム
それと、今の部屋に越してきてから僕はオリジナルアナログ盤の音質劣化部分に良く気がつくようになったのだが、その理由は単純に僕のオーディオの再生クオリティが上がっただけのことだと思っている。簡単に言えば、ハイビジョンクオリティのテレビで、以前は画質に満足していたはずのDVDを見ると、どうしても画質に気になる点が出てくるようなもの。
但し、英国オリジナル盤がDVDで09 remasterがブルーレイだと言う気はない。英国オリジナル盤の音は、この喩えで言うなら35mmフィルムを単純にブルーレイ化してノイズリダクションや色むら調整をしていない状態みたいなものだろう。だからごまかしがないだけ。とは言っても、同じマトリクスではあっても初期に近いプレスでは音質補正をしていたわけだ。当時のオーディオの再生音では気にならなかったのだろうが。
*EMIリム(左)はジャケット裏に折り返しなし
それにしても、このアルバムの録音は4トラックをまだうまく使いこなせていないのか、曲によってはあまりよろしくない。何よりも駄目なのは低音が録音されていなかったこと。09 remasterでは、強引に低域をブーストしているせいでアナログマスターのLPと全然違う帯域バランスとなっている。この低域の持ち上げに関して僕は、発売当時は現代風の音にしたことを評価していたものの、こうやって聴き比べするとブースト感がしらじらしく思えてしまう(苦笑)。もうちょっと抑え目でも良かったろうに。
それと、久しぶりにアナログマスターのLPを聴いて思い出したが、このアルバムだけは録音されたダブルトラックあるいはトリプルトラックの歌が、中央だけでなく微妙に左右にもはみ出して定位している歌と中央の歌とが混ざっている(笑)。このところそのことを忘れていたなぁ。
A-1やA-6は中央寄り+右寄り、A-2はそれに左寄りの歌も聞こえて面白い(笑)。
特にA-2の左寄りの歌声の存在は今回初めて気がついた。面白い!
もしかすると、09 remasterで左右の音をやや中央寄りに定位変更したのは、それをごまかす意図もあったのかもしれない。
*YPレーベル/Gramoリムのレーベル
何にせよこのアルバムに関しては、09 remasterとそれ以前とで大きく音が変わったことに間違いはない。
80年代の初期CDがモノラル盤のみだったことが悔やまれる。あの時点で初期の4作品もステレオで発売されていたなら、09remasterよりも20年以上前の状態のステレオマスターの音が聴けたというのに……MoFiが初期作品もステレオで発売したことはやはり非常に大きな価値を持つように思う。
*補足:英国での発売時にイントロが0.数秒欠けたカッティングだった
*右は英国YPレーベル/Gramoリムのステレオ盤
海外で販売されたイントロ欠けのプレスは、本来なら再生用ゴミ箱行き(ビニールの再利用)の不良品だと思うが、日本向けは別カッティングになっていて問題なし。
久しぶりに09 remasterのステレオLPで聴く『A hard days'night』は、やはりタイトル曲のイントロ~歌の出だし部分の音質劣化が気になったが(これは09 remaster全てのメディアに共通)、その後は「And I love her」までは良い音だと思った。
続く「Tell me why」で左チャンネルの演奏部分の音質がところどころ劣化しているように聞こえ、それはまるで2012年カッティングを思わせたので、今回は2012年盤も比較の為に聴いた。それだけでなく、大元?の英国オリジナルステレオ盤(64年プレス~EMIリムまでの数種類)も久しぶりに針を降ろした。
まずはっきりさせておく必要がある点として、今回の日本向けのデアゴ盤は2012年盤の原盤を流用したのではないという点。これまでのデアゴ盤同様に2012年盤で施されたEQ補正は行われていない。それはA-6の「Tell me why」の歌いだし手前部分~それ以降のボーカル帯域の音質差でわかる。2012年盤は歪っぽい歌声をEQ処理で補正して歪っぽさを減らして聴きやすくしてある(その代わりに同じ帯域の演奏音も欠如)。
しかし今回のデアゴ盤で、その「Tell me why」や、さらにA-7の「Can't buy me love」も左チャンネルの音質にムラがあるように聴こえた。そのため、アナログマスターの英国盤でそのあたりを確認したところ、当時から既に音質は一定でなかったとわかった。
*左は英国初版/右はYPレーベル/Gramoリム
ただし、Yellow Parlophoneレーベルの時は高域を持ち上げたカッティングをしていて、そのあたりは見えづらい(聞こえづらい)ように補正してある気がした。その点は、特にEMIリムの盤との比較で強く感じた。
*英国初版のレーベルYPレーベル/Paroリム
もしかすると単純に盤質が良いから?だけだとは思えないが、同じマト-1/-1なのにEMIリムの盤はYellow ParlophoneのParloリムや次のGramoリム盤で聴かれる高域の強調(と言っても耳につく音域なので、それほど高くないと思う、2KHZ~4KHZ内か?)が無く、自然な音に聴こえる。これで「Tell me why」や「Can't buy me love」を聴くと、初期プレス盤より音の勢いの良さは微妙に後退する気がするが、音そのものは非常にナチュラルに聴こえ、特に「Tell me why」で目立つボーカルの歪っぽさもあまり感じない。低音域もステレオ盤特有の空気感も再現力が高いように思うし、個人的には優秀なプレスではなかろうかと思う。
一般的には後期プレスほど音質劣化と受け止められるているが……マト1の使いまわしだから。
*EMIリム
それと、今の部屋に越してきてから僕はオリジナルアナログ盤の音質劣化部分に良く気がつくようになったのだが、その理由は単純に僕のオーディオの再生クオリティが上がっただけのことだと思っている。簡単に言えば、ハイビジョンクオリティのテレビで、以前は画質に満足していたはずのDVDを見ると、どうしても画質に気になる点が出てくるようなもの。
但し、英国オリジナル盤がDVDで09 remasterがブルーレイだと言う気はない。英国オリジナル盤の音は、この喩えで言うなら35mmフィルムを単純にブルーレイ化してノイズリダクションや色むら調整をしていない状態みたいなものだろう。だからごまかしがないだけ。とは言っても、同じマトリクスではあっても初期に近いプレスでは音質補正をしていたわけだ。当時のオーディオの再生音では気にならなかったのだろうが。
*EMIリム(左)はジャケット裏に折り返しなし
それにしても、このアルバムの録音は4トラックをまだうまく使いこなせていないのか、曲によってはあまりよろしくない。何よりも駄目なのは低音が録音されていなかったこと。09 remasterでは、強引に低域をブーストしているせいでアナログマスターのLPと全然違う帯域バランスとなっている。この低域の持ち上げに関して僕は、発売当時は現代風の音にしたことを評価していたものの、こうやって聴き比べするとブースト感がしらじらしく思えてしまう(苦笑)。もうちょっと抑え目でも良かったろうに。
それと、久しぶりにアナログマスターのLPを聴いて思い出したが、このアルバムだけは録音されたダブルトラックあるいはトリプルトラックの歌が、中央だけでなく微妙に左右にもはみ出して定位している歌と中央の歌とが混ざっている(笑)。このところそのことを忘れていたなぁ。
A-1やA-6は中央寄り+右寄り、A-2はそれに左寄りの歌も聞こえて面白い(笑)。
特にA-2の左寄りの歌声の存在は今回初めて気がついた。面白い!
もしかすると、09 remasterで左右の音をやや中央寄りに定位変更したのは、それをごまかす意図もあったのかもしれない。
*YPレーベル/Gramoリムのレーベル
何にせよこのアルバムに関しては、09 remasterとそれ以前とで大きく音が変わったことに間違いはない。
80年代の初期CDがモノラル盤のみだったことが悔やまれる。あの時点で初期の4作品もステレオで発売されていたなら、09remasterよりも20年以上前の状態のステレオマスターの音が聴けたというのに……MoFiが初期作品もステレオで発売したことはやはり非常に大きな価値を持つように思う。
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